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ここは何処だろう?
何もかもが変わりすぎてパニックになってしまっている。
目で物を見るのは何年振りだろう、
自分の足で立っているのは何年振りだろう…
「…願いを叶えてくれるのですか?」
少し冷静になり必死に考えて絞り出した最初の言葉だった。
「えぇ、あなたの死にたくないという願い叶えてあげます」
目の前にいるのは金髪の女性、体のラインが良くわかる白いドレスを纏って微笑んでいた。
「残念ながら元の世界での命は尽きてしまいました。なので元の世界に戻す事は出来ないのです。しかし、私の管理する別の世界に不老不死のハイエルフという種族があるので、種族を変えてそちらの世界で新しい生活をして頂こうと思います」
不老不死?えっと…それは死なないって事だよね?新しい生活?自分の目で見て、自分の足で走って、美味しいもの食べて、そんな…そんな……
「…………ありがとっ……ございます」
泣きながら感謝を伝える事しか出来なかった。この人は神様?いや、女神様なのだろうか?
涙と鼻水でグシャグシャになった顔を優しく見つめながら女神様は言葉を続けます。
「それと、今から行く世界には魔法が存在します。ハイエルフは特に魔法を使う上で有利な種族です。王都の教会に神託として私が貴方の事を説明しておきますから、すぐに馴染めると思いますよ」
「何から何までありがとうございます」
すると突然足元が光始めました。
「そろそろ時間ですね。ここから移動すると私はもう貴方に干渉する事は出来なくなります。では、いってらっしゃい」
「いってきます!!」
僕は期待に胸を膨らませながら、自分の体を包み込んで行く光に身を任せた。