10話 ゴブリンの襲来
大変です!
ゴブリンの大軍が町に向かって来ています!」
そう見張りが叫んだ。
は? ゴブリンの大軍?
俺が設定したのだとまだそんなことするタイミングじゃないはずだが。
設定を間違えたか?
一応確認してみるとものすごく沢山いた。
わー、いっぱいいるー
数も尋常じゃなくどこを見てもゴブリンしか
いなかった。
俺の設定と何もかもが違う。
ていうか、町囲われてね!
逆によく今まで気づかなかったな…
「各自ゴブリンを出来るだけ町から遠ざけるようにしてくれ。 じゃあ、よろしくね。」
ギルドマスターの指揮でほぼ全員の冒険者が
ゴブリンを残滅しに向かった。
冒険者達の顔が暗い。
そりゃそうか、初めて魔物側から襲われているからな。
攻撃するのと、されるのでは全然違うからな。
俺もペットボトルに水を入れて戦闘に向かう。
ゴブリンを見つけると『操水』を使いゴブリンを倒す。
倒したゴブリンの血に『操水』を使い扱える水の量を増やしてまた倒す。
そのサイクルを繰り返しているとかなりの量の水を使えるようになった。
『操水』は集中力が切れない限り使えるから
便利だし、ゴブリン程度なら軽く倒せる。
アリアの様子を見ると初球魔法無詠唱のスキルを使ってゴブリンを蹴散らしていた。
アリアは俺の姿を見ると、こっちに優しく
微笑んだ。
やめて!返り血に染まった顔で笑いかけないで!
すごい怖かった。
倒しても、倒しても切りがない。
数が異常に多い。
俺やアリアや筋肉ダルマなどレベルが高い
冒険者はまだ戦えているが、レベルの低い冒険者達がかなり苦戦している。
このままでは、らちがあかない。
俺は大元であるゴブリンロードを叩くことにした。
その前にギルドの様子を見ておこう。
俺は『操水』で体を飛ばして空からギルドに向かう。
ギルドは村の中心部だからまだゴブリンはいなかった。
「エイト君大丈夫だったかい?」
着くとさっそくギルドマスターに声をかけられた。
「あぁ、俺は大丈夫だ。
これから俺はゴブリンロードを倒しに行く。」
「勝算はあるのかい?」
「微妙だ、だが他に手がない。
俺がいた所の守りが薄くなるからそのつもりでいてくれ。」
「うん、いいよー」
「軽いな…お前戦えるのか?」
「真ん中だよー」
なんだよ真ん中って。普通ってことか?
兎に角急ごう。
空を飛んで向かっている途中に戦場を見たが、かなり押されていた。
出来ればアリアも連れて行きたい所だがこの
状況で戦線を離脱されるわけにはいかない。