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割れたクリスタル、二人のレンジ (後半)

 



「なあ、お前何者だ?」


 白のレンジの問いに黒のレンジは少し考えるようにして、こういった。


「僕は、何者だ?」


「「「「なッ!?」」」」


「・・・やはりか」


 黒のレンジの回答に多くの者が驚くものの白のレンジは予想通りと言った風な口ぶりで答える。

「えっと、白いダーリン。この状況がつかめているの…?」


 ミレイは戸惑いながらも白のレンジにそう聞く。


「うん?ああ、そうか。あんたは主人格の奥さんだったな。・・・ちなみに俺も、そいつもレンジではあるが。レンジではない」


「どう…いうこと?」


 白いレンジはまず黒のレンジを指さす。


「こいつは、レンジの知性。つまり軍事や政治に口出しをしていた知恵を司る人格」


 そして次に自分を指す。


「俺は主にレンジの武力。戦闘時に表にできて主人格による思考のバックアップと本能をむき出しにした反射を駆使して闘っていた戦闘を司る人格。そして・・・」


「もう二人、人格がいる」


「その片方が・・・いつものレンジ君?」


「そうだ。・・・って、言ってもこれは主人格のレンジが一人称で俺たちを区別してからなんだがな」


「一人称で、区別?・・・あ、『自分』『僕』『俺』『我』」


「おお・・・確か、娘のアヤカだったか?その通りだ。その中の『俺』が今君たちの目の前にいいる白のレンジ」


「それでは、そちらの黒い旦那様が『僕』の旦那様・・・レンジ様と?」


「そうだ。なぜか、記憶を失っているようだがな・・・」


 そう言って白いレンジはミオを心配そうに見つめる黒いレンジを見る。


「しかし、『僕』よ。いつまでその少女を見ているのだ?」


 白いレンジはそう言った。

 その瞬間、ミレイ、アヤカ、エリーゼ、ミオに緊張が走った。


「白のダーリン。・・・って言いにくいわね。そうだ、とりあえず白いダーリンは『ハクレン』っと名乗って。そっちの黒いダーリンは『コクレン』ね?」


 黒いレンジは自分のことを呼び指し自分の事ですかと目で聞いてくる。なので頷くと、彼は首を振り、否定する。


「『僕』はそれなら、ディルキアと名乗る」


 その名にブレイファー全員に緊張が走る。


「騎士、ディルキアは、もう、いない」


 その瞬間、ミオから放たれた言葉。その言葉に黒のレンジは驚いたような顔をする。


「君は・・・レンジ君ではないのだろ?」


「ぼくは、・・・ぼくは、・・・あなたを守る騎士でいたい。僕に残るかすかな思いが、大切な君を守れと言っている」


 その言葉にミレイたちがピクリと反応する。


「とりあえず、君は『コクレン』と名乗りなさい。・・・もう君に父とは重ねないために」


「しかし・・・」


「騎士になるというなら、これは命令だ・・・」


「・・・はい。これよりは魔王近衛騎士『コクレン』と名乗ります」


 黒のレンジは膝間づき、手を胸元にあててると、そう言って名前を受け入れた。

 その光景は何とも汚しがたい美しい光景だった。


「ねえ、ハクレン。どういうこと?」


「なあ、俺のはなし聞いていたか?あの娘っこは誰なんだって・・・」


「本当に覚えていないの?」


「俺は、・・・主人格があったことがあるんだな?」


「ええ、おそらくダーリンがこの世界に来て初めて触れたこの世界の住民。そして・・・」


 そこでミレイは言葉を紡ぐのをやめた。


「・・・フフ、それだけではないと言うことか。まあいい。しかし問題は分れ方だな」


 ハクレンはそう言って笑うと・・・己の胸に手を当て、目つむった。


「『自分』はわからないが・・・『我』の位置はわかる・・・と東?北東か?巨大な木の近くにいるようだな」


「東に巨大な木?・・・まさか」


「心当たりがあるのか?」


「・・・ある。そして、なんとくした。そこには彼女がいるはずだから」




 ※※※




「ルトーさま。おはようございます。・・・うん?」


 いつもルトーが眠るベット。いつもおこしに来るヘカトンケイル、パールは主が部屋にいないことに気づく。

 気配をたどり、精霊樹から何かを抱えて戻ってくるのを確認する。


「また、厄介ごとですかね・・・」


「とうちゃーっく!」


 そうこうしていると窓からルトーが戻ってくる。


「・・・」


「どうしたの?パール」


「そ、そのかたは・・・」







 ルトーの背中、そこには黄金色の服を着た蓮二が眠っていた。

そろそろ、彼女も合流です

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