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最近感想を頂きました。
有難い事です。
スピアとのデートは最後まで楽しく過ごせた。最終的には何時もの主従になってしまったのが少し残念だが、またデートすれば良いだけの事さ。そして、今日はローラとデートする事になっているのだ。
俺は昨日とは別の格好で大通りの噴水がある場所に来ていた。先に待ってて欲しいと言われたからだ。
「何だろう。少しドキドキして来たぞ?ローラはどんな服装で来るのかな?」
ローラは美少女だ。可愛いのに美人にも見えるアンバランスな美少女だから、何着ても似合うだろうな。そんな事を考えていると声を掛けられた。
「貴様、こんな所で何をしている?」
「げっ!お、お前は……あれ?名前何だっけ?と言うか、名乗った事無くない?」
其処にはローラ大好き青年が居た。だが、名前を知らない事に今気付いた。過去の記憶を遡っても名前を聞いた事が無い。
「き、貴様…まあ、確かに名乗っては無いな。この際だ名乗らせて貰おう。俺の名前は「シュウー!お待たせー!」っ!きょ、教官!」
「おお!その服は確かあの時に買ったヤツか?」
「ええ、そうよ。折角だしシュウと二人っきりの時ぐらいは着たいもの」
以前ローラと一緒にアンダーグラウンドから脱出した後に買った服だ。結構高かったのを覚えている。
色は白と紺がベースでなっている。上半身は白の長袖の薄着だが、所々刺繍がされており手が込んでいる。スカートは紺色でお腹まで上げるタイプの物だ。大きめの緑の魔石がボタン代わりになっている。更にフリルも付いておりシンプルだが、可愛いらしく見える。因みに白のニーソックスも履いてるし、それに合うブーツも履いている。
「しっかし、凄く似合ってるよ。やっぱりローラは何着ても似合うよな」
ローラ自身もアンバランスな魅力が有るから大抵の服は似合ってしまう。ある意味羨ましい限りだ。
「もう、そんなに褒めても何も出ないわよ///。まあ、手は…繋いで上げるわ///」
ちょっと頬を染めて手を出してくれるローラ。早速手が出てきたので、その手を握る。
「じゃあ、行こっか」
「うん。早速案内するわね。先ずはお店を見て行きましょう!」
「おいおい、そんなに引っ張らなくてもお店は逃げないよ」
俺達はキャッキャウフフな感じにデートに向かったのだった。
小話
「きょ、教官〜……ガク」
ローラ大好き青年は両手両膝を地面に付けながら静かに涙を流したのだった。何故ならローラの幸せそうな表情を見て諦めたからだ。
そして、最後まで名前が分からず仕舞いになってしまったのであった。
……
「ねえ!あの服凄く可愛いわ!」
「ほお、確かにな。ローラなら直ぐに着こなすだろうけどな」
「もう、そんな煽てたって駄目よ」
とローラは言うが、腕を組んでるので胸が当たる当たる。
「そろそろ演劇に行きましょう。今回は【勇者誕生秘話。実は修羅場の果てに生まれました】よ」
「……ごめん、もう一回言ってくんない?」
何か、昼ドラみたいな題名だった気がするんすけど。
「だから【勇気誕生秘話。実は修羅場の果てに生まれました】よ。結構人気なのよ?」
「そうか、なら観てみるか。それから評価すれば良いしな」
何も観ないで決め付けるのは良く無いしな。俺達はソコソコの大きさの劇場に入っていったのだった。
……
「いやー、中々の修羅場だったな。まさか本命は黒騎士だったとはね」
「そうなのよ!でも、それを乗り越えて結ばれた勇者と賢者は良かったわ〜」
「個人的には魔法使いも有りだったな。この際ハーレムでも大丈夫だったんじゃ無いかな?」
「それじゃあ修羅場にならないじゃ無い。それに、一途にお互いを想い合うなんて素敵……」
ローラはうっとりとした表情になる。しかし、ローラの言葉を聞いて内心ちょっと申し訳なく思ったのは秘密だ。だって今の関係はハーレムだもん。
「あ、でも今の関係に不満とかは無いからね?それはそれ、これはこれみたいな感じ?」
ローラは小首をコテンと少し傾けながら言う。如何やら気を遣わせてしまったみたいだ。
「さてと。それじゃあ昼食を食べに行きましょう。お勧めの場所があるんだから」
「それは楽しみだな」
俺達は腕を組みながらお勧めの店に行く。やはりと言うか、男女共にローラに見惚れている。そして、俺を見て再度ローラを見直す。失礼な連中め!
「さあ、着いたわ!此処がお勧めのお店よ!名付けて【ゲテモノ好き大歓迎店】よ!」
「………は?」
其処には彩り豊かなよく分からないお店があった。人は殆ど居らず開業閉店状態だった。
「この前食べに来た時すっごく美味しかったんだから!きっとシュウも気に入るわ!然も、私この店のオーナーさんと店長さんと仲が良くなったもの。色々サービスして貰える筈よ」
ローラはキラキラした笑顔で俺にお店の良さを説明する。しかし、俺は別の事を考えていた。
(ヘルスチャージは胃にも効くかな?)
そして店内に入ると……店長らしき人物が物陰から此方を見ていた。然も包丁持って舌舐めずりしてるし。ちょっとしたホラーだよ。
「こんにちわ!今日も来ちゃいました。今日は彼氏も一緒に来たので、店長お勧めをお願いします!」
「お、お勧め頼むの?いや、無理に頼む事無いよ。ほら、この初心者メニューが有るじゃ……結構ハードル高いなコレ」
其処にはゴブリンの***焼きとかオークの***刺身とか書いてある。てか、生でも食べれるんでしょうか?
「ヒヒヒ。こんにちわローラちゃん。今日は彼氏君も一緒なんだねぇ。なら、今日は特別に入荷した奴を使おうかねぇ」
「い、いやいや。普通で良いですよ?無理しなくて大丈夫ですよ!ねえ本当にさ!」
「何言ってるのよ。折角のご好意を無下にしないの!じゃあ、それでお願いします!」
「ヒヒヒ、畏まりました。オーナー、例のヤツ使います!」
「ホホォ。また命知らずが来たのだな。存分に歓迎してやれ」
厨房から更に怪しい奴が顔を出す。ねえ、本当に此処は料理出すお店だよね?だよね!?
「楽しみだなぁ。早く来ないかしらね」
「そうだなぁ。早くこの時間が過ぎれば良いのにな」
もう一度確認しておこう。ヘルスチャージは胃にも効きますか?
この後よく分からない料理が出て来た。匂いも無臭な物や強烈な物まで様々な物ばかりだ。然も見た目はインパクト抜群だ。もう、見てるだけでお腹一杯だよ…。
「さあ、頂きましょう。どれから食べようかな〜♪」
ローラは笑顔で料理を確認している。そう言えばスピアにローラの料理について聞いた時、結構独特な意見だったよな。その理由が今になって分かるとはな。
「俺も男だ。此処で引き下がってたまるかよ!シュウ・コートニー!吶喊します!」
俺はナイフとフォークを持ち戦場(料理?)に立ち向かうのだった。
尚、結論から言うと全部完食しました。但し、俺の身体に多大な障害を出しながらだけどな。
……
ゲテモノ料理との激闘を何とかクリアした俺は、現在教会近くの喫茶店で休んでいた。宗教国家なだけあって、教会は結構身近にある存在だ。
「ねえ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。少し食べ過ぎたからな。ちょっと休憩すれば平気さ」
大丈夫さ。ちょっと手足の感覚が無くなってるのと舌が痺れてるぐらいだもん。ローラとのデートを中断するレベルじゃ無いさ。
「そう?でも、美味しかったわね。またこの国に来たら行きたい場所ね」
「ウン、ソウダネ」
もう二度とこの国には来れ無くなったよ。まあ、料理自体の味付けは途中で分からなくなったからな。料理の影響か、それとも自己防衛本能なのかは不明だ。後はローラに食事を作らせるのは厳禁なのも分かった。
この後は再び街を見て歩く。お互い色々な事を話して行きながらデートをして行く。そして楽しい時間はあっという間に過ぎて行く。気が付けば陽は傾き夕方になっていた。
「んー!楽しかったわ。やっぱり好きな人とデートするのは良いわね」
エルフだからだろうか分からないが表現がストレートに来る。正面から好きな人と言われて少し気恥ずかしい。
「えっと、俺もローラと一緒にデート出来て良かったよ」
少し言葉が足りない気がする。だけどローラは笑顔になってくれる。
「私ね、シュウの事が好きよ。だからずっと貴方と一緒に居るわ。例え周りが貴方を見捨てる事になっても、私は貴方の味方よ」
「ローラ……」
風が強く吹く。夕陽に照らされて長い金髪が風に煽られて煌めく。その髪を少し手で押さえる。その姿はとても綺麗で思わず見惚れてしまう。
「シュウ……大好きよ。誰よりも貴方が」
ローラは俺に近付き顔に両手を添える。そして、ゆっくりと顔を寄せて……キスをする。
「ん……はぁ」
「ローラ……」
暫く俺達は見つめ合いながら暫くその場に居たのだった。
小話
シュウ達がイチャラブしていた時、周りには数人が目撃していた。
「チッ。彼奴等場所を弁えずにキスなんてしやがって。これだから人間以外の種族は礼儀が無いんだ」
「全くだ。この様な公共の場で堂々とキスをするなんて」
「然もお互い抱き合ってるし。実にけしからん連中だ」
そんな外野の存在を無視しながら再度顔を寄せていく。
「シュウ……ん///」
「ローラ……っ///」
再びキスをする二人。そんな熱々な二人を見て外野は更に騒がしくなる。
「クソ、彼奴等イチャイチャしやがって。羨まし……けしからん!」
「畜生!あんな普通な奴がどうしてエルフの美少女と!」
「人間が一番人間が一番人間が一番人間が一番」ブツブツ
二人の甘〜い関係に血涙を流す男性陣が多数発生する事になった。
……
気が付けば陽は沈んでいた。どうやら陽が沈むまでローラと抱き合っていた様だ。ふと周りを見ると壁や床を殴る蹴るをする連中が多数いた。治安は良い方だと聞いていたが、居る所には居るもんだな。
「そろそろ戻ろっか」
「そうね。本当はもう少し二人っきりで居たいけど、スピアに悪いもんね」
そう言いながらも俺の腕にくっ付いてくるローラ。こういう所が可愛いんだよな。
俺達はゆっくりと歩きながら宿に戻ったのだった。帰るまでデートなのだから。
甘〜い話を考えると背中がむず痒くなる。




