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俺を楽しませてくれ

 




「調子に乗ってんじゃねえよ!」

「「くっ――!!」」


 二体一で断然有利な筈なのに、それでも崩せない。それどころか、ビートの回転速度が更に増した。


 この野郎……どんだけ“速い”んだよ!

 脳内処理、反射速度、攻撃動作、全てが速過ぎる。もし俺が逆の立場だったら絶対に間に合わない。

 なのにコイツは……防ぐ所か攻めてきやがった。このまま押し込まれる前に、流れを断ち切るしかない。


「蜘蛛糸」


 背中から黒糸を後方の地面に付着。ついでにセスにも付着させ、伸縮移動で距離を開ける。


「なっ!?」

「んだその気持ち悪ぃ動き、それで逃げられると思ってんのか」

触手フィーラー


 身体を操られて驚くセス、時間を置かずに開いた距離を詰めてくるビート。

 俺は即座に背中から6本の触手を生やし、同時に奴へ襲いかかった。


「ハッ、タコかテメェは!こんな虚仮威しが通用すると思ってんじゃねーだろーな!」


 迫る触手を槍を振るって容易く払い除ける。簡単に対処されて少し心が傷付いたが、その油断に付け入れる。


「ハッ!!」

「あが!?」


 セスが背後からビートの背中を蹴っ飛ばす。突然現れたセスにはビートも防御が間に合わなかった。

 バーカ、払い除けた触手の一つにセスを忍ばせておいたんだよ。

 そして蹴っ飛ばされたビートは、無防備のまま前方の俺へと近づいてくる。その体勢では防御は出来ても避けるのは難しいだろ。


 俺は右腕に漆黒の怪腕を纏い、渾身の一打を打ち放った。


蝿王ベルゼフィスト

「オラァア!」


 ビートは咄嗟に槍で迎撃してくる。巨拳と槍が衝突し、雷鳴が轟いた。僅かに拮抗するも、純粋なパワーでは俺の方が上。


「らぁ!!」


 雄叫びを上げて巨拳を振り抜き、ビートの身体を吹っ飛ばす。奴は石切のように何度も地面に叩きつけられたが、槍を地面に刺して勢いを殺した。


「何て人間だ……あの『神速』に打ち勝つとは」

「集中しろセス、まだ終わってねぇぞ」


 驚嘆の声を漏らす彼女に注意を促す。

 確かにダメージは与えられたが致命傷には至らない。目を凝らせば、何でもないと言う風にビートは立っている。まだまだ死合は始まったばかりだ。一切の油断も生んではいけない。


「ぺっ……今のは結構効いたぜ。血を吐いたのなんていつ以来だ?」


 口内に溜まった血を地面に吐き付けながら、ビートは悠々と此方に歩いてくる。

 そんな彼の身体が、少しずつ明るくなっているのは気の所為だろうか。


「やっと本気で闘える敵と巡り合えた。感謝するぜセス、それにアキラ。お前等のお陰で俺は己の限界は出しきれる。それがどんなに嬉しいか」

「おい、セス」

「分かってるッ!!」


 気の所為では無かった。

 奴の身体が発光し、その光は徐々に強くなり、終いにはバチチチッと放電音が鳴り響く。それはまるで、全身に雷を纏っているかのようだった。


 冷や汗が背中を伝う。

 ビートの内包するエネルギーが膨れ上がり、今にも爆発寸前の中。


「頼むから一瞬で終わるなんてツマンネー真似はしてくれるなよ。最後まで俺を楽しませてくれ」


 勝気な笑みを浮かべながら、奴は魔言を解き放ったのだった。


「闘神招来――【因陀羅インドラ】」



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