表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/107

エリー

少し忙しくなってきたので更新週1更新も怪しくなってきました・・・ご理解ください。


 


「だ、旦那さま、大丈夫ですか」


 崩れ落ちた自分を見てエリーゼが駆け寄ってくる。

 以前も思ったが前回襲ってきたときの面影をまったく感じない。


「君は本当にエリーゼさんなの?」


「はう・・・はぁはぁ。よく慣れてきました・・・」


 彼女はまた顔を赤く染めて、体を震えさせている。

 しかし、今謎の言葉が聞こえた。


「慣れてきた?」


「あ、すみません。・・・そ、その、ミレイ様は今はいませんか?」


「ミレイ?どう行くことだ?」


 この展開でミレイ?意味が解らなかった。

 しかし、同時に彼女がミレイと面識があり、擁護を頼もうとしているのではないかと思い至る。


「・・・別に自分もアヤカも怒っているわけじゃない。まあ、アヤカのオアの雰囲気を見ればそう感じる者無理はないが」


「本当ですか!?じゃあ、あのとき襲ってしまったことも!」


「え?・・・あ、えっと、・・・それに関して少し説明が欲しいかな?」


「…はい。そう、ですよね」


 彼女は少し俯いてしまう。


 ・・・言いにくい事なのだろうか?


 そう思い、言いたくなければ答えなくていいと答えようとした。

 しかしその前にエリーゼはアヤカを呼び、何かを耳打ちする。


「!!」


 それを聞いたアヤカは顔を真っ赤にして、自分をにらんでくる。


 ・・・自分!?


 何をとがめられているのかわからないレンジとしては戸惑うばかりである。


「あれ、ダーリン戻ってきてる?」


 …最悪の状況で彼女は戻ってきた。


「・・・ミ、ミレイ」


 自分はさびた機械のように後ろへと振り返る。


「・・・?ダーリン、どうしたの?」


 意外なことに彼女はこの状況で不思議そうな顔をする。

 自意識過剰なのかもしれないが彼女は自分の女性関連の事となるかなり鋭い。

 そんな彼女がエリーゼのいるこの状況で何の反応も示さないということに少しばかりの違和感を感じながらも、その実恐怖に心臓はバクバクしている。


「・・・あ、ミレイ様!」


 エリーゼがミレイに気づき、その声にミレイは驚く。


「あれ?エリー、どうしたの?」


「旦那様に助けていただきました・・・」


「あら、さすがエリー。ダーリンの匂い、覚えていたのね」


「はい。私も大好きだったので」


「・・・」


 この目の前で繰り広げられている会話はなんなのだ?

 この会話を聞く借り、エリーゼとミレイはかなり仲が良く、ミレイはエリーゼが自分を旦那様と呼ぶことを容認している?(・・・もしかして、『ミレイの』旦那様と言うことか?)

 それに臭いを覚えているという言葉の意味が分からない。


「お母さん、その人のこと知っているの?」


 アヤカは楽しそうに話すミレイにそう聞いた。

 すると、ミレイは少し不思議そうな顔をしてエリーゼを見て何かを思い出したような顔をする。


「そうだった。私はこの状態のエリーに慣れ過ぎて忘れていたわ」


「この状態の・・・?」


「そう。エリー、二人に自己紹介」


「はい。旦那様、綾香ちゃん。お久しぶりです。皆さんのペットだった柴犬のエリーです」





















「「・・・はい?!」」


 青空に自分のアヤカの声がこだました。




 ※※※



 柴犬のエリー。それ前世にて飼っていた犬だ。

 出会ったのは雨の日。傘を忘れ、カバンをかさにして走りながら帰宅する途中で自分が拾ってきた。

 そのころのエリーは子犬でお母さん犬は車に引かれたのか、道路の上で血を流して絶命していた。

 そんな親犬に近づこうとして車に阻まれ戸惑う子犬。

 自分としては放置しておけなかった。

 子犬を抱え。自分は帰宅した。

 その日は随分と怒られた。



 自分がお風呂に入り、子犬を洗っていると綾香が入ってきた。

 この頃のアヤカは小さく、自分に良くなついていた。

 綾香は子犬を見ると大はしゃぎ。

 子犬も戸惑いながらも綾香の優しい手つきに嬉しそうに声を上げる。

 お風呂から出ると、美鈴がネットで何かを頼んでいるようだった。

 何を頼んだ聞くと「あの犬、家で買うんでしょ」と言う。

 パソコンの画面にはゲージと首輪、それにドックフードが映っており、自分は思わず美鈴に抱き着きそのまま大人のキスまでしてしまった。

 その日、美鈴は僕を寝かせてくれなかった・・・(ゲッソリ・・・)



 翌日、家に帰ると子犬と綾香が出迎えてくれる。

 綾香は家に入るなり自分飛びついて抱き着くのだ。

 子犬もそれを真似するのか自分に飛びついてくる。

 今まで綾香1人分の飛びつきには何となっていた自分でもそこに犬が加わってしまうと思わず倒れてしまう。

 そのまま子犬に顔舐めれ、それを見ていた綾香にも顔をなめられるようになる。

 ・・・ちなみにその代わりというか嫉妬と言うか、その日から数日ミレイとの夜が激しかったといておく。

 さてそれはさておき、子犬に首輪が付いていることに気づく。

 そしてそこにはかわいらしい子供の字で名前が書いてあった。

「えりー」それがこの子の名前?と綾香に聞くと今流行の少女探偵の犬の名前らしい。

 綾香はトテトテと自室に戻り少女探偵セットを身にまとうとエリーと一緒にポーズを決めた。

 エリーの頭の良さと綾香への懐き具合に驚きつつも、それより先に娘のかわいらしい姿に見とれていた自分とミレイ。

 そんな表情に怒る綾香。それをなだめようと体をアヤカの足にすり寄るエリー。

 その姿はとても懐かしく楽しいかった思い出だ。


 ※※※


「あのエリーなのか?」


「はい、元柴犬。エリーです」


「・・・どんな事件も?」


「美少女探偵にお任せを!」


 アヤカは少女探偵の決め台詞をエリーに聞き、完璧な返しをして見せた。

 すると、アヤカは目元に涙を浮かべる。


「エリー!」


 綾香はエリーゼに抱きつき、涙を流す。

 前世でのエリーはアヤカを事故から守ろうとして大けが多い、そのまま死んでしまった。

 エリー薄れゆく意識の中、動物病院で一度だけ目を開け、アヤカを確認するとそのまま帰らぬ犬となってしまった。

 その時のアヤカの号泣は今でも思い起こされる。

 それほど思い入れの深い存在に再び会う事が出来たこれ程の喜びはないのだろう。

 自分とミレイはアヤカの名にやむまで周囲を警戒し、空気を読まず近づいてくるモンスターを遠距離攻撃で一撃視させながら彼女の気が済むまで泣かせてあげた。



次回は初だしの頃と全然印象が違う説明です

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ