語られることのない創世神話01
ちょっとした閑話です。
かつて、世界には2人の神様と3人の弟子がいた。
神様は男女で、男神は創造神。女神は時空神と言いました。
その弟子である3人の弟子は別世界で二人の拾った孤児でした。
3人とも女の子で、創造神様と時空神様は彼女たちを育てるために新たなる世界の想像と言う大変過酷でつらいお仕事を受けることになってしまいました。
男神も女神も神の世界では名の知れた神でした。
それゆえ、作った世界は数知れず。
しかし、ふたりはまた同じような世界を作ることに嫌気がしていました。
しかし、最初の成功世界と呼ばれる地球から離れた世界を作ることは禁止されており、始まりや途中をあまり大きく変えることはできません。
そこで二人は弟子に目を付けました。
弟子は自分体の教育によって優しく、争いの嫌いな性格に育ちました。
性格はそれぞれ違えど、そこだけは共通しています。
ある日二人の神様は自分の作った種族を3つに分けて、3人御弟子に観察するように命じました。
「君はこの生命種。・・・彼らは知恵に秀でて仲間を大切にするもの達だ」
そう言って、生命種の管理を一番幼い小鳥を愛する3番目の弟子に預けました。
「そして君は魔法種。・・・彼らは魔法に秀でて力を大切にする者たちだ」
つぎに2番目の元気いっぱいの黒猫を頭に乗せている弟子に預けました。
「最後に・・・これは正直僕自身が管理しようと思ったが、分け合って一番信用している君に託すことにした。これは私の眷属である天使とモンスターの制御する腕輪。モンスターは自動輩出だから観察するように」
「・・・!はい、わかりました!」
尊敬する人の眷属を託され、信用しているとも言われた彼女は普段あまり変えない表情をうれしそうな表情に染める。
「・・・」
そんな様子を見ている女神さまは少し複雑そうだった。
※※※
数年後―――
「先生。私が担当する生命種の報告書です」
「師匠!うちの所の魔法種すごいんですよ!個体値こんなに上がって!」
「まてまて、順番にな」
「・・・」
3人の弟子の内二人は創造神の下に彼の作った世界で自分の管理する生命体の結果報告を出しに行く。
だが、もう一人はそんな3人を遠目から見てるだけだった。
「おや、どうしました?」
時空神様がその子に声を掛けると彼女は言いました。
「私の担当するのは・・・モンスターと創造神様と時空神様のお作りなられた天使。モンスターはあの二人の食い物にされるし、天使はあの二人の失敗のしりぬぐいのために使われてかわいそう。それに二つには本当の意味での成長が無いから・・・」
「・・・あなたは3人の中で最もお姉さんなのでその役割を与えましたが、つらすぎましたか。彼に言って、あなたに新たな役割を―――」
時空神が気を使ってそう言うと彼女は必死に否定する。
「いえ、創生神様に与えられた役割は・・・正直あの言葉があったのでうれしいです。そして役割に不満はありません。ただ、担当しているだけあって思い入れがあるモンスターが殺されたり、せっかく生き残ったモンスターを見時からの手で殺すのは少し気分が良くないです」
「・・・それは、大切なことだ」
突如として横からの声に二人はそちらに顔を向ける。
「創世神様!」
「あなた・・・」
腕輪をいとおしそうに撫でながらそう愚痴をこぼす彼女はそれを聞かれたことに慌てる。
「そろそろ、時期だと思っていたのだよ」
「え?」
「腕輪の第2機能。ダンジョン作成を行う。その為に大規模地殻変動。それによる突然変異を起こす。これをファーストシェイクと呼ぼう。これからそれぞれの種が大きく変わる。観察を怠るなよ」
「はい」
「了解」
「ルーよ」
「はい」
腕輪をした子の方に創生神は手を置く。
「これに関して一番働くのは君だ。二人と連携して頑張ってくれ」
「・・・!はい!」
その日、世界は球体から半球へと姿を変え、本当の地平線ができました。
突如として起こった地震にすべての生命は大混乱。
多くの命が失われ、モンスターも急な環境変化に死ぬ者もいれば突然変異で適応する者もいました。
この時期に生命種・・・のちにライファーと呼ばれる種に3番目の弟子が使徒として。
魔法種・・・のちにブレイファーと呼ばれる種に2番目弟子が使徒として表れ、力を与え、超異種・・・超越者と呼ばれる存在が現れました。
2つの種は表上手を組んでいましたが格差や人種差別が絶えなく、水面下では争いや差別、排斥が起こっていました。
2番目と3番目の弟子はこのことを置きな問題とはしませんでしたが、1番目の弟子はやはり心豊かすぎて心を痛めていました。
ここの所天使の動員数が増え、本来モンスター討伐にぬかうはずの人では知性ある者同士の戦いに注がれるようになっているからです。
そして、1番目の弟子はあることに気づきます。
『シェイクの後は一番全種族が手を取りあっていた』
そう考えて、1番目の弟子は二人に相談します。
「いいと思う。最近、彼ら生意気だし」
「ちょっと痴話げんか多くて面倒だからね・・・でも」
「でも?」
「師匠に聞いた方がいいんじゃない?」
2番目の弟子は渋々という感じでそう言い、その言葉に二人は戸惑いを見せる。
「確かにそうですが・・・いまは・・・」
少し前より創生神である師匠は体調を崩し始め、寝たきりになっていた。
奥様である時空神様は創生神様の為にその身をささげ輪廻の輪へ戻り、彼はかろうじてこの世界に残っているのであった。
創世神曰く、あと1年らしい。この一年を見届けて彼はこの神域を離脱し、神の輪廻へと回帰するらしい。
いわばこの最後の1年は卒業試験中。
3人は彼に心配を掛けたくなかった。
「・・・でも、失敗して先生の作った世界を台無しにしちゃうのは嫌だよ」
3人目の弟子の言葉に二人はふと我に返る。
確かに、それは一番大切なことであった。
彼女たちは創生神に相談するとかれは「よく聞きに来ました」と嬉しそうに言う。
そしてアドバイスと共に最後の言葉を継げる。
「最後に、みなさんは僕とトキ(時空神)の娘のような存在だ。これは師匠ではなく皆さん親として言います。・・・皆さんお健やかなる時と、元気な成長を最果ての神の輪廻より見守っています」
そう言い残すと彼は光の粒となって消えていった。
もう一本したら本編に




