1万pv突破記念特別話 高校生時代
特別回です。第3話の夜ぐらいの時間です。
※母と娘の名前が混ざっていたので修正しました。20180327・0215
・・・妻のヤンデレを久々に見たその日の夜。高校生時代の夢を見た。
※※※
美鈴の名前を知ったのは高校一年生初日の保健室。
入学式初日、自分はトイレに行った帰りに何者かにスタンガンで気絶させられ保健室に連れて行かれた。
起きた自分の隣にはクラスで噂になっている美女美鈴が抱き着いてきて、少し服が乱れていた。
そのため少々下着が見て隠れしていたせいもあり健全な高校生男子の自分はかなり緊張したのをよく覚えている。
ただ、自分と美鈴は抱き着き、抱き着かれていたせいか大量の汗をかいておりよくわからないがかなり疲れも出ていた。
保健室のベットから出ようと思うものの美鈴の抱きしめる力が強く手足が動かせないのもあり、彼女のかわいらしい寝顔を見ていると起こすのも忍びなく、そのままもう一度眠ってしまった。
次に起きた時にはすでに夕方で、隣には制服のワイシャツのボタンを閉めてスカートをはく美鈴の姿があり自分は反対がを向いた。
・・・着替えていたのか?
そんなことを考えていると寝返りがわざとらしかったのか自分が起きていることに気が付いたあやかは、自分の方に片手をおき声をかけてくる。
「あ、蓮二くん。おきた?」
その声は耳に近く体がビクッと、反応してしまい寝たふりはもはや通用しないと判断し返答をした。
「あっと、おはようございます。宮本さん(美鈴の旧姓)」
「むー、美鈴って呼んで。蓮二くん、私はきみをダーリンって呼ぶから」
「え、いや、それは・・・」
「えー、あんな事までしたのに・・・」
彼女は下腹部を抑え赤面した。
「あんなこと?」
「覚えてないの?」
「えーっと、すみません」
「・・・そっか、寝ていてあんなに」
ぼそぼそと小さな声で何か言っていたが、その表情は何か念願がかなったようでとても嬉しそうだった。
「・・・宮本さん、あのなんでここに?」
「むー、美鈴」
「え、いや」
「美鈴」
「それはちょっと・・・」
「ハニーでもいいよ」
「美鈴さんでお願いします」
これ以上はやばい気がした自分は即座にそう提案する。
彼女は不機嫌そうだったが、「まあいいや。でもさんは着けないでね」と言って僕の頬にキスをしてきた。
「じゃあ、帰ろう。ダーリン♪」
心なしか軽い腰痛を感じたが、スタンガンでやられた時に打ったと考え、特に気にも留めなかった。
※※※
これが自分の中での綾香との初めての出会いだった。
それから1年がたち、自分が綾香と付き合いだしたのは高校2年生の春だった。
美鈴に告白され、初めての告白でもあり気心が知れ、なんだかんだ言って慕ってくれておるところに自分もかなりひかれていた。
学校で5本の指に入る美人として有名だったこともあり、多くの友達から嫉妬の視線を浴びることになるもどこかみんな納得しているというか、安心している雰囲気があった。
「・・・もう自殺とめなくていいんだ」
「・・・確か去年宮本から回収したカッターは3桁超えるとか」
「高坂君がだれか宮本さんの知らない女子と話しているとすぐに・・・」
「・・・ヤンデレだよな。あいつが監禁されないか心配だぞ」
「・・・ていうか、五帝(蓮二の代の5大美少女)のもう一人は大丈夫なのか?」
そんな会話が聞こえてくる。
えっと、カッター?自殺?どういうことだ?
五帝のもう一人?俺の知り合いから行くと・・・未来か?
あいつは確か、片思いしてるんじゃなかったか?…自分じゃないだろ。あんなに文句言うんだぞ
まあ、いろいろあったがクラスの奴には祝福された。
そしてこれがきっかけで美鈴の愛が深くなりすぎてあんな事件を起こすことになるとは思わなかった。
※※※
「レンジ、お弁当忘れてるよ。しっかりしてよね」
始まりは俺が弁当を忘れたことにあった。
弁当は2年になって週3で美鈴が作ってきてくれているが負担が大きいから残り2日は自分の家から持ってくることにしていた。
自作もできるが、料理好きの一つ下の妹がその二日は作ってくれていた。
妹は今年より自分と同じ高校に通い、3天使としてのうわさは2年生である自分のもとにまで届いている。
中学生時代に一度2つ下の末の妹に関係を迫られた事はあるが、あの時はかなり怖かった。
親父と母さんは当時まだ生きていたが、それなりの年なのに若々しくてラブラブだ。
だが、母さんは少しヤンデレなところもあり、親父は襲われたのがきっかけ付き合いだしたらしい。
そして代々うちの家系は女性が半分の確率でヤンデレ。男はヤンデレに襲われやすい体質らしい。・・・その分、体が鍛えられて他の人よりは頑丈らしいのだが。
まあ、美鈴はヤンデレではないと当時信じ切っていた自分としては・・・これはかなり迂闊な行動だったとも言えた。
僕が一つ下の妹、東花から弁当を受け取った時に気づくべきだった。
あんなに殺意のこもった視線を送られておいて気のせいと思った当時の自分を今でも殴りたい。
その日の夕方、自分は美鈴と東花から全く同じ場所に呼び出されていた。
場所は屋上。
二人のメールは似ていて非なるものだった。
「助けて」
「今すぐ来て」
上が東花、下が美鈴だった。どちらの切迫した様子なのは文面から受け取れた。
「美鈴!東花!」
自分は鍵のかかっていた金属のドアを蹴り破って中に入る。
「にいちゃん・・・」
「あー、レンジ君~」
そこには制服のあちこちが切られており、顔や手にも傷を作り手にネクタイをまきつけている東花。
そして、いろんなところに青あざを作ってふらふらだがその手には血の付いたカッターを持つ美鈴。
「・・・どういうことだ?」
その日、自分は珍しく怒りを爆発させてしまった。
小学生の時に女子生徒をいじめていた集団に一度憤怒してトラウマを植え付けて以来極力怒らないようにしてきた。中学生の時に3度、憤怒したことはあったがそれはいずれものちに警察に捕まるようなことだったからよかったが、その時の被害者の怯えた顔を忘れたことはない。
・・・僕はそんな顔をされるのがたまらなく嫌だった。
だが今回は、そんなことよりも二人が傷ついているという事実に、東花に、美鈴にそして何より自分に腹が立っていた。
「・・・ダーリン」
怒りで我を忘れそうになっているなか、前から声がかかる。
「・・・」
そこにいたのは美鈴だった。美鈴は自分をうっとりと見ながら「でもその苦しそうな顔は見ていられないから・・・」と言って僕の口にキスをする。
「ッ!?」
驚いたのもつかの間さらなる追撃をくらう。
彼女はさらに下を入れてきた。
初めてする大人のキス。
「…うーん、ダーリンとのキスはなんどやっても気持ちいい」
「え?・・・え!?」
「あ、・・・えっと、ごめんダーリン。ダーリンが寝てる時にこっそりといつもしてました」
「・・・そ、そっか。全然知らなかった」
「ごめんね・・・これくらいで驚くってことはあのことはまだいわない方がいいかな」
「え?ごめん最期聞き取れなかった」
「うんん。気にしないで」
そう言われて美鈴を見るも抱き程のキスの事もありかなり恥ずかしい
「ゴホン、お2人さんいいかしら?」
そういて東花から声がかけられる。
「あ、すまない。東花、美鈴何があったんだ?」
そう言うと二人は顔をお見合わせ、二人は互いを指し「泥棒猫」と言った。
「はい?」
「だって、私という彼女がいるのに・・・。この子ダーリンの浮気相手でしょ?」
「私と兄さんは結婚できないからせめて学生の間は夫婦ポイことしたくて毎日の愛妹弁当作ったのにこの子のお弁当は週3で食べているから」
「は?・・・はい?」
「「・・・待って、今あなたなんて言った?」」
「彼女?」
「妹だから学生の間に夫婦ごっこ?」
その瞬間、すさまじい殺気が二人に生まれる。
「やっぱり殺す」
この後無事自分が首根っこ捕まえて説得しました・・・。
※※※
そんな懐かしいこと思い出しながら隣で一糸まとわず眠る美鈴を見る。
「ダーリン・・・」
そういって手が僕の事を探している。
「ここにいるよ」
そう言って手を握ると彼女はその手を自分の胸元に引き寄せる。
「あったかい・・・」
そう言う彼女の目には一滴の涙が流れた。
「そうだね、あったかい・・・」
ぼくは地球で最後に触れたあの冷たい手を思い出し今のこのぬくもりに感謝する。
「・・・また君に会えて僕は嬉しいよ」
自分がそう言うと彼女は何かいい夢でも見ているのだろうか?
うれしそうな満面の笑みを浮かべるのであった。
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