白き空間の中で待つ少女とその少女への使者
真っ白な空間にアヤカは一人立っていた。
「ここは、どこ?」
あたりりを見回しても白い霧と、白い空がどこまでも続いてゆく。
ただ、歩くと地面に水面に水滴を落としたような波紋が広がる。
「あ、ステータス画面で連絡取れるんだっけ?」
ステータスには連絡機能があり、それに気が付いたアヤカはステータス表を開こうとアクションを取る。
「あれ、開かない?」
しかし、ステータス画面が現れる音は聞こえるのにどこにも見当たらなかった。
「この空間、やっぱりなんにかあるとみた方がいいのかな?」
アヤカはためしにスキルや魔法を使うも、発動している感覚があるのに、実体化できない感覚続く。
『そんなことやっても無駄よ・・・』
どこからともなく声が聞こえる。
「だれ?」
アヤカは後ろを見るがそこには誰もいない
『私は、・・・あなた』
今度は右を見るが、だれもいない。
「まるで謎かけみたいね」
アヤカは周囲を警戒しながら声の出どころを探す。
『そうね。でも、感じるでしょ?自分だけど、明らかに自分じゃない気配』
そう、先ほどから感じるのだ。自分じゃない、自分の気配。・・・自分で言っていて意味が分からないけど。
「気づいている・・・けど、場所がわからない」
そういうと、謎の声体と思われる、自分に限りなく近い気配が強くなる。
『そう?・・・よく感じて、どこかにわずかだけどあの人の力を感じるから』
「あのひと・・・!待って、なんで!?ここにいるの?本物が!?」
感じた。・・・確かにかなり薄い。いいや、感じようとすればはっきりわかった。
私じゃない私の気配がここら一体でものすごく強いんだ。
これを私自身の放つ気配と錯覚していて気付かなかった。
「まさか・・・ここ?」
アヤカは、目の前の何もない空間を無造作につかむ。
すると、その空間がまるでシートを掴んだかのように皺がよる。
そのまま、アヤカは見えないシートを取り外す。
そしてその瞬間、――――――――世界が反転する。
今まで白かったこの空間は真っ黒に染まり、目の前には十字架にかけられた両開きの棺桶があった。
「ッ!・・・どういうことですか?」
『どうもこうもない・・・最初に言ったでしょ?私は、あなた。あなたは、私』
そういうと棺が開き、名から銀髪蒼眼の前髪で顔の半分が隠れる少女が現れる。
それと同時に、アヤカは相反する二つを受け、温かさと寒気を感じて少し恐怖を感じる。
―――慈愛と嫉妬。
『私は、フーと呼ばれていたの。よろしくね』
彼女が差し出す手を掴んでいいのか、アヤカは悩んだ。
しかし、彼女に握手を拒むことはできなかった。
アヤカの目の前にいるこのフーという少女は明らかに自分よりも強いからである。
しかし握手をして彼女は後悔した。
・・・ただし、後悔したのはフーが手を放してくれたあと。
アヤカは彼女の手を掴んだ瞬間、形容しがたい地獄に襲われた。
天国のような優しく温かい感情を受けたかと思えば、同時に地獄のような苦しみと極寒がアヤカの精神を襲う。
きっとアヤカでなければすでに意識はなかっただろう。
アヤカは、握手をして数秒後にはひざから崩れて虚ろな目をしながら、地面に倒れる。
『・・・ふむ、器としては。成り立っているか。あとは、自らの罪に・・・精神が耐えられるかだな』
自らのしっかり握って、数秒耐えたことにフーは感心しながらそういう。
「あれー?アヤカちゃん、死んじゃった?」
その真正面に気付かぬうちに一人の少女が現れる。
『何!?夢魔族?・・・いいや、概念妖魔種か。こんな時に厄介なものが』
「あ、まってね。フーさん。別に私は邪魔しに来たわけじゃないよ?」
処女はあわてて自らは敵対しに来たわけじゃないと慌てる。
『ふむ・・・そういえば、貴様。あの『ラス』とかいうスライムに似ておるな・・・まさか』
「さすが、主のお弟子さん。長女だっけ?落ち着いているね」
『なぜ、それを!?いや、・・・まさか』
「そうだよ・・・あの人はすべてを思い出した。そして、・・・死のうとしている」
『ふむ、あのメッセージとやらの言葉は本当のようだな。まさかと思うが―――――』
「――――――!驚いた。察しがいいんだね。主がどうして、君にこのことを話してほしいといったわかったよ」
『ほお、あの方が・・・』
「そうだよ、あ。その前にお菓子どう?」
『うむ、いただこう・・・』
二人はお菓子を片手に話を始めた。
この話が、このあとだれも予想できなかった計画の第一歩だった。
ステータス画面から連絡が取れる。
・・・忘れかけてましたね(・・*)ゞ ポリポリ