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『聞きたくない!』

少しおかしな終わり方ですが大会出場権獲得編最終回です。

 


『転生せし我が肉体よ、その体は自らの創生せし世界へと戻り』


『2度目の転生で残した負の遺産をその怨念より解放することを願う』




 ※※※



「・・・」


 自分は自分と同じ声の髪と瞳の色の違う瓜二つの自分にそういわれ、目が覚める。


「すーすー」


「むにゃむにゃ・・・」


「ううん、うう・・・」


 周囲を見渡すとミレイ、エリーゼ、アヤカが薄着で寝ている。

 少しでも動けば局部が見えてしまいそうである。


「・・・ここは、屋敷か?」


 自分御寝ていたベットは自分の者であり、窓から見える景色はよく酒の肴としていた景色だ。


「・・・あ、レンジ君。起きた?」


「ミオ?・・・お前帰ったんじゃ?」


「・・・それが、王都から嫌な気配感じて。魔神様からも向うように言われたし」


「それって・・・」


「うん・・・レンジ君が倒したっていうあの終焉の魔物」


 自分は眉間を抑え、あのときのことをよく思い出す。

 しかし、記憶は断片的でまるで憤怒の状態に似た感覚を受ける。


「・・・終焉の魔物って何者なんだ?」


 自分がミオにそう聞くとミオは寝ている3人に視線を移すと窓を開ける。

 自分はこっそりとベットを受けるとその窓から屋根へと跳躍する。


「・・・ごめんね、レンジ君」


「構わない、自分も配慮が足りなかった」


 ・・・今の自分はどこかおかしい。少し自己中心的考えが強くなってきている。


『はは、それが今回の汝に刻まれた人格の片割れ。われの覚醒によるものだろう。まずは我を御せなければな』


 そんな声が頭の多くに響く。


「・・・クッ!」


 自分の頭を抱え、深呼吸をする。

 すると、頭痛は収まり、思考がクリアになってゆく。


「レンジ君?」


 なにやら水筒を持ったミオが自分を心配そうに見つめている。


「・・・なんでもないよ」


 自分は笑って見せた。



 ※※※



 終焉の魔物・・・それはかつて創生神が世界を作った時に世界を円滑に循環させるための12の土地を守るために作った12体の神獣。

 あの鹿は転輪。死した魂をその森で蓄え、初期化と再生を行い、輪廻の輪へと送る森の守護者だったらしい。

 ただ、その森を含め12の土地はすでに役割を終えており、神獣は神界にて新たな神の元へ着くはずだった。しかし一部が新たに神の座に座った生命神と魔法神に反発。

 神獣とは守護と破壊を任せられた世界管理システムである。故にその力は世界を滅ぼせもする。故に神へ反旗を翻す魔物とし、世界を終わらせる終焉の異名が付けられていた。

 当時のライファー、ブレイファーによる最高戦力でこれを一体ずつ討伐。

 反逆の神獣、終焉の魔物すべてを討伐に成功したらしい。


 その後、平和となった世界でいかにして高水準の戦闘力を維持するかと考え、運動会と言う名の世界最強を決める催しが開かれ、それはいつか再び現れるかもしれない終焉の魔物への対抗力の育成と対抗軍を構成した際の旗印とするためらしい。


「・・・と、ここまでが私に教えられている終焉の魔物について」


 彼女は水筒に入れた温かいお茶をコップに移し、自分渡す。


「あの運動会には対終焉の魔物用の選別も含まれていたという事か・・・」


 こんな平和な世界だからこその問題点と言ったところだろう・・・そして。


「アヤカが召喚されたのは運動会のためだったな。それはつまり・・・」


「ええ、おそらく邪神の復活に際し、ライファー最強の旗印勇者が呼び出された」


「・・・つまり、生命神と魔法神の考えとしては邪神が動くのは運動会後と言う事か」


「さすが、レンジ君。魔法神様によれば運動会最終日の夕刻。それこそ施された封印の開放日だそうよ」


「そりゃまた一番集まる時に・・・いや、それを狙ってか?」


 僕がコップを返すと彼女はコップを月にかざし、何かを確認する。


「ええ、邪神の封印地は運動会開催地である湖の奥底。そこより邪神とその仲間が復活すると予測されているわ」


「でできたところを叩くと」


「そうね、ちなみに美鈴はこのこと知ってるよ」


 彼女は自分の使ったコップにお茶を入れ、うちの一部をなめてからお茶を飲む。


「むっ・・・顔に出てたか?」


「ええ・・・少し妬けてしまうくらい」


「・・・なあ、ミオはミレイとアヤカと何か約束を交わしているのか?」


 すると彼女は少しだけ…普段なら気づかぬであろう程度だが、驚きをみせる。


「・・・なんで?」


「・・・ミレイがね、この世界に来てから僕を独り占めすることに罪悪感を感じ、何か動いているような発言をしたんだ。前世では夫婦は男女一人ずつだった。この世界は女性の方が生まれやすいから一夫多妻制なのはわかる。だが―――」


「それ以上聞きたくない!」


 自分は隣を見るとミオは立ち上がり、少し黒い空気を纏っている。


「・・・ミオ?」


「レンジ君、だめだよ。そんなこと言っちゃ。私たちに勝ち目がなくなっちゃうし、ミレイを許せなくなちゃう」


 ミオは俯きながらそんなことを言う。その空気には身に覚えがあり、その雰囲気はあのときのそれと一緒だ。


「・・・おい、まさか。ミオ、お前も」


「うん、だからね、レンジ君」




















 ・・・わたしの物に、うんん。私だけのものになって










 僕はすぐさま魔法を使っての脱出を試みる。


「にがさない、よ」


 しかしミオはそんな自分の考えは見透かしていたかのように自分の背後を取る。


「レンジ君。しばらく、私といて・・・魔王スキル〈王令〉『眠りなさい』」


「・・・うっ、み、ミオ」


「さすがレンジ君。王令に反抗するなんて・・・」


 自分は最後の力を振り絞り手を伸ばす。


「・・・ごめんね。レンジ君。わたしもう一人になりたくないの」


「―‐―!    。」


 自分は小さくそういうと意識を失った。




 ※※※




「もう、なんで・・・」


 レンジを眠らせたミオは背後に漆黒の楕円を開く。

 それはワープゲートと言い、個人使用の転移門だ。

 そこへ踏み出そうと一歩踏み出すも彼女の足は止まる。

 彼女は抱きかかえるレンジの安らかな顔。

 そして、今にも泣きそうな自分の罪悪感をぬぐうかのように自分の目じりにたまった涙をふき取った。

 そうレンジが最後の気力を使って伸ばした手・・・それはミオの目じりのたまった涙を拭い取るものだった。それに最後にかけられた言葉・・・。


 ・・・そんな優しくされて好きにならないはずがないじゃない


 ミオにとって恋愛とは初めての経験だ。

 そして、短い間だが味わった家族の温かさはとても心地よかった。

 でもこれから魔王としてブレイファーの前に立つことになればレンジたちとこうした時間をすごくことはできなくなる。

 そして何より、あの玉座はさびしい。


 そばにいてほしい。隣にいてほしいと思ってしまった。

 自分と同じ強さを持って、自分に優しく、気が利き、多才である彼。

 だが、彼の瞳に常に映るのは自分ではなかった。

 何時だって、親友のあの子。


 ・・・嫉妬っていうんだろうな。


 ミオはそう思いながらそれ以上の涙をぐっとこらえ、ワープゲートをくぐる。


「「「「魔王様、お帰りなさいませ」」」」


 膝をつき自分を迎える彼ら。

 能力至上主義であるブレイファーは年に関係なくすぐれている物こそが上に立つ。

 故にこの若さにして魔王に着きながらも全員が従順に従う。

 この場には2帝、4天王、6刃将、8龍の全員がそろっている。


「魔王様その人間は?」


 2帝の片割れにして自分のおじいちゃんのような存在である蒼龍がミオに聞く。


「・・・」


 ミオはレンジを見つめ何と答える考える。

 4天王が一人であるトールはレンジを見てかなり驚いている。























「我・・・伴侶だ」


 ミオがそう言った瞬間に魔王城に激震が走ったのは言うまでもない




ついにミオが!

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