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宣告

ごめんなさい本当は、昨日のうちに更新しておきたかったのですが…書き終えることができずこの時間になってしまいました。

今日は夜の11時ごろにきちんと更新します。

楽しい時間や苦しい時間はいつかは終わる。


「優太ーそろそろ帰るわよー」


母親の声だった。

こんな時の子供の言うことは一つだ。

それは駄々をこねること。


「嫌だ!!

帰りたくない!!!」


するとそれを予期していたかのように父親がよって言った。


「優太はもうすぐお兄ちゃんになるのに、そんな我儘を言ってて恥ずかしくない?」


「僕恥ずかしくはない!」


「ならここに置いて行っちゃうぞ」


「お母さん帰ろうか」


「そうね聞き分けのない子はここに置いて行っちゃいましょう」


普段ならこれで優太は追いかけてくるはずだった。

しかし優太は追いかけては来なかった。


心配になった父親が後ろを見ると優太の姿はなかった。


父親な慌てて探しに行った。

母親にも一言言った。


「優太が見当たらない。

遊園地のスタッフに伝えてくれ」


「え?

冗談でしょ?」


「これが冗談を言ってる顔か?」


そう言った父親の顔は真っ青で今にも倒れそうだった。


そして探した。

探して、探して、探した。


しかし、それだけ必死に探しても優太は見つからなかった。


途中からは遊園地のスタッフも加わって探した。

既に閉園時間を過ぎているということもあり、園内は閑散としていた。


そんな時スタッフの部屋で待機していた、母親にスタッフが言った。


「前川さん。

今から言うことをよく聞いてください」


母親は辛そうな表情でメモとペンを取り出して頷いた。


「前川さん優太くんですが見つかりません。

正直もう2時間は探しています。

この遊園地で閉園後にそこまでの時間見つからないとなると、我々としては事件性の可能性があると考えています。

そこで警察にも届出を出そうと思うのですがよろしいでしょうか?」


「…事件性ですか。

あの子さえ無事なら…」


そう言った母親も今にも倒れそうだった。


「前川さんお辛いところ申し訳ないのですが警察に届出を出す都合で優太君の身分証明書例えば保険証などはお持ちでしょうか?」


「は、はい一応保険証があります」


「わかりました。

それなら警察が来るまでここでお待ちください。

それからもう一度だけ聞かせていただきますか?

優太君がいなくなった状況を」


「優太と最後に観覧車に乗った後に帰ろうとしたんですが、優太は駄々をこねて帰ろうとしませんでした。

そこで置いて行くと言って歩いたんです。

いつもなら数秒でついて来るのですが…

う、うっ」


母親は涙目になっていた。


「無理に話そうとなさらなくても結構ですよ」


母親はそこでも気丈に答えた。


「いえ、あの子が寂しい思いをしているかもしれないのに親である私が泣いているわけにはいけません」


そう言うと続きを話し始めた。


「私達は1分くらい歩いていたんですがいつまでたっても優太の足音と声は聞こえてきませんでした。

いつもなら来るはずなのにと思って後ろを振り返ると誰もいませんでした。


そこからは私も気が動転してよく覚えていません。

覚えているのはあなた方に伝えようとしたということくらいです」


「ありがとうございます。

ちなみに場所の確認もさせてください」


「場所はドリームキャッスルのあたりだったと思います」


母親は涙目であってもしっかりと一言一言自分にも言い聞かせるように言った。


母親は1時間ほど待った。

待つと警察がやってきた言った。


「前川さんですね?

私、警察署からきました石橋と申します。

早速ですが詳しいことをお聞かせ願いますか?


その子の特徴とかをお願いします。

事の経緯に関してはまた気がついたことがあったらお伝えください」


そう言った石橋は部下と共に椅子に座った。


母親はそれを見ると話した。


「優太は青色の半ズボンを履いていて黒のTシャツを着ていました。

帽子もかぶっていません。

髪型は短いです。

靴は青色の運動靴。

マジックテープのものです。

あとは、眼鏡はかけていません。

だいたいそれくらいだと思います」


石橋はメモを取り終えると母親をじっと見て言った。


「優太君は事件性の事に巻き込まれた可能性が極めて高い。


前川さん実はねこの裏野ランド周辺で最近誘拐事件が多発しているのですよ。


もしかしたら犯人は一瞬を狙って犯行に及んだのかもしれません」


母親は驚いた。

裏野ランド周辺で最近誘拐事件が多発していることなどニュースを見ていても耳にしなかったからだ。


「あの…石橋さん」


「ハイなんでしょう?」


穏やかな声で石橋は答えた。


「ニュースを見ていても誘拐のニュースなんて聞きませんでしたけど…」


石橋は大きく息を吐いて話し始めた。


「実はねその誘拐された子供達の親に報道されない原因があるのですよ」


「どういうことなのでしょうか?」


「つまり、その子たちの親は一般的な大人なら誰でも知っているような方達なのですよ。

みなさん資産家でもあるし、肩書きもある。

だからこそ事件を公にしないようにマスコミに圧力をかけているんです。

本当はそんなことあってはならないんですがね。


いや、もしくはマスコミが怖いのかもしれません。


私も見ましたが驚きました。

日本を代表する起業家の方や政治家さらには芸能人の方もいらっしゃいましたから。


あのレベルの方が並んでいては普通の人なら絶対に凍りつきます」


「それは私の夫も含まれるかもしれません…」



「えっ?

どういうことですか!?」


「私の夫の前川浩一は前川グループの総裁なんです」


突然の告白に石橋は驚きを隠せなかった。


「前川グループってあの前川グループですか!?」


「はい、あの前川グループです」


石橋が驚くのも無理はなかった。

優太の父親の経営する前川グループは日本でもトップ5に入る巨大な企業。


グループと名乗っているが実質的には財閥みたいな企業だった。


優太の父親の祖父つまり優太の曽祖父が創設した企業で優太の父親の浩一は5代目の総裁にあたる。


そんなとてつもない名家の家の子供が誘拐された可能性があるのである。

驚いてもおかしくはない。

まして、連続的に著名人の子供が誘拐している中での時間だあったのも理由の一つにあった。


石橋が驚いていると、浩一が戻ってきた。

その顔は絶望そのものだった。


「見つからなかった」


「前川さん少しお話をよろしいですか?」


「あなたは?」


「失礼、私は警察の石橋と申します」


絶望の顔のまま浩一は名刺を渡しながら言った。


「前川浩一です。

これが私の連絡先です。

これから何かあったらここに電話してください」


「失礼ですが、秘書は通していませんよね?」


「秘書も通さない番号もあります。

二つ目にある番号がそうです。

携帯は三つ目です。


そういえばなんで石橋さんは私に秘書がいると分かったんですか?」


「奥さんに教えていただきましたし先程いただいた名刺も記載されていましたから」


「そうか…そんなことも分からなくなっているなんて私も疲れているのかな…」


そう言った浩一は絶望と共に憔悴した表情もしていた。


「私どもも全力で捜査しますのでよろしくお願いします」


「優太のことよろしくお願いします」



次の話では血が少し出てきます。


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