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聖女様の現状説明とレンジの献上品

少し長めに書きました。


「さて、聖女ミレイ君がこの中で現状を一番理解していると思う。説明してもらおうか?」


 王様はそう言ってこの鍵の口火を切った。


「えっと、とりあえず、こっちの勇者として召喚されたのが私の前世の娘あーちゃんことアヤカ。で、こっちの男性が先ほど言った前世の夫にしてこっちでも夫になる予定のレンジくん」


 そう紹介された僕は、口元の特殊マスクを外す。

 このマスクはストレージに入っており、前世において活用していた仕事12道具の一つでもある。

 このマスクは基本フレームを顎に当てるとアルテシオバルーンという素材で口と鼻を覆てくれる。さらに空気の浄化機能、水中での約48時間息のできるエアタンク装備、小型ペンライト、発信機水中でも声を届ける音波発生器、ボイスチェンジャーなど様々な効果を持っている。

 さらに、異世界転移特典扱いなので、非劣化、破壊不可、瞬間洗浄が込められていた。


「初めまして。ミレイの前世の夫。レンジと言います」


「ああ。よろしく。我はテトレーン・マクライド。こっちが賢者のジョブを持つ・・・」


「ミトル・レーマンです」


 二人はそう言って挨拶を返す。


「失礼ながらレーマンさんは・・・」


「はい、エルフですね。その反応やはり異世界、それもミレイ殿と同じところから来たようですね」


「・・・え?」


「こいつはな、孤児院をやっていてな。ミレイ殿はその孤児院の前に追ってこいつが育てたというところだ」


「彼女は幼いころから私の耳に大変興味を持っていましたし、何でも聞いたら前世の記憶を保持しているとか。それでこの耳が珍しいらしくて・・・エルフは向こうでは珍しいのでしょ?」


「そうですね・・・普通に生活したら会う事はない種ですから」


「・・・おとうさん。あったことあるの?」


「え?・・・ああ、まあイギリスで」


「うそ…あの世界にもいたの。ちょっとショック」


 そう言って落ち込むアヤカ。

 もう先ほどの殺気はうそのように消え去り、今はどこか浮ついているようだ。


「・・・勇者殿はその、ミレイとレンジ殿の娘様という子ですよね?」


「そうですね。・・・ああ、レーマンさん。私とアヤカは若返ってます。そうだよな?」


「うん。おとうさん。私お父さんが死んだ日にそのままここに来たから」


「そういうことでしたか。・・・いや、その。ミレイ殿の事ですから、向こうの世界で幼いあなたを襲ったとかかと思いまして・・・」


「えーっと。はは・・・」


 ・・・あながち間違いじゃないだよな。


 自分の過去を思い出し苦笑いになる。


「え?お母さん、お父さんを襲ったの?」


「・・・だって、抑えられなくて。でも監禁はしなかったのよ。ダーリン、将来のためにきちんと学校言って学は着けたいっていうから。その代わり放課後は私の一杯時間を割いてもらったけど♪」


「・・・むー」


 ミレイがのろけると綾香は少し不機嫌になる。


 ・・・まあ、親の生々しい話は少し恥ずかしいか。


 レンジはちょっとずれた認識をしながら王を見ると・・・少しひきつった顔をしていた。


「どうかしましたか?」


「・・・え?あ、いや。お2人は前世でも同じように?」


「・・・は?ああ、えっとアヤカが6歳ごろからですかね?ミレイとけんかするようになったのは。まあ長い反抗期みたいなものです。こう見えて仲は良いですから」


 ちなみにそれはレンジの見ている範囲の感想であり、仲がいいのはレンジ関連だからであるのを忘れてはならない。


「・・・そうですか。あ、ところでレンジ殿」


 王はレンジに一枚の紙を見せる。


「人魔対抗大運動会?」


 それはこの世界最大のイベントの広告だった。


「レンジ殿今手持ちは?」


「・・・まだないですね。来る途中でモンスターや宝石、獣を倒したので換金できればと思っています」


「ふむ。レンジ殿我らがライファ―側の特別選手になる気はありませんか?」


「特別選手?」


「はい。この運動会最終日までに何かの競技に出た選手代表戦闘で、両陣から選抜された10人が戦闘を行うのです」


「ほう、それで?」


「この特別選手は1名を王が推薦できるものでして本来でしたら勇者殿、つまりアヤカ殿を推薦するつもりでしたが、娘さんよりあなたの方が戦闘に対する経験が高そうだと感じましたので。それに特別選手と言いますかライファ―側でえらばれた10人には国から給金と手当、神より武具もしくは素材、アイテムが3つもらえます」


「ステータスではなく、経験ということですか・・・」


 自分は考える。確かに戦闘経験は自分方が高いが戦闘能力なら若い体に慣れているアヤカの方がいいのではないか?それにこの大会は両種の尊厳とプライドがかかるとか。そしてここ3回、最優秀選手賞を取られているとのこと・・・ならば。


「アヤカ、お前この運動会出る気はあるか?」


「え?・・・まあ、お父さんが出るなら。それにデスクワークばかりで少し体動かしたかったし」


「・・・そうか。王様、それは予定通りアヤカにしておいてください」


「・・・!いいのかい?君はてっきり娘が傷つくのを見たくないというと思ったのだが」


 そう言われると自分は頬をポリポリと掻きながら申し訳なさそうに言う。


「まあ、それはあるですが、娘が出たいといったので。それで、その最終戦闘参加まだ決まって無いですよね?じゃあ、そこに入るので大丈夫です。」


「なかなかの自信だな」


「・・・自分の力を信じられないものに本当の勝利はないですよ」


「いいこと言いますな」


 賢者はどうやら気に入ったようで何度かつぶやいていた。


「ところでレンジ殿。寝床と食事はどうしているのだ」


「ミレイの別荘に厄介になってます」


「ああ、あの森の洋館。・・・そこのモンスターを狩ったのか?」


「え?はい。楽でしたよ」


「・・・そうか。なら、なかなかの腕なのだろう」


「そうなのか?」


 ミレイにそう聞くと彼女はアイテムボックスからここら一体の地図を出す。


「あそこはランクAクラスモンスターの出現するダンジョンがあるから、そこから迷い出たモンスターやそれに対抗できるように進化した獣がいるから危険とされていてね。だから近くに大きな町があるの。通らなかった?」


「あ、あれか。みた」


 ここまで最短ルート一直線出来たため町を通らなかったレンジは横眼には確認したがあれは・・・


「町というより都市に見えたな」


「そりゃあ、あそこは商いの聖地だからね。そうだ、ダーリン今度一緒に行ってプレゼント買って!」


「あ、ずるい。私お父さん!」


 するとミレイが自分の手を握ろうとして伸ばしてきたと思われる手をアヤカが戦い落す音が聞こえる。


「はは、まあそれは置いておいて。モンスターの皮っていい値で?」


「そうですね、モンスターの攻撃に耐性が付くことが多いですから。高位の冒険者、貴族、豪商が持っていたり買い取ったりしますね」


「そうですか。じゃあ、素材のランクの高かったこいつの皮を王様に渡しておきます。ジョブ的に王様と会う事は多いでしょうから。これからもこの二人に目をかけてやってください。」


 そう言って、自分はストレージをごまかすために作ったバックに手を入れて黒い2メーター四方の皮を取り出す。

これは鉄壁で空を飛んでいる時に襲いかかってきた巨大なみたいなやつ亀だ。

せっかくだったので魔法制御の実験して鉛筆サイズの大きさで鋭さを探求した実験を行った結果のおまけである。


「・・・〈鑑定:極〉。!?ちょっと、ダーリンこれ、地龍の皮じゃない!」


「うん?あれ、亀じゃないの?自動回収ランク高かったからいい肉手に入ったからちょっとうれしかった程度にしか見て無かったよ」


「まさか、既にドラゴンスレイヤーの称号をお持ちとは…恐れ入ります」


 賢者はそういって、頭を下げる中隣のお様はとても嬉しそうに地龍の皮を見ていた。


「傷一つない・・・なんて精度だ」


そう感心している王様に僕が苦笑いしていると、気配察知とマップが緊急で開きある存在がこの城へ向かってきているのを知らせる。


「・・・あの王様?」


「うん?なんだ?」


「・・・来客来たんじゃないかと思うので自分はもう帰ります。ミレイは聖女だからこのクラスは出迎えるんじゃないかな?綾香は・・・どうなんだ?」


「は?なにをいって・・・」


 その瞬間、王様は今様門をくぐった物を察し、賢者を見る。


「魔王に、拳闘王がきた。急ぎ用を聞け」


 王様がそう言うと賢者は急ぎ出てゆく。


「ミレイ、アヤカ殿。おそらく2人に来客だと思う。すまないが・・・」


「えー、私お父さんと一緒に帰りたい」


「私もあの子よりダーリンと共にいたいです。それにあの子なら絶対にダーリンを気に入ります」


「・・・そうかもな。むしろ今、あやつの相手をせずそなたが帰れば貴様を負うかもしれんぞ。そしたらレンジ殿共々見つかるかもな」


「う、それは・・・いやです」


「じゃあ、お母さんはここに居残り。私はお父さんと帰る♪」


 すると近衛騎士の一人がやってくる。


「王様、魔王様が王様と勇者様、そして聖女様との面会を求めてやってまいりました」


「・・・だって、あーちゃん」


「むー、いや!」


 アヤカは部屋の隅に行き子供のように駄々をこねる。

 それを見て自分はアヤカの方に手を置き、静かに言い聞かせる。


「アヤカ。これはこの世界での君の、いや君にしかできない仕事とだ。お母さんもきちんと働いているだろ?」


 そう言ってミレイを見ると、彼女は「・・・ぜったいに彼女にダーリンを合わせちゃだめ。ぜったいに彼女にダーリンを合わせちゃだめ。ぜったいに彼女にダーリンを合わせちゃだめ。」と呪詛のようにつぶやいており、2人の視線を感じると笑顔になって手を振ってくる。


「・・・まあ、母さんも頑張っているんだ。娘であるアヤカにもできるし、期待してる」


「・・・期待してる?お父さんが?」


「ああ、なんだったら頑張ったご褒美を何かあげてもいいぞ」


「何でも・・・!?」


「えっと・・・」


 この手の質問で承知していいことに転んだためしのない自分としては承認することにためらいが出る。


「・・・えっと、自分にできることで他人に迷惑かけないことなら」


「わかった!」


 その返答をして一瞬後悔した。

 その答えを前世でミレイに使って・・・既成事実一歩手前まで追い詰められたのを思い出したからだ。


 だが、今目の前にいるのは娘。

 そんなことにならないだろうとお甘い考えをしてしまうレンジであった。




修羅場にできなくてすみません。

言い訳:城で修羅場って、城壊して・・・借金地獄?はちょっと嫌だったのであとにまわします。


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