キンジ空をかける
キンジは空をかけ、精霊樹の頂上を目指し駆け上がる。
すると上から様々な色の光球が現れる。
それはキンジに向かい光線を放つ。
「危ないではないか」
そう言ってキンジはよけながらさらに加速してゆく。
しかし高度があがるたびに光球の数は増え、また下の光球も光線を放つことで避ける数が増えてゆく。
「・・・少しまずな」
そう言ってキンジは無意識にスキルを使用し、2つの銃を創生する。
「・・・無意識に作ってしまったがしっくりくるな」
そう言うとキンジは右手で前方の光球を、左手で後方の光球を撃ち落としてゆく。
たまはMPで生成されており、気配察知と『我』の持つ超直感により射撃の制度は100%。
さらに、あえて特殊体術による飛行を選択し、温存した鉄壁による反射攻撃による複数の光線の反射による光線の回避、反撃を駆使してキンジはさらにかけがる。
すると急に光球が消え、前方に半透明の空色と薄緑色の羽の生えた重厚な鎧をまとった精霊が現れる。
「止まれ!ここを世界樹と知っての狼藉か!」
「これより先は我々上位精霊であり、精霊王より精霊樹近衛兵を賜りし我らが相手をしよう!」
二体はそう言ってキンジに迫る。
・・・しかし、キンジはにやりと不敵に笑うと、大きく息を吸い込んだ。
『邪魔だ!わが前に立つな、羽虫が!』
その声はまさしく王の一喝。
それを聞いた2体の精霊は体の自由が利かなくなり、キンジに道を譲る。
その命令を完遂すると、2体は気絶して地面へと落ちてゆく。
キンジはそれを無視し、さらに駆け上がる。
意外なことに、それ以上追手が出てくることなく、精霊樹の頂上へとたどり着く。
精霊樹の頂上は庭のようになっており思いのほか広い。
キンジの駆け上がってきたその端で西側に位置する広い湖を有する野原。
「・・・おや、こんなところにお客さんが。・・・うむ。主は面白い存在であるな」
その野原にたたずむ体の透けた少女はまるで老人のような口調でそう言った。
「なに?」
キンジはいぶかしげな表情で顔をしかめる。
すると、半透明の少女は笑い出した。
「はは、おこるでない。・・・ここに外から来るものは珍しいのでな。珍しく儂も心躍る状態と言う事じゃ」
少女は敵意の感じない無邪気そういうので、警戒するのはばかばかしくなる。
「そうか・・・悪いがこちらは人探しに来ているのだ。ここに少女が来なかったか?」
「少女?・・・うーん。何千と生きていると儂から見たら女子は皆少女なのだが・・・」
「すまない。質問を間違えた。・・・えっと、髪は短く、整った容姿をしており、運動能力の高い少女のなのだが・・・」
キンジは珍しくも下手に出て言った。
なぜか彼女に頭が上がらなかったのだ。まるで、彼女の尻に敷かれたいた時代があるかのように・・・。
「うむ・・・、ちと抽象的ではないか?名は?種族は?年は?」
「えっと、名は『ルトー』。種族は『精霊』。我と同じくらいだ・・・」
キンジがそう答えると彼女は目を見開き驚く。
「・・・そうか、ぬしか」
そう言って彼女はおもむろにたちがるとキンジの顔に手を当てる。
キンジは王の人格である。
こういったハニートラップじみたことは無れており、多くの歳を行き、多くの者を英雄にした彼にとって女性からのボディタッチなどあまり気にしない。
だが、彼女が近ずくとキンジはあることに気が付いた。
「・・・すみません、名前をお教えてもらっても?」
「構わんよ・・・私の名はセレビーヌ。もと妖精じゃ。よければセレビイと呼んでくれ」
「わかったセレビイ。・・・我のこともキンジと呼んでいいぞ?」
「ふふ、わしにそんなこと言うやつはおまえで3人目じゃよ」
何が面白かったのかわからないがセレビイは楽しそうに笑っていた。