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槍の才能

 


 ルトーと共に森を抜けるために歩き出し、水袋の中も心配なので川を捜し歩きだす。

 ふとその時思ったことがあった。


「ルトー、お前・・・」


 僕がそう言うとルトー純朴そうな瞳でこっちを見る。背が低いせいで上目ずかいになり上から見ると少女のようにも見える。


「・・・槍得意じゃないだろ?なんで使ってるんだ?」


「え?・・・あ、気づきましたか。そうなんですよね、槍使うのが下手なくせに、いきなりあんな森に飛ばされてレンジさんがいなければやられてました。」


 ルトーはキラキラ目でこっちを見て来る。


「そうか…なあ、お前剣を使ってみる気は無いか?」


「え?…剣ですか。ちなみになぜ?」


「・・・なんとなく向いている気がした。それにあのゴリラのドロップアイテム見たろ?」


「・・・はい」


 先ほどのゴリラのドロップアイテムは双盾に双剣。

 これは少し不自然である。

 一応護身用と言わせて自分で双剣の剣片方を持たせてもらい、双盾と剣一本はルトーに持たせてある。


「・・・なあ、出会って間もないし言いたくなければ言わなくていい。君の理想となる騎士の像はあるのか?」


「・・・な、なんで、僕が騎士だと?」


「足運び、戦い方、礼儀作法、言葉づかい、呼吸法・・・嫌っていうほどそういう職業の癖を聞かされた」


「・・・お師匠さんですか?」


「いいや・・・親友さ」


 僕はルトーにそういうと彼は頬を赤くした。


「・・・似ているな」


「え?」


「・・・いいや、なんでもない。実はな君の戦闘スタイルは剣と盾を使って戦うスタイルが最も合理的とされるある流派に似ている。君は誰に戦闘を習った・・・あ、この世に生まれてからだぞ」


「!・・・わかっているんですね。わかりました。槍は父に魔法を母に教えてもらいました。・・・それとこんなこと言うと笑われるかもしれませんが夢に出てくる男の子にも」


「へえ、その男の子面白いな。夢の中で訓練か」


「・・・訓練と言うより遊びに近いかも知れません。彼はいつも僕の繰り出す新しい技を楽しそうん待っていますから。けど僕が槍を使うときは少しつまんなそうにしながら使い方を教えてくれるんですよ。ただ、無口なので同じく槍で動きを見せてくれるだけですけどね?」


「スキルか?」


「・・・わかんないんです。僕まだ成人として認めてもらえてませんから」


「そうか・・・でもわかっているんだな?」


「はい。僕に最も向いているのは剣です」


「ちがう・・・」


「え?」


 剣を進めてきたレンジにそのことを即座に否定されトルーは驚きを隠せなかった。


「それは―――、待て、少し静かにしてもらっていいか?」


 レンジの様子が急に変わったことで周囲を警戒するルトー。



 ―――チョロチョロ



「水の音だ・・・」


 僕はそう言って静かに走り出す。


「レンジさん!」


 トルーも小さな声で僕の名を呼びついてくる




 ※※※




「あれを見て」


「・・・鹿ですね」


「狩るか」


「シカ肉は美味しいです」


 僕達は頷き、それぞれ竹と木の槍を構える。

 そこには小さな水場があり、石垣の合間から水が染みだし下に行けサイズの水たまりを作っている。

 そしてそこで水を飲む鹿は2匹。タイミングは・・・今!


「!」


 鹿の一匹の喉元にトルーの槍が刺さり、少しして絶命するがもう一匹は逃げてしまう。


「え?レンジさん?」


 隣の人物は槍を投げなかった。


「どうか――」


 彼は僕の言葉を手で静止し、槍を構える。


「付与:風魔法 加速、加速、加速。軌道修正」


 風魔法のエンチャントを最小効率で丁寧にきれいに行う。しかも重複まで。


 ・・・精霊でもこんなきれいな魔法使いは見たことが無い。


「闇魔法 素材強化」


 レンジの竹に黒い力が集中する。


「光魔法 ターゲティング」


 中・長距離魔法ターゲティング。狙撃手なら必須の技能である。

 狙いに印をつけ、そこにあてるとダメージが上がるというもの。

 印は可視化され、印は統一されているので気づかれる可能性が多い。


「・・・トルー、槍はこのくらいできないと初心者ですらない」


 そう言って、レンジは森の奥に向けて竹の槍を投げた。






 シュン――――――――――――――――・・・ドスンッ



 竹は一瞬で見えなくなり、何かを倒した音が響く。


「レンジ君何が・・・」


 トルーが横を見るとそこにはレンジの姿はなく、急いですげ身から出ると鹿を気に吊り下げ血抜き中のレンジがいた。


「行くぞ、今のうちにこっちに運んじまおう」


 そう言ってレンジは槍を投げた方に走ってゆく。


「あ、待って!」





「こ、これは・・・」

「ブロロㇿ…」


 レンジを追いかけた先には巨大な毛むくじゃらな壁がいた。


「・・・マンモスか?」


 像のような体形に全身毛むくじゃら。まさにマンモスそっくりだった。


「エルダーエレファント」


「・・・うん?トルー、知ってる?」


「知ってるも何も、これはAランク準モンスターですよ」


「準モンスターか・・・」


 準モンスター。この世界にはモンスターと獣、動物と呼ばれるものがおりモンスターは基本ダンジョン。又はダンジョン周辺に現れ、ダンジョンの放つ魔力によって心臓が魔石へと変わり、強化された動物の事を指す。その動物の中で魔力の影響を受けづともモンスター級の強さを持つ古来よりの強者を準モンスターと呼ぶ。

 このエルダーエレファントは防御力と体力に秀で、鼻での一撃は直撃すればHPを軽く500持っていくほどの威力がある。

 それを竹の槍が貫き、瀕死にしている。


「ブロロㇿ…」


 エルダーエレファントは弱弱しく鳴く。


「今、楽にしてやる・・・」


 そう言ってレンジは持っていいた剣でエルダーエレファントの首を切り捨てた。

 先ほども言った通り、エルダーエレファントは防御力が高く、死後硬直もありその硬さは鉄の数倍はある。

 それをレンジは豆腐を切るかのように滑らかに、そして一刀で切り捨てた。

 切断面は滑らかで、血が遅れて溢れ出してきた。


「・・・無駄にはしない」


 そうつぶやく声が聞こえトルーはレンジを見ると、レンジは涙をかみしめるような顔で切り捨てたエルダーエレファントはの顔を見ていた。




 ・・・心なしか、エルダーエレファントの表情は安らかな気がした。




勘違いしないでほしいのですが、この世界はモンスターを倒しても者がドロップすることはありません。

この場所特有のものです。・・・肉体ごと入れるVRと思ってください。

モンスターを倒して食料や武器がドロップするのはマジックボックスを回収したことによる求愛処置です

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