愛美とあいつ~2
さてさて、遂にまともな登場を果たしたヒロイン。
宇津木愛美ちゃん。
簡単に説明するなら、自意識高いけどポンコツな可愛い女の子。
自称、学校のアイドル。
因みに。
ミスコン優勝者は生徒会長です。
(女の子)
ガラガラとクラスのドアを開くと、クラスメイト達が一瞬だけ匠夢へ目を向けるが。
興味が無いのか、すぐに元の会話に戻る。
鞄を机の横に掛け、ぼんやりと空を見上げる。
俺の席は窓側の後ろから2番目。
お気に入りの席だ。
先生からも目立たない。
クラスメイトからも目立たない。
安定の席。
だが、この日は違った。
「おはよ、小川くん」
同じクラスの宇津木が、話し掛けてきた。
※※※
小川が登校してきた。
いつも通り?あいつは自分の席に着くと空を見上げている。
あいつって、いつもあんな感じだっけ?
何か、何時もと違う・・・様な?
まあ良いや、みてろ・・・愛美ちゃんの魅力に驚くが良い!
私は小川の席に行くと、クラスが驚く。
「宇津木さんが小川に?え?何で?」
「あれ?あの二人何かある?」
「でも、初めてじゃね?あの二人の接点ってあったっけ?」
既にクラスはざわめき立っている。
それもそうだ。
私はクラスの、いえ!
学校のアイドル(自称)なんだから!
「おはよ、小川くん」
「・・・」
聞こえなかったのかな?
「おはよ!小川くん」
「・・・ん?あぁ、おはよ」
こんの・・・なんて素っ気ない態度だ!
・・・良いわ、私の話術を思い知るが良い!
「昨日はごめんね?ぶつかっちゃって」
「ん?あぁ、その事か、こっちこそ悪かったな。今さらだけど。
怪我とかしてないか?」
へぇ、思ってたよりも優しいのね。
こいつ。
「全然大丈夫だよ。昨日は急いでたの?」
「あぁ、スーパーの安売りだったんだ」
私はスーパーの安売りより下だったのか・・・こいつ。手強い。
「それよりも、余鈴。鳴るぞ?」
小川の声と同時に、余鈴が鳴り。
先生が入ってくる。
強制的に会話を切られ、仕方なく自分の席に着くが。
私は少ししか会話が出来なかった事に苛立った。
もぉ少しで小川を落とせた(と、思う)のに・・・
まあ、良いわ。機会はある!
久し振りに歯応えのある奴にめぐりあい。
人知れず変な情熱を燃やす。
だが、この時は。
まさか、あんな事になるなんて。
私はまだ知らない。
年末なのに・・・風邪引いた・・・




