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遠い記憶の中で~second memory~:01

 



 白い空間の中不自然に一本伸びる黒い道の上。

 彼女たちはそこをだまって歩く。


『あの判決を受けた三日後、タケミカヅチは神界最強を決める武闘大会にて王座を守り抜き、そして引退を宣言した。詳しいことは言わず、参加資格のなくなる最高神になることだけを告げてね。・・・まあ、それは原初の神の作りだした星の一つにして多くの者が欲しがるエデンのリンゴを唯一、生産できた星であるから手を出す者への忠告と言ったところさ。そしてヴェルダンディより『ウルド』の神格を分け与えられてた義妹『ワルキューレ』の女性は新たなる神格を得ることが決まり、そのウルドの神格をヴェルダンディに返し、彼らは一か月の日が変わると共に、『エデン』へと飛ばされた。これから見るのはそのエデンに着いた直後からだ。途中、時が飛ぶよ。気を付けてね』


「・・・」


 アヤカはよそを向きながら黙ってうなずいた。


『・・・着いたよ』


「・・・ひゃあああああああああああああああああああああああ」


 次の黒い穴の前にたどり着いたフーはアヤカにそう告げると、道を譲った。

 アヤカは何も言わず黒い穴へと飛び込み、直後、悲鳴が聞こえる。


『あ、とんだ先がしばらくは宇宙空間であることお伝え忘れてた。・・・ま、いっか』


 フーは自らは入ることのできない黒い穴に手を伸ばし、境界面で手を弾かれる。


『やっぱりはいれない、か。・・・がんばってね』



 ※※※




「あの、バカやっろ―――――――――――――――!」


 アヤカは宇宙空間を突入と同じ速度。

 いや、エデンの引力に引かれているのか少し加速しながら進んでいた。


「このままじゃ、地面にぶつかる。どうすれ・・・」


 アヤカはこのままエデンへと落ちるの事を気にしていると、真横を真っ白な彗星が横切った。


「・・・あれは」


 彗星はかなりの速度だったが、確かに見えた。

 その星の上に二人の男女と赤ん坊が3人。


「行くしかないよね」


 アヤカは手袋から聖剣を取り出すと彗星からはがれて近くに迫る破片にスキルを発動させる。


「聖剣スキル:バックラッシュ!」


 それは、戦線離脱用のスキルで発動と同時に勢いよく後ろに引っ張られる。

 それにより破片破壊による反作用に加え、バックラッシュの効果もあり、落下速度が爆発的にがる。

 その速度は確かにタケミカヅチたちの乗る彗星よりも早くなったが、このままでは追い付かない。


 しかしこの時アヤカは気づくべきだった。


 本来干渉できないはずの夢であるこの世界で彼女の技が発動し、物体に改称したという事実を。

 破片が砕け散った時の石粒は幸か不幸か、大気圏突入の熱で消滅していた。

 さらに言えば、なぜ彼女は無重力の影響を、引力の影響を受けているのか・・・まるで現実かのような感覚に違和感を持つべきだったのだ。


「・・・熱い?」


 先ほどから熱を感じ始めていたアヤカは大気圏突入の際の熱が自分に影響を及ぼしていることに気が付いた。


「そんな・・・」


 幸いなことに、本来かかる熱量の1万分の1の熱量だが、それでも対処しなければ死んでしまう。


「・・・どうすれば」


 その時、右手ゴットハンドの甲の部分に付けられていた透明の宝石が光り輝き、彼女を2つの盾が覆う。


「・・・暖かい」


 彼女をやさしく包む2つの盾は大気圏を超えると、そのままタケミカヅチたちの乗る彗星の上に降り立つ。


「うん?」「あい!」


「どうしました?・・・おっと、よしよし」


 タケミカヅチはこちらをじっと見て、フー(赤ん坊)はこちらに手を伸ばす。


「・・・誰か、いるのか?」


「いますよ」


 どうやらタケミカヅチは何かを感じてはいるものの、アヤカの事は見えてないみたいだ。

 アヤカはためしに声をかけてみる。


「・・・どうしたのですか?」


「いや、何でもない」


 どうやら、声も聞こえていないようである。


「あうあう?」「きゃい!」


 ・・・一方、タケミカヅチではなくこちらがアヤカの声に反応した。


「あら?フーだけでなく、ミーにムーも?」


 赤ん坊3姉妹は私の声を聴き、こちらに手を伸ばす。


「こんにちは」


 そう言ってアヤカはムーとミーに小指を差し出すと二人はつかんできた。


「きゃっきゃ!」


「あいあい!」


 ほほえましいその姿に思わず、アヤカは笑ってしまった。


「・・・え?」


「どうした、トキ?」


「今、笑い声が・・・」


 辺りを見渡す二人。

 タケミカヅチは顎に手を当て考える。


「まさか、精霊?」


「あのエデンの小間使い呼ばれる概念存在ですか?」


「・・・まあわからないが、先ほどから何かを感じる」


「それが精霊だと?」


「まあ、可能性に過ぎない。・・・それに見てみろ。ここは誰も管理していないはずなの身緑豊かで草木が生えている。水も流れて空気がきれいだ。・・・誰か世話をしている者がいるとは思わないかい?」

 タケミカヅチの言葉にトキはうなずき、アヤカはタケミカヅチの言葉を聞いて外を見渡す。


「きれい・・・」


 自然が自然のまま残され、植物によって生命のピラミットが成り立っている世界。

 空気は透き通り、心地いい。


「トキ、あの湖に着水しよう」


「わかったわ」


 彗星をおのれの神気で操作していたタケミカヅチは隕石を軌道修正して、ゆっくりと湖に隕石をおろす。


「このままだと、湖から大量の水が出ちゃうな・・・よし」


 そう言ってタケミカヅチは隕石にまとわせていた神気を操作し、湖につながる川をさらに押し広げ、湖を5回りほど大きくした。

 巨大な音を鳴らし広げられた川、この大陸の中央に浅い溝のようにしてできたこの川は神気に当てられ、さらに大量の水が流れたことにより、見事に・・・えぐれた。


「・・・あ」


 こうしてもともと浅い川によって分断されていた大陸は神が降り立った時に分断されることとなった。

 これはもはや運河とも言えるだろう。


「・・・あなた?」


「あー、そうだ。この隕石を闘技場にしようと思ってたんだ!神格を全力で使って頑張っちゃうぞー!」


「・・・その前にお話をしましょう」


 こうして連れて行かれるタケミカヅチ。

 そして彼の言っていた闘技場こそ、のちに人魔対抗大運動会の会場となる闘技場である。















ちょっと気晴らしに書いてみました。

『辺境伯にお世話になる隠居魔導師は、ありふれた空間魔法使い』

https://ncode.syosetu.com/n2826ey/

亜空間収納しかできないと思われている空間魔法。

それを極めた男のお話。

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