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一次試験開始

ようやく3日目

 

 自分は今ギルドの所有する運動場にいる。

 この場所は神による加護によりどんなに怪我をしても死にはしないのと、内部に異空間を作り出すことが可能で東京ドームくらいあるこの場所だが内部は東京ぐらい広い

 普段はギルドに申請制で貸し出しをしており、高ランク冒険者が練習によく使う。


 今日の参加者は120名。

 ほとんどが戦闘系職業(騎士、傭兵、冒険者など)についている者が多いが中には軽装の物も多かった。

 僕はミレイが作ってくれた黒に銀と金の装飾の施されたロングコートにミオのくれた薄緑の腕輪。アヤカが地球から持ってきた万年筆を内ポケットに入れている。


 ・・・まあ、つまり武器の類は全くないのだ。


 それと昨日ギルドの窓破って逃走したのが有名なのか目立っていたので城でも使ったマスクに眼鏡をかけさせてもらった。

 この状態では一人称が僕になるが武器がないいま、頭脳と技に特化した僕状態の方が合理的であると僕は自分を慰めるのであった。


「あいつこの辺りじゃあ見ねえな・・・新顔か?」


「しかし・・・変な奴だな。黒のコートとは。高ランク冒険者に憧れる新人か?」


「そんなところだろ。・・・見たところ腕自慢より身体能力を得意とするんじゃないか?」


「武器で戦うのではなく、逃走か。それならあの軽装もわかる」


 周囲の子を聞くとそんな声が聞こえる。


 ・・・それがですね。皆さんお言うとおりこのローブ性能がバカ高い。腕輪も。さらに万年筆も異世界転移特典でえらいことになってる。


 はっきり言って武器いらないの・・・。


 さらに言わせてもらえれば、今この場に集まっている人達戦闘職の癖に練度が低い。

 自分はもちろん、向こうの世界の後輩SPでも一人で全員を相手にしたとして少なくとも半壊にできるかもしれない。まあ、ちょこちょこ危ない気配の物もいるけど。

 僕はこの場に集まったもののレベルの低さに少し驚愕していると、試験官が現れる。


「これより大運動会参加選手選考会・最終日を行います。では皆さん、中にお入りください」


 そう言って奥の壁が左右に開く。

 そこには大草原が広がる。


「これより皆さんには内部のランダム手レポートしてもらい、内部時間で1日。こちらで言うと約1時間過ごしてもらいます。装備は今皆さんの持っている者のみ。ただマジックバックやポーションなどの回復系やそれを持ち込める物は転移と同時に使用不可なので自動で回収させてもらいます」


 全員から声が上がるかと思ったが、あがらない。これがこの一次試験でメジャーなのだろう。


「ここでの生活は見させていただきますので、是非活躍してください。それにより査定係がポイントをつけていきます。・・・ご質問は?」


「ポイントの内訳はあるのか?」


 どこかの男がそう聞く。


「秘密です・・・がギルドでの依頼になるようなものはポイントが付きますよ?」


 それ以降誰からの質問もなく全員の転移が開始。光となって奥へと吸い込まれてゆく。

 どんどん飛ばされてゆく中・・・僕一人だけ残されてしまう。


「・・・えっと、試験管さん?」


「あなたでしたか・・・」


「はい?」


 試験官さんは僕を見つめ、背後にいた一人に耳打ちをする。


「申し訳ありません。動作不良ですね。申し訳ありませんが、このまま歩いてとおってもらっていいですか?」


「え?・・・まあ、わかりました」


 僕はそう言って、内部へはいってゆく。



 ※※※





「グウァアアアアああアアアアアアああ!」

「グオォオおおオオオオオオオオおお!」




 内部に入ると、ティラノザウルスのような外見のモンスターにお腹に魔方陣を持つ頭に氷を生やした熊が争っていた。

 僕がその光景に見とれていると二匹はこちらに気づき、涎を垂らす。

 背後を見るがそこには平原が広がっており何もなかった。


「おいおい、いきなり大物とバトルか?・・・それともこのくらいのモンスターが普通?ギルドでの依頼となるものはpointということはこいつらの討伐もポイントと取れるのか?」


「グウァアアアアああアアアアアアああ!」


「グオォオおおオオオオオオオオおお!」


 そう考えていると2匹は襲ってくる。


「まずいな、武器・・・あ、そうだ」


 僕は自分の胸に手を当て、隠しスキルを使用する。それは〈心臓に残りし銃弾〉。


「欲するは刀。わが愛刀、『常々』」


 それは前世にて高坂の家に伝わる妖刀。

 妖刀のなかでは弱い部類に入るがその能力は不変。

 刃こぼれはしなし、切れ味は悪くならない。

 ただ業物と言われる刀より切れ味におとり、使い手を選ばない。





 ・・・だが、それがいい。

 戦闘において絶対にこぼれない。切れ味が変わらないこと以外に何を近接武器に求める?

 近接戦闘は何も一対一とは限らない多数対一ならばどうする。

 ましてや戦争中は手入れはロクにできない。

 僕は常にそう戦場に身をおいているためにこれを至上と思うのかもしれないが、それでも僕にとっての最高の刀である。


 これが胸の中の銃弾によるまがい物か、それともその弾丸を媒介として召喚されたものかは知らないが・・・


 そう思うと妖刀は紫のオーラを自分に流してくる。


『私は本物である。懐かしの主よ』


 そう言う声が聞こえる。


「お前、常々なのか?」


『うん?我の声が聞こえるのか・・・うれしいな。そうだぞ。南米にてお主にさんざん振り回された刀。常々じゃ』


「・・・そうか。また力を貸してくれよ」


『無論じゃ』


 そう言うと、左肩が痛む。


『隠しスキル 古傷解放が使用されました。スキル刀召喚〈常々〉が使用可能となります』


 何と常々が常時召喚可能となってしまった。


『おい、主様危ない!』



「グウァアアアアああアアアアアアああ!」

「グオォオおおオオオオオオオオおお!」



「!風魔法〈突風離脱〉」


 常々の声で目の前に2体のモンスターが来ていることを思い出した自分は魔法で後ろ飛び、熊の氷河攻撃とティラノザウルスの炎のブレスを避ける。


『大丈夫か、主様!』


「大丈夫・・・さあ、久しぶりに暴れようか」


 そう言って僕は刀を構えるのであった。







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