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再開と周囲の反応

 


「だーれだ?」


 その声に僕は思わず苦笑いを浮かべるしかなかった。

 レンジはそのまま目元を隠している彼女の手をつかみ、流れるようなステップは社交界のダンスのように彼女を回転させながら彼女を正面へと抱き寄せる。


「久しいな、ルトー」


「それはこっちのセリフだよ、レン君」


 僕達は互いに見つめたままそう言う。


「・・・ルトー、パールはどうした?」


 見つめあっているのが恥ずかしくなり、自分は目を離して話題を振る。


「ここにいるよ」


 そう言って彼女は腰のマジックポシェットから紫色の宝珠を取り出す。


『お久しぶりです、サブマスター』


 頭の中に聞き覚えのある声が響く。


「パールか?」


『はい、現在核である魔石を宝珠としており、この形態での会話をご容赦願いたく思います』


「随分と饒舌だな」


『・・・色々とありまして』


 そういうパールの声は疲れに満ちていた。


「そ、そうか。おつかれ・・・」


 自分はそう返すので精いっぱいだった。


「レン君・・・なんか私たち注目集めてない?」


 それには少し前から気づいていた。

 受付の様子からある程度は予測はついていたが受付でもらったこの番号札がより目立っている。この番号には何かあるのか?

 自分はルトーの胸元の番号札へと目を落とす。

 そこそこ大きな双丘の上にあるそれは少し動くたびに前後に動く。


「・・・あー、ルトー。こういっては失礼だがお前さんそんなに大きかったか?」


「え?あ、サラシ巻くの辞めたんです。ヴァルキリーはどうやら、女性らしい方が戦闘力が上がるらしくて、古い文献で母なるヴァルキリーと呼ばれた存在はその慈愛に満ちた姿から聖母とよばえれ、あの英雄も生んだといわれているほどです」


「あのっていうと、盾の?」


「あ、いえ。その一世代後の剣聖、魔公と呼ばれた光と闇の精霊ですよ」


「・・・すまない。学が足りないな、しらない」


「あ、ごめん。レン君は転送して間もないんだったね」


「今度王城の司書室でもっと伝承とかおとぎ話に目を通しておこう」


「へぇーそんなとこにも入れるんだ」


「まあ、ミレイのおかげでもあるけどね」


「・・・そう、みれいさんね」


「ルトー?」


 一瞬ルトーの顔に陰りが見えた気がするが声をかける前にそれは消える。


「どうしたの?」


「・・・なんでもない」


 ・・・ただそれはミレイが時に見せる独占欲をあらわにした表情に似ている気がした。


「そういえば、この試験ちゃんと受かっていたんだね!?」


 ルトーの喜び様に僕は笑顔でうなずき、ルトーと別れた後の話をした。




 ※※※




「・・・そう言えば、なんでルトーは参加資格を持っているの?」


 そう、前回の試験では僕は予選大会第一次予選に参加しようとして、上位精霊種となろうとしていたルトーのパートナーとしてあの島に転送されたのだ。

 つまり、ルトーはあの日試験を受けていなかった。それは間違いない。


「実はヴァルキリーになったからその実力を調べるための模擬戦闘で、力加減をミスって精霊種の秘蔵の子をけがさせてしまったの。だから代理出場。一応軽めの試験は受けているから、安心して」


「そうだったのか。それで力の制御は?」


「まだ半分と言ったところ・・・でもそれでもすごい威力なの」

 ルトーはうつむき、その表情は濁っている。

 大きすぎる力はそれだけでも葛藤を生むのだろう。

 自分はルトーの頭にポンと手をのせる。


「ルトー、昔ゲームのキャラの一人がこんなこと言ってたんだ。「正しく使えば『力』!間違って使えば『暴力』!そして正しいか間違いかを決めるのは己自身!持っていれば必ず使わなければならないという訳でもない!力を使わないこともまた威力!全ては志って奴よ!」・・・どう思う?」


「・・・その通りだと思う」


「そうだよな。正論だ。しかも、かっこいい」


「ふふ・・・」


 ルトーは別におかしくもないところで笑う。


「どうした?」


「いえ、君からかっこいいなんて男の子らしい言葉を聞くとは思わなかったものでね」


「・・・そうか?」


「そうだよ、君はいつも無表情で、けどその瞳の奥に詩塚な闘志を燃やしていて、自分を3つに分けてようやく3分の1の君が出てきたくらいなのだから」


 ルトーは懐かしそうにそう言った。

 それを見ていた自分はなんとなく気恥ずかしくなり、話題を変える。


「そういえば、ヴァルキリーになってから問題は起こっていないか?」


「え?」


 ルトーは驚いたようにこちらを向く。その顔は図星を着かれたかのように。


「・・・なにかあったのか?」


「えっと・・・その」


「なんでもいい。とにかく口に出すだけでも楽になるぞ。


「・・・そうだよね」


 ルトーは重い口を開けて今困っていることを話す。


「精霊王の一人に告白された・・・」


「・・・えっと、よかったね?」


「よくない!私チャライ人嫌いだし、それに・・・」


「それに?」


「好きな人いるし・・・」


「え!?」


「なに、意外?」


「まあね・・・ちょっと複雑な気分だよ(元男友達として男を好きになるのか女を好きになるのか・・・どっちでも少し気まずい)」



「そう、複雑な気分になるのね(これは、自分にもチャンスがあるということ!?)」


 二人は互いの反対を向く。

 そして改めて気づく。

 周囲の視線が集まっていることに。


「そう言えばルトーはこのナンバーに何が隠されているか知っているか?」


「ナンバーに隠されている?なんだそれは?」


「ルトーも知らないか・・・」


 周囲に耳を傾けるとまた聞こえてくる。あれが今年の100番だ。彼女は99だ。仲が良さそう、リア爆発しろ、ラストとダブルナインだ、女の方は強そうなのがわかるが男の方は・・・?と聞こえてくる。

 やはり番号には何か隠されているようだ。


「やはり聞いて見るか?」


 自分がそう思い、行動に移す直前あたりの照明が落ちる。

 自分とルトーが軽く身構えると、周囲の参加者はようやく始まると言わんばかりに起き上がる。


「諸君、よく来てくれた。俺はギルド幹部ブライトだ。本当なら先輩幹部であるプラドさんがこれをやるはずだったが逃げたので自分がしかたなくやっている。色々とおおざっぱだが許してくれ」


 そういうのは奥の壇上に立つ髪をぼさぼさにした40代くらいの人だった。


 ・・・あ、40かと思ったが、あれは多分20ちょいすぎだ。よく見ればわかる。若いのに老けているな~。過労からかやせほそちゃって・・・


「ちょっとすみません・・・」


 男はそう言って小瓶の中の液体を飲み干す。


「・・・ふ、ふふ。よし。ウェイ、エブリワン!これから説明を始めるぜ!」


 急にテンションが変わり早くもキャラ崩壊を起こしたブライトはラッパーのテンションで話をし始める。

 そうこうしているうちに話しは進み、最後のbig10(ライファーの中で暫定的に最終10対10にでる選手)の紹介をしてゆく。

 1から8は知らない。だがようやく9番目にして彼女が出てきた。


「・・・さて次は、おっと。戦闘に治療、家事にとなんでも来いの聖女様。前回の個人準優勝者でもあります。聖女:ミレイ!」


 ミレイは僕を見つけると手を振ってくる。僕は控えめに降り返し、次に出てくる人の心配をする。


「そして最後に今王都では話題沸騰中の人物。なんとこの方はの異世界より参加者勇者:アヤカ様だ!」


 アヤカは前に出て手を振る。緊張しているのでぎこちないがそれが初々しくてかわいい。

 そんなな聞こえてきた不愉快な声。


「・・・なにが勇者だ。単なる異世界人のくせに」


「いいよな異世界人。世界を超えるだけで努力しなくても力が手に入って」


「あんな美人あらさぞもてはやされて生きてきたんだろうな」


「どうせまた初陣で腰抜かすから。前回の勇者はほんと腰抜けだったよね・・・あの初戦の後引き籠ちゃって、もみ消されたけど。あれまだ生きてると思うか?」


「知らねえよ。だが腑抜けだから心配には同感だな」


 どこから不愉快な声が聞こえてくる。

 自分はちらりと彼らの方を見て魔力針を打ち込みmapと気配検索を起動させる。





















 ・・・アヤカを馬鹿にした罪、後でたっぷり払わせてやる。

























 その時のレンジを壇上から見ていたミレイとアヤカはのちにこう言った。




 それは、大切な人を守るために修羅となれる心優しき神様―――――――







 ―――――――――――――――――〈鬼神〉の復活と・・・





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