聖女様
新作始めました
20180421:誤字修正
20180831:誤字修正、加筆
ここは異世界エデン。
この世界は平らに作らており、半生をかけたものによる必死の航海により地平線の向こうは虚無が広がっていることがわかっている。
この世界は比較的穏やかである。
温暖な気候、神にきちんと祈りをささげれば一年を通して豊作を約束された農家。
水質汚染対策や気候汚染対策など星を壊すようなことへの対策は神託によって即座に行われる。
この世界は平和すぎる。故に元来戦争を好む生命のガス抜きのための対策もある。
それこそ人魔対抗大運動会である。
この世界は生命神によって作られたライファーと呼ばれる種(人、エルフ、妖精、精霊、獣人)と魔神によって創生されたブレイファーと呼ばれる種(魔人、吸血鬼、ドワーフ、龍人、悪魔)が存在する。
また、各地で出没するモンスターと呼ばれる害獣を討伐するギルドが存在し、その本部のある、星の中で中央にあり、一番大きい大陸のであるミリートを半分に分ける毎年一定時期にしか霧の晴れない湖と川を挟んだ森の東をライファー、西をブレイファーの首都が広がる。
その境目の湖に存在するのは世界最大級の神造闘技場。
神々の御前試合とも呼ばれ、その盛り上がりは毎年大きな盛り上がりを見せる。
その運動会に参加するための予選を控えたこの世界の春。
ようやく寒さから解き放たれた自然が青々と葉を取り戻す中、その準備が本格的に行われだし、各地の若き強者がそれぞれの種の所属する首都へと集まる。
ゆえにこの時期は森の中に出没したモンスターが成長して暴れてしまうことがしばしばある。
その森の上空を古代遺産である浮遊二輪に跨りモンスターを探す白服の少女の姿があった。
※※※
一方、薪や炭を作るために森に木を切りに来ていた木こり達はそのモンスターから逃れるために大急ぎで森を駆けていた。
「巨大なサイクロプスが出たぞ!」
「グァアアアアアアアア!」
彼らの前に現れたの全長15メートルはあると思われる単眼巨人:サイクロプス。
その手には根ごと引き抜かれた木を持っており、武器にも盾にもなる。
少し前に魔法使う冒険者を主力としたグループ15名が戦闘し、わずか5分で壊滅してしまった。
木こり達はその用紙に近くにある自分の村のことを思い、悔し涙が流れる。
しかし、その時救世主が空から現れた。
「魔石をよこ越しなさい!」
「グァ!?」
空から現れた少女はバイクから飛び降り、その身を自由落下に任せる。
それだけではなく、周囲に魔法と風精霊の強力で加速してサイクロプスの胸に穴をあける。
サイクロプスは突如として開いた胸の穴に困惑する。
そこにはモンスターが生存するのに必要な魔石が埋まっているはずの所だった。
「・・・グァアアアアアアアア!」
サイクロプスは魔石を抜かれたことにより肉体を維持できなくなり、その体を暗黒の瘴気と戻ってゆく。
サイクロプスは森を震わす断末魔の叫びを残し、消滅した。
「風魔法:減速、浮遊!来て、エアロバイク!」
ものすごい勢いで落下してきた少女はゆっくりとその身を地面に下す。
そのそばには彼女の乗っていたエアロバイク。
彼女は自分の半身くらいの直径を持つ魔石を漆黒の靄を放つバイクの座席の下に当てる。
すると、魔石は掻き消える。
「さて・・・帰りますか」
少女はそう言ってエアロバイクの跨る。すると、森の奥から木こりの姿が見える
「おお、聖女様!」
「君はこの先の村の・・・」
「はい。また助けてくれてありがとうございます。よければ、わが村でお茶でも・・・」
その木こりは村でもかなりイケメンであり、真面目でかなりもてる。
そんな彼だが、彼女はいない。なぜなら彼は目の前の彼女に秘かに恋をしているからだ。
「お礼はいいよ!あ、でもできたら魔石欲しいかも」
しかしそんな青年の思いかなわず聖女と呼ばれた少女はバイクを浮遊させる。
「わかりました。協会に送っておきます!ありがとうございました!」
少女はスカイバイクに乗って次なる場所へと向かう。
その眼の奥には一人の男の姿が映る。
『――――ミレイ』
幻聴だが、記憶にある彼の声に少女は興奮して身震いを起こす。
「待ってて、あなた。今呼んであげるから・・・」
その表情はとても聖女には見えないひどく病んだものだった。
彼女の名はミレイ。捨て子で孤児院で育った少女。
才色兼備で、今は教会で働いており神より聖女のジョブ(人は万能種の為、適性のあるジョブを取り、己が道を決めるのが成人となった時の決まり※なお成人は12歳)をさず借りし者である。
お転婆で元気、とある好きな人の為に頑張る一途な子と有名で、ギルドに冒険者登録してあり(神父様が現在地を調べるために※ギルド登録の際のカードには現在地を特定する発信機機能あり)、最低ランクにもかかわらず(自身報告してないから)モンスター討伐数はギルド10本の指には入る(住民が報告してくれるため)。
彼女は特別である。
なぜなら、前世の記憶を持っているから。さらに前世と同じ容姿をしているからである。
その記憶の中にいつもある、幼馴染の彼であり夫の姿。
彼への思いを様々な方法で紙に書いているうちに絵、ポエム、作家のセンスも上がり、ライファー、ブレイファーともに有名になっている。
彼女は今日仕留めたサイクロプスの魔石を王都の近くにある隠れ家の一室に持って行き、その部屋の床にかかれた魔法陣の中央にある大きな魔石にサイクロプスの魔石を取り込ませる。
「鑑定・極」
そう言って魔石の総魔力量を測る。
「ふふ、ふふふ」
彼女は不敵に笑う。
「待ってて、ダーリン。今あなたを呼ぶから・・・」
ありがとうございました