愛美とあいつ~4
あけました。
おめめとうございました!
あいつを追ってみれば、まだ正面玄関で靴を履き替えていた。
良かった・・・まだ居た。
ホッとしたのも束の間。
あいつは物凄い速さで校門まで走り去って行く。
え!?ちょっ!?はやっ!速い速い速いって!?
何あいつ!陸上選手か何か!?
慌てて靴を履き替え、直ぐ様、私も小川を走って追いかける。
が、追い付けない。
あいつとの距離がグングン拡がっていく。
「ま・・・ハァハァ・・・まっ・・・待て・・・待ってって・・・ハァハァ・・・バァ!」
痛む脇腹を抑え、もはや意地だけで足を動かす。
絶対・・・追い付いて・・・やるっ!
私の意気込みとは裏腹に。
あいつの後ろ姿は見えなくなっていた。
※※※
・・・宇津木が居る。
下駄箱で靴を履き替えている時に、ふと。
後ろから視線を感じ、隙を見て後ろを確認すると。
廊下の角から宇津木が顔だけ覗かせこちらをガン見していた。
いや・・・何で居るねん。
めっさ見てるし・・・目こわっ!
宇津木、目こわっ!
軽いホラー体験を感じつつ、動揺を隠して靴を履き替える。
焦るな、Be CooL。
落ち着け。
宇津木は靴を履き替えてないんだ。
さらにこっちは俊敏値小もある。
巻ける、ダッシュだ。
一気に走って宇津木を巻くんだ。
・・・今だ!
玄関入口でダッシュし、一気に校門まで行くが。
宇津木も必死に走って追いかけてくる。
その速さは必死なだけあって、かなりの物だが。
相手が悪かった。
グングンと差が開き、ついに宇津木を巻いた。
「っふぅ~・・・助かった。いや、本当に何で宇津木の奴。あんな必死に追いかけてくんだよ・・・もしかして宇津木の奴、俺の事?
・・・いや、無いだろ。どんなラブコメだよ」
沸き上がってきた可能性を無いだろと断言し、気持ちと考えを切り替える。
とっとと異能力の確認でもして帰ろう。
俺は商店街を抜け、解体予定の団地へと足を向けた。
今年の抱負は。
「平穏無事」
去年は平穏?初めて聴いた言葉だ。
って感じだったので




