ダンジョン合宿02
昨日投稿した話のラスト1文が間違っていたので修正しました。
新キャラ登場のシーンなのでよければ見てください
「お、着いたか?」
転移の際の浮遊感が消え、何もない何もない無機質な地面に足をつけると隣にいるミオを見る。
「・・・」
「ミオ?」
「・・・どういうこと?」
「どうした?」
ミオは何か違和感を感じているようで顔をしかめている。
そういえば、自分も違和感を感じる。
この状況、絶対に彼女ならすぐに介入するシチュエーションじゃないか。
「ミレイ、アヤカ!」
自分はあたりを見渡す。
しかし、周囲に二人の姿はなく。ここにはミオと自分御二人しかいない。
「・・・レンジ君、これちょっとまずいかも」
「え?」
すると、部屋の奥に魔方陣が現れ白いティラノザウルスのような姿のドラゴンと黒い狼2匹と黄金の角を持つかなり像くらい大きな羊2匹が現れる。
「アーマードラゴンの希少種に、シャドーウルフのジェネラルクラス、マジックシープの変異種ゴールデンホーン級。これ、かなりまずかも?」
ミオの頬を一筋の雫が落ちる。
「・・・理由を聞いても?」
「アーマードラゴンは元から殻の表面が固く、打撃系が有効だとされているんだけどあの希少種は光魔法の使い手で治癒と中距離攻撃が来るから基本持久戦になる」
「ミオなら瞬殺できそうな気がするけど」
「レンジ君がいるから」
「お荷物ってことか?」
「うんん・・・暴力的なのを見せたくない」
・・・きゅんと来た。
ミオは顔を真っ赤にして自分から目をそらした。
ミレイがいなかったら本気で恋していたかもしれない。
その瞬間、背筋に寒気が走る。
・・・ミレイ!?
あたりを見渡すがだれもいない。
「レンジ君?」
ミオが周囲を見渡す自分に声を掛けてくる。
上目ずかい+さっき思わずミオを意識してしまったため心臓が高鳴る。
「・・・なんでもない。ほかの2体は?」
「・・・?まあいいか。それでシャドーウルフのジェネラルクラスっていうのは群れで生活するシャドーウルフの中で戦闘の強い個体が付くことのできるクラスなんだ。シャドーウルフは基本的に闇魔法を使うし、足も速い。その分防御力は低いけどジャネラルクラスはその防御もそこそこ高くてかなりHPも持っているんだ」
「魔法阻害が来るから大技は使えないで近接戦闘重視かな。一撃重視じゃなくて手数優先の」
「そうだね、でもアーマードラゴンがいるのが面倒んなんだ」
「・・・光魔法か。でもモンスターが共闘ってするのか?それも異種族だろ?」
「する。ここはダンジョンマスターの存在するダンジョンだから。ダンジョン内のモンスターは基本的にダンジョンマスターの言いなりだから。あ、でもモンスター作成とかダンジョン外モンスターの操作とはできないらしいんだよね」
「・・・B級ゲームのGMみたいなところか?」
「げーむ?GM?」
「あ、すまないこっちの話だ。それの最後のは?」
「マジックシープの変異種ゴールデンホーン級。聖魔法という特殊魔法で催眠状態にするのと角から火、水、風の魔法を使える羊。マジックシープは角の色で強さがわかって生まれた当初は真っ黒だけどレベルが上がるたびに白くなって行き、ボスクラスになるとSランク冒険者でも手こずるくらい強い。しかもゴールデンホーンは素材としては最も優秀だけど、正攻法は角破壊するんだけどあれは不純物を取り除かれたインゴットのアダマンタイトと同じ強度を誇るので、普通の武器魔法じゃむり。近ずくにしても魔法をよけなきゃいけないし、角での直接攻撃はゼロ距離魔法をくらい可能性がある」
「前衛のアーマードドラゴン、中衛のシャドーウルフ、後衛のマジックシープ。までるでパーティー戦みたいだな」
「みたいじゃなくて、そういう狙い・・・だと思う」
「え?」
「ここは十階層ではなく、おそらく第百層、フリールーム。このダンジョンのマスターが客を招いて遊ぶ又は訓練場として使用させるための部屋」
「・・・じゃあ、これは本来の十階層ボスではなく」
「ダンジョンマスターの息のかかったモンスター」
「それでさっき連携するって言いきったんだ」
自分は素直にそう言った。それでミオがこの階層で焦っている理由はわかった。
そう言えばミオは自分の近接戦闘を見たことが無いのだ。
見たのはSランク魔法を使っているところだけ。
それでおそらく、魔法に適性のある人物だと思われたのだろう。
今回は魔法で戦うには不利な相手ばかり。
おそらく魔人は魔法が得意でありその中でも魔王であるミオ用の布陣だろう。
ミオはミレイと戦えると言っていたから多少の近接戦闘の心得はあるのだろうが・・・って、城でお兄さん殴ってたか。・・・かなりの使い手だったな。
・・・あ、自分というお荷物がいるから近接戦闘重視はできないと思っているのかな?
そう考えると、少しばかり苛立ちを覚えると同時に申し訳なく思う。・・・そして少しばかりかっこつけたいなという下心が芽吹く。
「・・・ミオ、安心して」
「え?」
「あのくらいなら、倒せる。・・・むしろ、『俺』向きか?」
レンジはモードを『自分』から『俺』に変える。
「グローブ」
指抜きグローブをストレージから取り出すと妙な感覚になる。
ためしにアイテム鑑定をしてみる。
指抜きグローブ:異世界転移特典
物理攻撃上昇(極)。物理攻撃耐性上昇(極)。肉体強化系魔法上昇率アップ(上)。魔法耐性上昇(中)。魔石搭載:空5(現在なし)。討伐モンスター魔石化機能。気力向上。武装強化。所有者固定。
特殊:〈孤軍奮闘〉、〈非殺傷〉、〈逆転の一撃〉、〈 〉、〈 〉
・・・チートアイテムでした。
「レンジ君?」
雰囲気が変わったことを察したのかミオが声を掛けてくる。
「・・・ミオ、見てろ。俺は君が思っているより強いぞ」
そう言って、ストレージから椅子を取り出しミオを座らせて頭を撫でる。
ミオは恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてうつむいてしまう。
「・・・レンジ君!わたしも」
その手を話し敵へ向かおうとするとミオがそういうので、俺は彼女の口を人差し指で封じ、再度座らせる。
「まあ、見ておいてよ」
僕はそう言って走り出した。
こちらが動き出すと同時に向こうも動き出す。
予想通り、アーマードラゴンがその巨体に似合わぬ速度でこちらに襲い掛かり、シャドーウルフは両側に散会、マジックシープは魔法を展開し始めた。
「GaAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
アーマードラゴンは体を横に振り、しっぽを打ちつけてくる。
「鉄壁」
自分は手を差し出し、強固な壁を孤の上に出現させる。
それによりアーマードラゴンの動きが一時的に止まる。
すかさず近寄り指を閉じて左手を開き、腰を落とす。
同じく右手は後ろに引き、指を閉じて開く。
・・・久しぶりだが、この肉体なら調整も早い。気の流れはもうつかんだ。
前世にて物理攻撃の利きにくい相手に最も聞く柔拳術。
「〈発勁〉」
「GAAa!」
そう短い規制を発してアーマードラゴンは白目をむき横に倒れる。
舞い上がる砂埃の中、レンジは残り4体もしくは4体をを操るダンジョンマスターに向けてこういった。
「本気でこい」
俺は本気の目でそう言った。
〈鉄壁〉の気持ち
これが本来の俺の使い方・・・だっ!(うれし泣き中)