語られることのない創世神話02
少し長くなってしまいました
創世神が消えて、数千年の時が経った。
文明は発展し、やがて星に生きるすべての種が対立するようになり、モンスターさえ利用した血で血を洗う戦いへと争いは激化していった。
生命種を任された第3の弟子は星の生態系を壊さないように奔走し、魔法種を任された第2の弟子は魔法の大量使用ができないように空気中に浮遊する体外魔力である魔素の生成量を減らし、二人はさらに動植物に魂の一部を組み込み、眷属として地上にはなったりした。
ちなみに現在でもその眷属の一部は存命であり、ほとんどダンジョンマスターか御神体として存在している。
そんな二人よりもつらい状況にあったのが1番弟子である。
元々争い事が大の嫌いであり、創生神が戦争の起こらない世界が欲しくて生まれた世界で戦争が起こりモンスターが悪用されていることにいらだちを隠せなかった。
彼女の不満や苦悩、ストレスはたまって行きある日を境に…精神が壊れてしまいました。
「・・・星が、生命神様のお作りになった世界が悲鳴を上げている。あの方に生み出されたあなたたちはなぜ戦争をするのかと。なぜ自然を壊すのかと。そんなに滅びたいのか?ならば私が無に帰してやる。初めからやり直そう。今度こそ手を取りあってモンスターにだけ敵意をぶつければいい。そうですよね、創生神様!?」
そう言っても誰も返事をしてくれない。彼女はいつしか自ら作り出した行動を肯定してくれる創造神の幻影にとらわれ始めていた。
「・・・はい。創生神様のお作りなった世界のため、私は生きるものすべての敵へとなります。・・・ふふふ。ふハハハハハは」
彼女は壊れた人形のように笑った。
「まずは、邪魔な妹たちを・・・ふふ」
この日、のちに天変地異を操る混沌の使者、『邪神』と呼ばれる存在が生まれてしまった。
※※※
「もうやめてくれ、邪神よ。君も私たちを見守ってきた神なのだろ?なぜ我々にこんなことを・・・」
「貴様たちは平和であってはいけない。平和であれば優劣をつけたがる。初めは個人間であってもそれが集合し、やがて種族どうしになる。子は謀略の中で行き、戦いの恐怖を植え付けられながら生きてゆくだろう。さらに争いは見えない連鎖の下におこる。例え、ひと時の平和を手にしたとして過去の映画に思いをはせたものがまた世界を混乱へと落とすだろう。我はそれが許せない。貴様らは私のような絶対服従するに値する上位存在が必要なのだ。目に見える脅威が、象徴が、トラウマが」
邪神となった彼女が『シェイク』をおこし初めてかれこれ数十回。星に生きる者は疲弊し、自らの種を守るために動くようになり、多種族と協力を始めていた。
そして時は流れ、ついにあの英雄たちが立ち上がる。
現存する最古の文献。
邪神、邪龍など多くの敵と戦った英雄たちの物語。
その英雄たちのリーダーである精霊の男は常につけいた仮面を外し素顔を彼女に見せる。
その顔に邪神は息をのんだ。・・・似ていたのだ。あの方に。
仮面を把持した彼の髪は真っ赤なくれないから夜空のような漆黒と変わる。
「神は支配者にはなってはいけない。神が支配者となればその絶対の力は種の発展する力を停滞させ、むしろ衰退させる私としては君に私の作った生命の可能性を見せ続けたはずなんだけどな・・・ルー」
英雄のリーダーはそういって笑っていた。
その顔に邪神は懐かしさを覚える。
「・・・創生神様」
「そう呼ばれるのも久しいな。でも今は精霊の双盾の勇者だ。守護神とも呼ばれる」
「随分とランクが落ちましたね」
創生神から守護神。確かにグレートダウンしていると言えるだろう。
「・・・ルー、私に1つだけ考えがある。聞くか?」
「あなたの考えとあれば」
「・・・そうか。この世界に裏システム無色魔法と言うのが存在する」
「星魔法ですね」
「ちがう、星魔法は干しと精神をつなげ現象を起こすもの。心魔法は心のありようを現世に映し出す虚像のまあいわば実態を持った幻影魔法の事だ」
「・・・そうでしたか。心魔法、私には扱えそうにありませんね」
かつて精神を崩壊させた第一の弟子にはもう幻想を抱くことは叶わなくなってしまっていた。
「そうなのか?君にはまだひつだけ幻想残しているように見えるが?」
「え?」
「君は何のために邪神として玄界したんだい?」
師の言葉に第一の弟子の心に温かい思いがともるのを感じた。
「わ、たし、は・・・」
彼女は涙を流しながら少しずつ言葉を紡ぐ。
「みんながっ、わらって、へいわに、すごせるこうけいが・・・みたい、です!」
すると彼女の着けていた腕輪が光を放ち、1つの指輪へつ姿を変える。
指の一部には星形の宝石がはまっており、金色の光を放っている。
「・・・これは?」
「世界法典。簡単に言えば世界の絶対法則その鍵だ。それを空に掲げてみなさい」
彼女は指輪を空に向けて差し出すと突如として空間避けて一冊の本が現れる。
「それが世界法典。・・・さあ、書きなさい。君の望む法則を」
「はい」
彼女は初めに3つの点をつける。
それは彼女がこれより世界に新たな3つのルールを設けることを指すからだ。
「!?ルー、よけ、ッ!仕方ない!」
「?―――創造神様!」
ルーが2つを書き終え、3つ目を書いている時に元創生神の男は第一の弟子を突き飛ばした。
そこには魔槍ゲイボルグと呼ばれる必中の槍が男の心臓を貫いていた。
「ケホォ、ガハァ・・・」
男は吐血する。
「創造神様!」
「来るな!書き終えたら、そのまましまえ。指輪に、『ロスト』と叫べ!」
男は邪神背後に降り立つ、黒装束の男に相対する。
「おいおい、兄さん。ふざけるな。僕の神槍に兄さんの盾が防げるはずがないだろう?」
もう一人も精霊だった。
だが、その気配は闇にのまれた悪人の気配。
破壊、支配、絶望。負の3点を望むその姿は悪魔よりもおぞましい何かに見える。
「兄さん、邪龍一人で倒しちゃうし、門番として新たに置か荒れた聖龍王はみんなを凶戦士にしないと倒せなかったよ。・・・まあ半分以上しんじゃったけど」
男はそう言って二槍を構える
「あれが、邪神!あれを倒せば、世界は僕の者!」
「ルー、逃げろ。〈鉄壁〉よ覚醒せよ!究極防御スキル〈―――〉」
「無駄だよにいさん!究極貫通スキル〈破双神滅砲〉!」
邪神の背後で轟音が鳴り響く。
邪神は急いで世界法典を書き終え、元に戻す。
背後で歩く音がして振替る。あの人であることを祈って。
「・・・よお、兄さんなら死んだぞ?あの心臓の一撃が致命的だったな」
黒装束の男はボロボロになっており、奥で倒れる創生神は傷は無く血だまりに沈んでいる。
「お前さんをかばってできた傷によって、兄さんは俺の攻撃を防ぎ切ったが反射はできなかったということだ。しかし…念願の兄に勝ったというのにむなしすぎる。・・・いいや、いまだ兄さんい俺がおいつてないことに気づいているが故か」
黒装束の男は後ろを振り返り、骸を見てそういう。
「ならば、絶対的力を。神を取り込めば俺は兄さんより強くなるはずだ!」
男の目は邪神である彼女に向く。
「・・・私は争いを好まない」
「はぁ?」
「故に、これにて私の出番は終わりを告げる。・・・創生神様。私は貴方がずっと、好きでした」
「!」
黒装束は突如として目の前から亡くなり、背後の兄の遺体のそばに現れた邪神に驚く。
「次の生では、あなたと時空神様の―――になりたいです」
・・・でも、あなたを好きになってまた時空神様に嫉妬してしまうかもしれなませんが
と彼女は小さくそう言った。
「さすがあ、邪神。しかし、なぜ兄さんにこだわる?やはり兄さんには何かあるのか?」
黒装束の男は邪神の彼女にそう聞く。彼女はその言葉を無視して立ち上がり、指輪にささやくように言いました。
「『ロスト』」
指輪は光を放ち、消えようとする。その瞬間あたりの時が止まる
その瞬間、彼女の脳内に声が聞こえた。
『・・・私はこの星の意志。エデン。義理の姉であるあなたに敬意と感謝を』
「気にしないで・・・私もしょっちゅう体をくちゃくちゃにして」
『いいえ、構いません。私の中に住むものが殺し合う事には見かねてましたから』
「そう・・・それで、何か用なの?」
『邪神となり、長く地上に降りたあなたの命はもう長くありません』
「そうね・・・でも最後に創生神様に会えたから悔いはないかな?」
『そうですか・・・ものは相談なのですが、私は時空神さまからある程度の力を預かっています』
「それで?」
『よろしければ、今輪廻の輪に変えられた元創生神様の転生に送ろうかと思いまして』
「・・・!できるの!?」
『はい、可能です・・・いたしますか?』
「おねがい」
『わかりました・・・ただし、記憶は封印されてしまいますのでお気を付け下さい』
邪神である彼女はその声を最後に世界から姿を消した。
「どこいったああああああああああああああああああああああああああああ」
その場にのこされた黒装束の男は邪神をしとめられらなかったことの悔しさから叫ぶがそこにすでに命る者はおらず、その声はむなしく響いた。
―――ピシュン
しかしそんな彼の下に黒い靄を放つ腕輪が現れる。
「これは・・・?ッ!」
その宝珠の能力を確認した彼はあくどく口角を上げた。
「かなり時間はかかるが・・・これで俺は神になる!あの邪神は生ぬるい俺こそ『真なる邪神』だ!」
彼はそう言って高笑いをするのであった。
※※※
元邪神である彼女が転生して、目を覚ますとそこには一組の男女の顔が写る。
転生して封印が完成でない彼女はその顔を見て願いがかなったことに気づく。
あの二人のもとに生まれたのだから。彼女はそれがうれしくきゃっきゃと赤ん坊らしく笑う。
母親と思われる方はものすごい興奮しており、父親と思われる方はその様子を苦笑いで見つめ私を見るなり笑顔になる。
―――転生した彼女の名はアヤカ。高阪 蓮二と高阪 美鈴の娘である。