狂気の刃~2
さて、何人生き残りますかね?
おかしい。
いくら待ってもマンションの真下を通る人処か、人の声すらしない。
こんな事ってある?
え?無人マンションとか?えぇ~・・・
仕方ないので、マンションの屋上から下の階へ降りるドアを恐る恐る開ける。
もしかしたら誘拐犯がドアの前で待っているかも知れないから、警戒していたが。
ここまで声も気配もないと、流石に見張りとか、居ないと判る。
錆び付いたドアを開けると、薄汚れた階段。
やはり、と言うか。
何年間も人の出入りが無いのは判る。
慎重に階段を降りる。
どうやら4階建てみたく、下への階段が続くが。
人の気配はない。
3階、2階も。
拍子抜けを食らった気分だ。
「なんだ・・・緊張して損したわぁ。
やっぱ無人マンションみたいね」
安全にマンションの正面玄関から外へ出て、辺りを見回しても。
人一人居ない。
不気味な位に静寂に包まれた街並みは、安心しきった私の心を妙に、不安を駆り立てる。
「・・・人、処か、音がしない街・・・ゴーストタウンって奴?
誘拐犯。何の為に私をここへ連れてきたんだろ?」
未だに見えない犯人の目的。
人の居ない街。
全く判らないが、まだ私は危険な状況に居る事に変わりはないんだ。
気を引き閉めなきゃ!
すると、何処からか悲鳴が聴こえてきた。
演技でない、危機に瀕した悲鳴だ。
「近いわ!・・・こっちね!」
建物が音を反響して方向が直ぐには分からなかったが、耳を澄ませて方向を特定すると。
私は駆け出した。
※※※
街を駆ける。
時速計算なら、40は出てるんじゃないか?
と、思うくらい速く速く速く。
俊敏値小の効果で全速力で。
見切りのスキルでどんな変化・異変も見逃さない様に走る。
何処だ!!何処に居る!
大通りを疾走しているが、誰とも遭わない。
居ない。
もしかしたら既に?と思い。
ウィンドウを確認するが、まだ誰も死んではいない。
なら、前回みたく馬鹿が居なく。
慎重に行動しているのか?
と、考察する。
それなら良し。
俺が見つけ出すだけだ。
良しと思ってウィンドウを消した時。
何処からか悲鳴が聴こえてきた。
「不味い・・・誰か人形に見付かったか!?」
急ブレーキをかけ、悲鳴が聴こえてきた方向へ走り出す。
焦りと疲労で額から、全身から汗が吹き出るが。
足を緩めたりはしない。
距離にして500メートル位だと思う。
前方の路地から人が転がる様に飛び出てきた。
少しして、人形も出てくる。
飛び出てきた人物は、顔を人形に向け、構える。
まさか奴とやる気か!?
無茶だ!
距離を詰め、腕を振り上げる人形。
同時に、そいつも動いた。
姿勢を低く。
まるでレスリングのタックル。
人形の攻撃をスレスレに避け、そのまま人形に体当たりを仕掛けた。
だが、人形の攻撃を避けたせいか。
充分に体重が乗らなかったタックルは人形を倒す事は無かった。
しかし体勢を崩し、よろけさせる事には成功した様だ。
ここでタックルを仕掛けた人物が此方に気付く。
何か言ってるみたいだが、関係ない。
人形が体勢を立て直したが、関係ない。
『射程距離に入った』
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