第1話 ある日の夜です! (6)
だって僕がお犬様だと思っていたモノは、じっ、実はね……お狐様のようなんだ?
だってさ、顔も耳の形……それにお狐様に触れてみると尻尾のモフモフ感なんて全然違うんだよ。
最初はね、虎毛の柴犬か甲斐犬辺りかと思った。横たわっている姿……大きさも余り変わらないのだよ。
だからね僕は遠目から見てお犬様だと思ったんだ。
う~ん、それにしても本当に綺麗なお犬様……ではなくてお狐様だね。銀色に輝いているよ。月の光を浴びて──それも神々しくね。
と、お狐様に見とれるのはもう良いから。早くお狐様の遺体を道路の端に寄せようよ。
……でないとこのまま放置すれば、先程自分自身で思った通りだ。後続の車に引かれてしまう。
それに下手をすると朝には見れな程の容姿になってるかも知れないよ!?
だから僕は再度お狐様を触り触れてみた……血とかかなり出ているのかな?
と、思いながら、恐る恐るとね……。
「……ん? あれ?」
僕は思わず声が漏れた。だってお狐様血の方は出ていないみたい?
だからね僕は再度お狐様の腹部触り確認をした!?
それでね、ある事に気が付いたよ?
お狐様は全然冷たくないんだ!
貨物トラックに引かれて弾き飛ばされた筈なのに?