狂気の刃~5
今週中にあと2~3Pは更新したい(願望)
「・・・だぁー・・・小西・・・」
近くで、誰かの呼ぶ声が聴こえる。
「!! 山下くんだ!山下くんの声がするよ」
「良かった!向こうも探してくれてたみたいだね!
行こう!美江ちゃん!」
私は美江ちゃんの手を引いて、声のする方へと小走りで向かう。
進むにつれて、段々と声が大きくなっているのが判る。
ほら、この角を曲がれば。
山下さんは居るはずだ。
期待して、安心して角を曲がる。
「山下く」
だが、そこに居たのは・・・
「小西~・・・どぉこだぁ~」
まるでデッサン人形を等身大にして、口の部分を空洞にしたような人形が、そこには居た。
「イヤァァーーッ!」
美江ちゃんが悲鳴を上げる。
私も思わず叫びそうになるが、そうは言ってられない。
美江ちゃんが言っていた人形ってのは、こいつの事だったんだと認識し。
私はグッと気持ちを強くした。
私の方がお姉ちゃんなんだ!
私が守らないと!
※※※
「イヤァァーーッ!」
再び木霊する悲鳴。
山下さんと同時に気付くと、二人して走り出す。
距離は凄く近い。
多分、100メートルもない。
「小西っ!?」
位置的に近かった山下さんがいち速く駆け出す。
その速度は俺に匹敵する速さだ。
これが火事場の・・・いや、もしかしたら。
別の何かの力かもしれないと、不謹慎ながらも思ってしまった。
短い間だが、山下さんと一緒にいて。
彼の誠実さ。
彼の必死な行動を見れば判った。
彼は小西さんが好きなんだ。
だから、彼女の為に自ら囮ににもなった。
だから、彼女を探すのも必死だったんだ。
その為には俺も助けなきゃと思う。
山下さんの後を追ってコーナーを曲がると、そこには人形と、小さい女の子を庇う様に人形と対峙する宇津木が居た。
え?宇津木?
何でこのタイミングで宇津木も居るの?
てか、小西さんちっさ!?
え?山下さんロリコ・・・いや、決めつけるのは良くない。
好きになった人がたまたま、小さかっただけだ。
うん。そうだ。
!?それよりも助けないと!!
俺は足に力を入れて、山下さんを一気に追い抜く。
追い抜く様、山下さんが「頼む!」と声を掛けてきた。
勿論だ!と頷くと、一気呵成に人形に突撃する。
俺の姿に気付いた宇津木が、驚く表情をしているが、気にしない。
「っしゃああっ!!」
胴回し回転蹴り。
蹴り技の中で最も威力のある蹴りだ。
しかも今回は走って勢いもある。
俺は速攻を決める為にぶちこんだ。
ぶちこんだんだ。
だけど
「うっそ・・・だろ?」
俺の蹴りは人形に軽く受け止められていた。
驚く俺を余所に、人形は俺の足を腕に絡め。
そのまま振り回す。
2周3周と回され、壁に飛ばされる。
「っ!にゃろ・・・」
壁に着地し、前を向くと。
目の前に人形が迫っていた。
既に人形の腕は振り上がっている。
吹き出る冷や汗。
防ぐか?避けるか?
加速する思考。
そして俺は・・・
「っしゃああっ!!」
迎撃を選んだ。
人形の腕と、俺の蹴りが衝突する。
ビリビリと痺れる左足。
どうやら向こうも同じく痺れているのか、直ぐ様、動く事はしない様だ。
俺は1度、宇津木達と合流した山下さんの元へ下がる。
俺が後退して近くに来た途端。
宇津木が物凄い勢いで捲し立ててきた。
「ちょっと!小川くん!何なのあの動き!ジャッキーっぽかったよ!それに何んなのあの人形!?キモいし恐いんだけど!!」
「あぁ、すまん宇津木。質問は後にしてくれ。
彼女が小西さんで合ってる?
怪我は?大丈夫?」
「は・・・はい・・・私が小西美江です・・・」
「大丈夫だ。小西も、そこの彼女も怪我はないみたいだ。
・・・それより小川くん、アイツは相当に強いみたいだぞ・・・大丈夫か?」
良かった。二人とも怪我はないか。
ふむ、山下さんの言う通り。
あの人形は今までの人形とは少し違う様だ。
だが、ここで変な態度を取れば。
3人に不安を与えてしまうだろうな・・・
「大丈夫ですよ。任せといて下さい・・・」
人形は頭部だけ、こちらに向けて佇んでいる。
何だか・・・観察されている様だ・・・
「さて・・・てめぇをぶっ壊して帰らせて貰うぜ?」
次回はバトルパートになります
え?既に戦ってるって?
・・・・・・次回はバトルパートになります!!




