足止めのレンジ
当然の光にレンジは驚くも、慌てはしなかった。
「ふむ、覚醒には成功したようだな・・・しかし、5分12秒。時間オーバーだ」
レンジはそう言って切り合っていた死神に強烈な一撃を与え、後ろに引かせる。
しかし、死神も決死のカウンターと言うかのように鎌を振り上げる。
「廻れ、すべては循環する、他の者の時が進む中でかの者に永劫の今を!」
すると、死神を囲むように光の輪が現れ、それと同時に死神が静止画のように動かなくなる。
レンジは残りの力を使い、対象の時間を『現状』で維持させ時間を回している。
敵を攻撃することはできないが、少し休息を取ることならできる。
この間にすかさず自分も後ろに飛びのく。
すると、レンジのエネルギー循環を加速させるために使っていた『転輪』の光の輪が消え、ひどい脱力感に襲われる。
しかし、レンジはその脱力感にあらがい、何とか座り込むだけに抑える。
本当ならこのまま地面にこの身を任せたいが、何しろ今は戦闘中。
完全無防備になるのは避けたいところだった。
しかしそれはも座るというのもかなり無防備に近い。
・・・しかし、それは彼の信頼の証でもあった。
「お疲れ、レンジ君。・・・あとは任せて」
そんな声が後ろから聞こえてくる。
彼女のことは信頼している。
だが騎士として守るといった手前、今の心境はかなり複雑だ。
そう思いながら声をかけられた方に振り向き、レンジは固まった。
「み・・・お、か?」
「そうだけど・・・あれ?私声変わった?」
「あー、声だけじゃなくてな、・・・見た方が速いか。〈創生:鏡〉」
そう言ってレンジはミオの前に鏡を作り出す。
「・・・これって」
「そうだな、ずいぶんと大人びたようだな。おかげで主人格が照れて支配権を譲ってきたくらいだぞ」
そう、ミオの容姿が少し視聴して25くらいの姿になっていた。
妖艶さと清楚を兼ね備えて、どこか利己的。恋も仕事もできるキャリアウーマンとかに会いそうな感じだ。
「え、レンジ君が?」
『我』に『自分』の現状を聞き、驚いたようなかをするミオ。
その顔はどこかうれしそうだ。
「はは、なんだお主らまぐわいを済ませたというのに随分と初心だな」
『我』は蓮二の姿、声でそう言い、豪快に笑った。
「ぅう、レンジ君の姿、声で言われるとなんか複雑・・・」
「それはいいとして・・・おっと、拘束が解ける」
『我』状態のレンジは使用した転輪がそろそろ無効化されることを瞬時に察した。
そして、死神の周囲の光の輪が消え、死神は振りかぶっていた鎌を振った。
レンジに吹き飛ばされながら振った鎌は空振りに終わる。
死神は突如として消えたレンジを捜し周囲を見渡して二人を見つける。
「死神さんはやる気十分なようだ。ミオ、行けるか?」
「大丈夫。・・・と言いたいけどちょっと最初は体になれるところからかも」
「・・・なら軸と基本を意識するといい・・・らしいぞ」
「らいしって・・・」
「主人格が言っているのだ。仕方なかろう。・・・なに?その位自分で伝えぬか!変わってやるから!」
すると、レンジの纏う雰囲気が変わる。
「おお、本当に変わってくれた。・・・えっと、ミオ。ふがいない騎士でごめんね。そして、もう一つ。僕も言わせてもらうよ。・・・生きて戻ってきて、my Queen」
「!」
レンジが疲れているにもかかわらず強がりながら精一杯のさわやかな笑顔そう言った。
すると、ミオが顔を真っ赤にしてレンジから背向け、死神に向かって走り出した
・・・やはり初心だな。しかし、『我』の予想以上にたらしのようだな。
「え、なんで?」
・・・はあ、おいおい、やっぱり『自分』は気づいてないか。『俺』でもここまっで行けば気づくというのに。
・・・それが、『自分』の恐ろしいところ。『僕』ではこうはいかない。
他の人格に散在言われながら僕はミオを見守る。
・・・そして彼女は・・・死神を一撃で沈めた。




