人形~5
さあ!人形破壊計画の開始!
「こっちだ!きやがれバケモン!」
住宅街から俺の声が木霊する。
その声に反応してか、目算300メートル先の人形がグルリと首を回し、此方に気付いた。
「こっちだ!ついてこい!」
直ぐ様身体を反転させ、猛ダッシュを決める。
人形は・・・・・・きた!
人形の走るスピードは速い。
だが、驚く程に速い訳じゃない。
平均男性が走るより少し速い位だ。
これなら大丈夫と、自分に言い聞かせ。
俺は足を動かす。
すると、大きなマンションが見えてきた。
少し前に隠れていたマンションだ。
「ハァハァ・・・こっちだ!」
息切れしつつも、人形の誘導を忘れない。
人形が俺を見失ったり、近付かれ過ぎても駄目だ。
距離を保て!
人形が俺に続いてマンションへ入ってくる。
ここだ!
人形がマンションの階段に足を踏み入れた瞬間。
人形は盛大にスッ転んだ。
転んだ先に待ち受けるはコンクリートだ。
当然。
ベキリッ!
花瓶を落としただけで欠けるんだ。
スピードに乗った状態でスッ転ろべば破損するだろう。
案の定。
人形の頭の一部分と肩をぶつけ、盛大に欠けた。
よし!第一トラップ成功だ!
トラップと言っても、ただ階段の二段目まで油を撒いてあっただけだ。
俺も試したが、ゆっくり乗った俺でさえ転びそうになった程に良く滑る。
人形は直ぐに状態を正し、階段を駆け上がってくる。
だが、まだ油が足に付着しているせいか。
そのスピードは御粗末だ。
現に2階通路を走りながら何度も転びそうになっている。
「こっちだ!こっちだ!スットロいぞ!」
ここで更に煽る。
効果はあるのか判らないが、無いより良いだろう。
人形は構わず走る。
だが、マンションの反対側にたどり着いた途端。
人形の胴体に突き刺さる数多の包丁。
いきなりの事にたたらを踏む人形を尻目に、俺は三階に上がる階段上から油を人形に浴びせる。
第二トラップ。
成功!
人形は包丁を固定していたタンスや冷蔵庫を乱暴に退かし、俺を追って三階に上がってくる。
ここまで失敗は無い・・・三階で仕留める!
すまない。
続いてしまった




