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ディルキア

久しぶりの投稿。かなり間隔が空いて済みません!

 


 ミオの頭を十分に撫でた自分はメニューから服を取り出し着替える。


「・・・ねえ、レンジ君」


「どうした?魔王の鎖、解いてくれる気になったか?」


「それは絶対にいや。だって、君〈王令〉解いちゃうから・・・ね?」


「・・・はあ、失敗したかも」


 自分はそう言ってため息をついた。

 魔王を含めた王系スキル。その筆頭ともいうべき絶対命令権、〈王令〉。

 一種の洗脳の上位互換。実力差がない対しいた効果のない洗脳と違い、王令はどんなレベルのものでも一定レベルの洗脳を施せる。

 もっぱら、それを施すまでにはタイムラグがあり、種族上位のものならばある程度はレジストできるだろう。


 しかし、レンジはレジストよりもミオの涙をふくことを優先したためしばらく王令の支配下にあった。

 しかし、ジョブSPの補助と開錠のスキルで王令からの支配を受けたはいいが、いつの間にか魔王の側近と呼ばれる契約スキルによって自分はミオを守る最強の騎士と言う立場を与えられ行動に縛られている。

 これは契約故に解除のスキルは効果が無い。


 契約は基本的に世界への契約宣言である。

 故に解くことができるのは当人同士か星の創生者である神がその契約を無効と判断を下すかだ。

 魔王の鎖は契約系スキルの中で最上位に入る。

 特徴は契約者同士が強くつながること。

 基本的にこれはモンスター支配などに使ったりするのだが、歴代魔王と違い、その高い能力を持つミオはライファーやブレイファーさえもその鎖に縛ることができる。


 ただ鎖は生命を宿し、高い知能をもつ者に対してあまり強い制約をつけることができない。

 ましては人種の中でも高位人種であるレンジはミオの言葉に強制力を感じるだけで、抵抗できなくはないといった程度だ。


 ただ、王令にかかた時に承認した「私から離れるな」それと魔王の鎖が連動し、魔王近衛騎士に与えれるガーディアンの紋章を植え付けられてしまった。

 これにより、自分はミオの許可なしに半径2キロから外に出ることはできなく、ミオはレンジを召喚することができる。


 それがいたって普通に生活することができる。


 ・・・ただここはブレイファーの魔王城。


 目を覚まして周囲に気を張り巡らせて気が付いたが、個の城のはかなりの腕を持つ者が多くいる。

 ただ、このミオの部屋は特別性なのか感知魔法の通りが悪く、防音加工がされており、魔法も霧散してしまう。


「それでね、レンジ君。君に魔王の鎖によって近衛騎士の紋章を付けちゃったから、・・・私のこの城にずっと一緒にいてほしいの!」


「・・・ミオ。俺の気持ち、能力をわかっているうえで言ってるのか?」


「うん・・・」


 ミオはどこか罪悪感がるのか顔をそむけて肯定する。

 その表情には怯えが見えた。

 レンジに嫌われたくない。けど、もう後には引けない。

 そんな心の声が聞こえてくるようだった。


「・・・一か月、だ」


「え?」


「一か月、自分はミオの物になってやる。・・・一か月たったら、いいな?」


 ・・・つくづく、自分は甘いと思う。そんなことをすれば彼女がどうなるかわかっているというのに。


「・・・いいの?」


「・・・よくはない。だから、ミオの物でいる時は自分はレンジではいられない」


 そういうと、自分は部屋に隅に移動する。


 ・・・あの日記には書いてあった。そして、さっき見つけた。


「・・・ここか」


 そう言って壁に触ると、その壁は沈み込む。


「レンジ君!・・・それはまさか」


 ミオの顔が驚愕に染まる。それもそのはず。5代前の魔王以来、行方知らずの場所だからだ。


「行こうか、ミオ。・・・この先に。君の調べによれば1月でいいのだろ?」


 自分はそう言ってミオの手を差し出す。


「うん・・・じゃあ、お願い。僕のガーディアン。・・・そうだ、よければディルキアと名乗ってくれないか?・・・この仮面とマントと共に」


 そう言ってミオはマジックバックより仮面とマントを取り出す。

 それはどう見ても身のサイズは合わず、もっと大きな。それも男の人が着けるものだった。

 自分はそれを受けとり、身に着ける。

 不思議と違和感はなく、どこか暖かさと何者からか「ミオを頼むぞ」と暖かな男性の声が聞こえる。

 それと同時に、自分中のあれが表に出てこようとする。


「・・・いいよ。今から自分はディルキア。」


 そう言おうと思い、あることを思いつく。


「・・・いいや、『我』はディルキアである!魔王よ・・・いいや、ミオよ我名を呼べ。一時的にだが、本契約をしてやる」


「・・・え!」


「どうした?」


「う、うんん。わかった、行くよ。『我、魔王が魔法神様に願い奉る。今ここに魔王の鎖によって繋がれた王と騎士の誓いに祝福を』」


 すると、額の紋章がよりまがまがしく変化し、その紋章が仮面の柄として取り込まれる。


「・・・これで貴様と我はひと月であるが一心同体。あれに挑むにしても準備をしなくてはな」


「・・・うん。よろしく、ディルキア」




 ※※※




 魔王城、玉座の間。

 そこは黒や暗い色で統一されながらもどこか神聖な雰囲気を感じさせる。

 その玉座から出入り口へとつながる一本の赤い道。

 その道の横には左右十名の幹部が並び、全員が膝をつく。

 実力主義のブレイファーならば、たとえ若かろうと頭を下げる。


 ―――ガチャン


 この部屋唯一の出入り口の門が開き、主が現れる。

 そしてその瞬間・・・全員の背中に寒気が走った。

 その寒気は間違いなく恐怖。

 双帝すら薄っすらと感じるほどの恐怖。

 ならば、八龍はどうなるか・・・?


「「(ガクガクガク・・・)」」


「「(ブルブルブル・・・)」」


「「(―――――――――)」」


 ―――――――――バタン、バタン。


 二人は手がぶるぶると震え、二人は体全てが震え、二人は頭を下げた多まま気絶し、二人は泡を吹きながら倒れた。


「・・・フッ、これが八龍?魔王配下の幹部と言いながらまるでこれでは、そこらの雑魚ではないか」


 意識を保っていた全員は聞こえたその声に思わず面を上げる。


「・・・ディルキア。私もこれは予想外だったわ」


「「「「「なッ・・・!」」」」」


 その場いた全員が息をのむ。

 ただ、その理由は大きく二つに分かれた。




 彼の姿の驚くものと、彼の仮面の紋章に驚く者だ。




 驚く彼らをよそにミオはそのまま玉座へと腰を下ろす。

 彼はそのあとに続いて歩き、八龍全員を気絶させる。

 そしてそのままミオの斜め後ろに立つ。


「うん?みなどうした?よもや、貴様らもディルキアの殺気に体が言うことを聞かないなどと言うわけであはあるまい?」


 ミオはドSな口調でそう言い、玉座から冷たい視線で全員を見下ろす。

 双帝の二人がゾックリとしながら顔を真っ赤にする。


 ・・・まさか、孫に罵られて。どМなのか?


 と、不謹慎なことを考えてしまうほど、レンジはテンパっていた。

 玉座の間に入る際、新人として舐められないように威圧感を出そうとした。

 SPと言う仕事上、相手を威圧するのはなれている。

 少しばかり本気でやってみたがものの見事に若そうな4人が気絶してその4人より少し年上そうな4人は今にも倒れそう。・・・震え方が尋常じゃない。

 少し辛そうだと思い、悪いが今回は眠ってもらった。


 この方が全力で殺気を出したが、気絶させきれなかった未熟な人として彼らの面目は守られる。

 そう自分は考えていたが、紛いなりにも相手はかなりの手練れ。

 本気でない殺気であの威力だとすぐに見抜かれる。


 ただ、レンジはテンパっていて思考はめちゃくちゃ。

 ただ、突如として力を貸してくれた『我』に手伝てもらい、毅然にふるまうことはできても思考はまともに動かず、焦るばかり。

 そのうちミオの後ろに立ち、全員を見る。


 ・・・そして失敗を悟った。


 本来なら、レンジは八龍たちの並ぶ幹部の列の最後尾に並ぶはずだった。

 しかし、八龍の大半が気絶。意識を残したメンバーもギリギリだ。

 そんな中で最後尾がどこかわからず、かといってそのまま並べば最低地位だが幹部である八龍の席を狙っており、邪魔者を掃除したようになる。

 威圧感はあるかもしれないが印象は悪い。


 よって、そのままミオについてゆく。

 これが完全な失敗だった。

 どこにも入れる場所が無く、結局玉座までたどり着き、ミオの背後に着く。


 ・・・全員の視線が痛い。


 後で聞いた話だが、その場所は魔王の右腕位置だそうでブレイファーならだれもが羨む地位に魔王の宣言なくレンジは立った。

 これは全員に対する挑発行為に等しい。

 全員が自分を見ている。中、レンジはようやく落ちついてきた。


「この者は、我制約によって近衛騎士へとなったディルキアだ」


「・・・よろしく頼む、よっと」


 そう言って・・・我はマントを振り払い、飛んできた暗器3本を受け止める。


「おいおい、せっかくもらった服なのだ。穴を開けられるわけには行けないのでな。それはこれは返しておく」


 そう言って我は投げた本人へ暗器を投げ返した。

 投げ返されれた本人はその場から飛び退く。そしてその場には変わりと言わんばかりに3本の暗器が刺さっていた。


「・・・なんのつもりだ!?」


 彼はそう言って睨みつけてくる。


 ・・・それはこちらのセリフでもあった。暗殺者流の挨拶が来たから彼のレベルを見て軽く(彼の2倍)で投げたのに、それを受け取らないなど、暗殺者の礼儀に欠ける。


 我は彼のそんな様子を無視し、新たな興味がわいたかのように出入り口の門い目を向ける。

 我の感知魔法が門前のゴーレムが起動したことを感知した。

 ミオも気づいたのか、門へと視線を移す。

 その様子に全員が門に注目する。




















 ―――ドコッン!


 何かを破壊するような音ともに玉座の間までを守護する人型魔動兵器ミスリルゴーレム(MG1)とオリハルコンゴーレム(OG2)が門を突き破り玉座へと吹き飛んでくる。

 人間サイズであり魔族並みの魔法を使いながら格闘戦もできるMG1は四肢を全て引き抜かれ、同じく人がでありながら近接戦闘特化し、最高硬度を持つアダマンタイトでできた肉体を持つOG1は肩から斜めに切れ込みを入れられ、むき出しになった配線から煙を上げる。


 門の向こうから3人の足音が聞こえる。


「・・・ここね」


「エリー、匂いは?」


「ここで間違えありません・・・ですが、これは」


 それは女性3人の声。

 その声に我は聞きおぼえがある。


 来るとは思っていたが、これほど早いとは思っていなかった。




















「・・・ミレイ、アヤカ、獣王エリーゼ」






 ミオはばつの悪そうに3人の名前を呼んだ。

 3人はかなり戦ったのだろが、一切意気は上がっていなかった。

 それぞれは己が武器の切っ先をミオに向け、言う。


















「・・・さあ、ダーリン(お父さん)(旦那様)を返してもらおうか!」
















 そして、我は・・・いや、『自分』は剣を抜いた。



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