中学の思い出 (2)
私は焦っていました。十四年間生きて来て、彼女ができたこともなければ、告白さえしたことがありません。ラブレターも書いたことないし、携帯なんて想像すらしない時代です。
修学旅行でデートができなかったら惨めだ。
それだけは避けたい
と思っていました。
そのために、剣道部を利用することを考えつきました。
私は剣道部を支配していました。ただの平部員でしたけれども。
そのことで、それから四十年近く経った同窓会で、同じく剣道部だったM君から、
「お前は悪い奴だ。部長だったOがかわいそうだった」
と、非難されてしまいました。中学の時は一度も言われたことがなかったのに。
それを四十年近く経ってから言うとは!
あの時は、よほど、
言いたくても言えない
状況だったんでしょうね。
私のいた中学は、公立中学でしたけれども、
国立大学の附属中学と校舎が並んでいる
という特殊な環境でした。当然、附属小学校も隣にありますし、附属幼稚園もすぐ近くにあります。
そうなっちゃうと、まず、大人が、
あそこの中学、不良でも仕方がないよね、
と、なっちゃうんですよね。学校の先生も、
隣に附属があるから、
って言うんですよ。
実際、
附属を落ちた人だらけ
でしたね。
附属を受けたことがないのは、私のように、親が共産党員とか、教育熱心でない家の子達ですね。あとは転校生。
中学を卒業して、四十年ぶりに同窓会に出たら、皆やたら
うるさい
んですよ。明るく、大騒ぎしているんですよね。
あれ?こんな奴らだったけ?
と、思っていたら、皆言うんですよ。
中学が恐すぎた
って。教室にいる不良連中が恐すぎたって。皆目立たないように大人しくしていたって。
言いたいことも言わずに、我慢していたのでしょうね。
ちなみに、同窓会的には、私は、真面目良い子ちゃんの、いい学校行ったグループに所属していることになっております。私が最高学歴なので、当然なのですが、
私のことを知らない人に、学歴で判断されても、
仕方がない
と思えるのですが、
私のことを知っている人に、そうされると、
違和感
を感じます。中学の時に、最もキレていた私を良い子ちゃんなんて。
中学の時に、テストが返されると、私がやって来て、点数聞かれて、
私より、
良い点だと、ぶん殴られ、
悪い点だと、また、ぶん殴られる。(注、そんなこと、しておりません)
と言ってるのに、真面目グループ扱いで、
中学の時に、スカートをめくられた、胸を触られた。
と言ってるのに、良い子ちゃんグループに入れてくれるのです。
彼等または彼女等の知っている私はロクデモナイ人間のハズなのに、学歴で判断されてしまうのです。
人間は学歴で差別される
って、本当なんだな、しかも、身近な人から
と、思いました。
ただの平部員の私が、剣道部を支配できたのは、
もともと支配していたから
なのです。中二の夏休みに、三年生が部活を引退する時に、部長を決めるのですが、
その半年前、中一の終わり頃には、もう支配していました。
きっかけは、私が暴れたからです。暴れたと言っても、大したことないんですが。