人形~2
少し荒いです。
手直し予定
(ほらみろ!言わんこっちゃないッ!)
奥歯をギリッと噛み締める。
押し寄せる罪悪感。
もし、あの時、彼らと合流していれば?と考える。
いや、結果は変わらない。
死んだ馬鹿なギャルに俺が出ていって「こいつ怪しいぞー!気を付けろー!」と言えば彼らは俺の言う事を信じたか?
やはり結果は変わらない。
直ぐ様罪悪感が波を引いていく。
「まあ、あの中で聞く耳を持ってくれたとしたら、彼だけだろうな・・・」
視線の先に、ギャルの手を引いて逃げようとする不良の姿。
だが、ギャルは叫んだ後に腰が抜けたのか。
動けない。
必死に引っ張り起こそうとするが、人間の身体ってのは。
腰を落として、脱力すると思いの外、重いのだ。
柔道でも、背負い投げ等の対処は。
腰を落とす事が挙げられる。
つまりは・・・
「っ!くそ!早く立てよっ!早く!」
「だ・・・駄目・・・あしが・・・助けてぇ!」
たった一人の女性を立ち上がらせるのに、非常にもたついていた。
本人達は自分の命が掛かっているだけに、必死なのだが。
こちらとしては、馬鹿な行動だ。
いや、馬鹿と言う言葉すら生温い行動。
空腹のトラの前で、気付かず、いちゃつくカップル。
映画で有りそうなシーンを観ている様だ。
当然。結果は。
「助けて!助けグゥェッ!!」
「アアアアアァァァァッ!!!」
頭から地面に押し潰され、頭とお尻の肉が一緒に飛び散り。
地面に血肉の花火を描いた。
不良の彼は、流石に腕だけになったギャルを離し、逃げ出す。
人形が初めのギャルを殺した後、標的が変わらないなんて無いだろう。
動けるのに、動かないなんて無いだろう。
こっちが、もたついてる律儀に待ってくれる訳が無いだろう。
流石のアホさ加減に頭痛がしてきた。
彼らから人形のデータ。
情報を得ようと思ったのだが。
如何せん。彼らはアホ過ぎた。
せめて、人形の耐久性でも、何でも良いから知りたかった。
攻略の糸口が欲しかった。
ただ・・・
「グェッ!」
思いの外、人形が早く走れる事が解っただけでも良しとしよう。
生存者。
残り四人。
彼らは犠牲となったのだ。