竹藪の先
「グウァアアアアああアアアアアアああ!」
「グオォオおおオオオオオオオオおお!」
避けられた2体は雄叫びをあげ今度は突進してくる。
「・・・とりあえずのそのうるさい口を無くそうか」
僕はそう言って刀を降ろし、ゆっくり歩く。
―――僕は刀の使い方なんて習ったことはない。
・・・高阪の本家は日本において、秀の一族と呼ばれその多くが裏の稼業に身をとおじていた。まあ、レンジは元々分家であり、それほどしがらみもなかった。
2体が僕から約5メートルの位置まで来る。
―――だけど、刀を扱うやつとよく喧嘩した。
・・・彼は優しいけど負けるのが嫌いだった。彼が言うには『人を守る剣は最弱で無敗でなければいけない』らしい。
僕は風魔法で加速し、数十センチの所で跳躍。2体の間、その上の方に半回転しながら飛びそのまま2体の口を切り裂いた。
―――この技に名前はない。
・・・これは、彼との戦いで編み出した3つの自分を編み出したお礼に彼に技を作ってあげようと思い作ったもの。本当はこれは武器破壊の技だ。いかにも最弱無敗を目指す彼が好きそうな技だろ?
だけど、彼はこれをお教える前に・・・・・・死んでしまった。
任務でとある要人を守る仕事だった。その人物に襲撃犯が強襲。それは無事に鎮圧したが、そのうちの一人が自爆を決行。それを見た同じ護衛の一人がその爆弾を窓から広い空地へと投げた。
運が悪かった。そこには一人の少年がボールを追いかけ迷い込み、爆発の効果予定範囲内にいた。それを察した彼は窓より飛び出し、・・・空中で爆弾を切ったのだ。無論彼は爆心地に最も近い距離で被爆。そのまま死んでしまった。
「これは、いまだ夢見るあの世で彼に渡すための剣技。名はそうだな、―――『無敗』とでもしておこうか」
そう言うと2体の姿は消え、その場には水袋と肉が現れた。
「・・・これは食べてもいいのだろうか?」
僕はそう言い水袋の水と肉の状態を確認した。
「・・・これと言った問題はないようだな」
僕はそういうと水袋から水を少しのみ、肉を3分の1食べる。
「はあ、回復した。ギルドの依頼ってことは食材の回収依頼もあるよな・・・持っておくか。あ、でも入れ物ないな」
そう言ってあたりを見渡すといい物が見える。
「・・・竹やぶだ」
僕は一直線に走り、隠しスキル〈万変の道具〉をしよう。斧を取り出す。竹を切り、再び籠を3つ作った。腰に付ける小物用二つに背中に背負う大きい物1つの計3つ。とりあえず筍を3つほどとっておいた。
「・・・やぁあ、うきゃ」
遠くで戦闘している音が聞こえる。
竹藪を抜けその声の方へ向かうと森の中で男の子が巨大な炎を纏うゴリラと戦っていた。
・・・この試験がギルドの依頼と同じなら獲物の横取りはご法度。しかし、助けたくなる。
ゴリラと戦う彼、なかなかのセンスの持ち主なおだが使う者が長槍で火、水、風を使い不利なフィールドでよく戦っていた。
しかし、体力が付きかけているのか少しフラフラだった。
「あッ!」
気が緩んだのか彼女が足を滑らせ転んでしまう。
ゴリラは両手を結び、振り落とそうとする。
「付与:風魔法 加速」
僕は落ちていた石に風魔法の加速をかけて剛速球をつくりだした。
「グフォ?」
ゴリラの注意がこっちに寄せられる。
「いまだやれ!」
「!・・・付与:炎魔法 十炎」
彼は槍をゴリラに突き刺し内部から火脳を放出。ゴリラは元々赤かった肌をさらに赤くし十字の炎を吹き出しながらはじけ飛んだ。
※※※
「はい、おつかれ。お肉だべる?」
「ひゃい・・・えっとあなたは、もしかしてさっき手助けしてくれた人?」
戦闘終了を見て姿を見せるが彼を脅かしてしまったようだった。僕はその通りなので頷く。
「先の戦闘なかなか良かった。でも・・・もう少しフィールドを見ような」
「えっと、ありがとうございます?・・・あなたはなぜここに?」
「あなたが大変そうだったからですよ」
僕がそういうと彼は頬を赤く染める。
「助けてもらってうれしかったです・・・」
「よかったら、すこしのあいだ共にパーティーを組まないか?」
「え?いいのですか?」
「構わない、どうする?」
「ぜひお願いします!私はルトーといいます」
「レンジだ。よろしく」
こうして僕は現地で仲間を見つけるのだった。




