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移転の光が止んだとき、目の前の光景に僕は目を見開いた。
赤、緑、青、黄色と色とりどりのガラスで出来た神や天使の絵が円形の天井一杯に描かれていて、日の光がそのガラスを通り足元にもその色を反射して、この世と思えない程美しい景色がそこにあった。
「○*€%☆○」
何か声がして振り返るとそこには、優しい表情をしたおじいさん、その後ろにフードを深く被って顔が見えない怪しい4人が立っていた。
「は…はじめまして?」
「☆#€○*☆°#+?」
お互い言葉が通じず小首を傾げてしまった。
暫く5人で話し合いをして、答えが出たのかおじいさんが僕に手を差し出した。
手を取ると、扉の方へ僕を引っ張って行く。このままエスコートしてくれるのだろう。
女神様に教会の人には説明しておくと言っていたので、おじいさんの先導に素直に従う事にしたのだ。
大きな扉を通り抜けると、銀鎧を着た騎士が2人立っていた。
おじいさんと少し話して、僕の顔を見て笑いかけてくれた。それから騎士は両横に着いて歩くのを再開した。
教会から出たらそこには、豪華な馬車が待機していた。乗り込むのは僕とおじいさんの2人だけのようだ。
向かい合わせに席に座ると騎士が扉を閉めて、合図を送るとゆっくりと進みはじめた。
もっと揺れるものだと思っていたけど、全く振動を感じず流れる様に進んでいく。
不意におじいさんが窓を開けて外を指差して僕の顔を見た。景色を見ろって事かな?
おじいさんの隣に座りなおし窓を覗くとそこには、大きな大きな真っ白な城が建っていた。興奮しながら見ている僕の目は今、キラキラと輝いていただろう。
そしてどんどん城に近づいていく。目的地はあの城なのだろう。この国の1番偉い人、例えば王様とかに会えたりするのだろうか。
言葉が通じなかった最初は不安でいっぱいだったけど、今は次は何が見れるのだろうという期待でいっぱいだった。
そうこうしていると、馬車は城門を潜り終え、城を一回りするのではないかというぐらい回り道をして停車した。いろんな景色を見れた僕は満足顔でおじいさんと馬車を降りたのだった。