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暫く山頂の方で待機していると、カレンとその仲間と思われる人物達が此方に来るのが見えた。


「如何やら仲間達と会えたみたいだな。なら安心だな」


カレンの無事を確認したので山を降りる。そのまま最初の街に向かい、ビックRADスパイダーを換金して貰うつもりだ。この大きさに硬い装甲。更に中々の大きさの魔石付きだ。間違い無く大金は貰えるだろう。お金は有るに越した事は無いからな。それにスピア達にも、もう少し豪勢な生活をさせて上げれるだろう。


「明日はまた警察署付近に行く訳だから、鋭気を養う必要が有るだろう。なら今晩はベックとザニーを連れて飲みに行くか!」


そうと決まれば早速ベックとザニーを探すのだった。どうせ宿でグータラしてるだろうから遠慮は要らないさ。

足早に二人を連れに行く為に宿に向かったのだった。


side カレン


「ボス、もう止めよう。もう潮時」


「馬鹿言うな。此処まで来て手ぶらで帰ったら、死んだ連中に申し訳無いだろう」


そう言うボスの表情は暗い。


「ボスの言う通りだカレン。死んだ連中の為にも、あの野郎をぶっ殺さなきゃ気が済まねえ!」


「そうだよな。あの野郎が彼処に行かなければ仲間達は…」

「もしかしたら、彼奴は俺達を囮にしたんじゃねえか?」

「あり得るな。現に奴は無傷だしな」


口々にシュウの悪口を言う。でも、シュウを利用して殺そうとしたのは私達なんだよ?


「待って。シュウは悪く無い。悪いのは私達」


私が事実を言うとボス以外の全員が私を睨む。


「な、何よ。本当の事でしょう?」


「カレン、お前は奴の味方なのか?」


その言葉に全員が殺気を放つ。


「つまり、お前は奴とグルだった訳だな。そう考えると色々納得だわな」


「待って。グルって何?私は裏切って無い」


「誰も裏切り何て言ってないぜ?それに大方、あの野郎に救われて情でも移ったんだろ。だが、仲間を裏切るのは許せねえ」


その言葉で全員が構える。私が裏切り?あり得ない。裏切ったら今迄の事をバラされるに決まってる。だから裏切れ無いし、抜け出せない。


「だが、まあ……お前はそこそこ見栄えは良いからな。俺達に誠意ある奉仕をすれば考えない事も無いぜ?」


男達から下衆の視線を受ける。前から視線は有ったが、此処まで露骨に来るといっそ清々しい物がある。だが、私も唯でヤられるのは御免。一人でも道連れにする。

私が抵抗するのを察して武器を抜く。そして……


「お前ら、何勝手にやってる?」


ボスの静かな口調。だが、私達全員の動きを止める。


「し、しかしボス!カレンは裏切り者です!間違い無い!」


「私は裏切って無い。勝手に勘違いしてる唯の変態野郎」


「何だと!」


「事実を言っただけ」


「良いから黙れ」


私達は今度こそ静かになる。


「カレン。次の襲撃の時はお前を外す。これは決定事項だ。全員、準備をしておけ!」


部下達に指示を出していくボス。そして暫くすると二人っきりになる。


「さて、カレン。お前には色々教えた。暗殺や盗み、人の殺し方。もっとマシな事を教えてやりたかったが、生憎これしか知らないんでな」


「気にして無い。お陰で此処まで生きて来れた。だからボスには感謝しか無い」


「カレン……ふっそうか。奴が動いたら俺達も動く。だが、奴が探索を止める様ならそのまま見逃す。リスクは避けるべきだからな」


「ボスは……まだ続けるの?もう、ある程度は貯えが有るでしょう?」


ボスは此方に背を向ける。表情は伺えない。それに、とても隙だらけな背中。


「カレン、あの森の中に大きな岩と小さい岩が有る。その岩の間を掘れば見つかる。俺達が戻らなかったら逃げるんだ」


「ボス、死ぬの?」


ボスはゆっくりと此方に振り返り、私の頭に右手を乗せて撫でる。


「俺が死ぬと思うか?俺は見た目通り強いぜ」


「……うん」


ボスは私から手を退けて離れていく。きっとボスは戻る事は無い。今まで色々な人達を見てきた。そして、中には覚悟を決めて死んで行く者も居る。ボスの目は、覚悟を決めた者と同じ目をしていたからだ。


side out


次の日、俺は警察署付近に近付く準備をしていた。


「おはよう!シュウ君!良い探索日和だな!」


「さあ!張り切って行こぜ!俺達のお宝が待ってるぜ!」


「……どうしてこうなった?」


張り切るベックとザニーを見て昨日の夜の事を思い出す。

昨日は二人を無理矢理飲みに誘い飲んだくれていた。その途中でビックRADスパイダーを討伐した事と充電装置を見つけた事を話したんだ。


「なら、お前は古代兵器のパワードスーツを何時でも動かせるのかよ?」


「まあな。やっぱり、パワードスーツは凄いぜ?重装備のパワードスーツだから硬いの何の」


実際ビックRADスパイダーの攻撃にも耐えれたしな。


「なら明日もう一度廃墟街に探索に行かないか?その凄いパワードスーツも見たいんだよな〜」チラ


「俺も見たいな〜。シュウの格好良くパワードスーツを装備して戦う姿がな〜」チラ


「お?見たいか〜?見たいのか〜?」


何となく二人が目を合わせた気がするが気の所為だろう。

この後二人に乗せられまくって一緒に探索すると約束したんだっけ?



「じゃあ結局俺の所為じゃん」


「おーい。早く行こうぜ?と言うか、何時パワードスーツを装備するんだ?」


「勿体ぶらずに早くパワードスーツ装備しろよ。俺達も見て見たいんだよ」


「分かったよ。ちょっと待っててくれ」


二人に急かされて、急いで物陰に行く。そしてウォールを出して乗り込む。


《メインシステム起動。システムチェック開始。油圧、駆動系、伝達回路、オールグリーン。バッテリー残量は100%、継戦時間は6時間です》


「オッケー。じゃあ行くぜ。今回はRADスパイダーより楽な連中だからM240G機関銃で行くぞ」


《了解。御武運を》


相変わらずの反応だが悪く無い。寧ろちょっと愛嬌がある気がするしな。


「お待たせ。早速行こうか」


「おお……スッゲーな!本当にパワードスーツかよ!然もめちゃくちゃ状態が良いじゃねえか!」


「此れだけでも貴族やマニアは欲しがりそうだな。と言うかパワードスーツなんて基本軍の一部ぐらいしか、まともに動かせるの何て無いぜ?」


ウォールの周りをグルグル回るベックと、冷静にパワードスーツを見るザニー。まあ、パワードスーツは中々格好良いからな。しっかり見たい気持ちはよく分かる。


「さて、充分鑑賞しただろ?そろそろ行こうぜ?」


「おうよ!しかし、パワードスーツが側に居るだけでも安心感が違うな」


「確かに。これなら探索に集中出来そうだ」


「おいおい、パワードスーツとて万能じゃ無いぜ?しっかり周りも警戒してくれよ?」


俺の言葉に適当に返事しながら、二人は浮かれた気分で探索に行くのだった。


「やれやれ。取り敢えず雑魚の相手は俺に任せれば余裕さ」


俺も二人を追う為に少し駆け足になるのだった。


……


現れる敵はグールと寄生者だ。だが、余裕の火力だ。弾幕が違いますよ。


「うひゃー。パワードスーツも凄いが、その古代兵器も凄いな」


「流石、古代兵器使いなだけは有るな」


「あー、やっぱりその名前知ってるんだ」


「つい最近な。それに、それだけ古代兵器を扱ってれば直ぐに分かるさ。そもそも、扱ってる奴は少ないしな」


話をしながら段々廃墟街の奥に入って行く。この辺りでも結構放射能は強い。


「二人共ガスマスク使うか?呼吸がし難いだろ」


「お、悪いな。助かるぜ」


「ありがとう。恩にきるぜ」


二人はガスマスクを被る。そしてこの辺りで探索を始める様だ。俺もクリスタルを全部出しておく。後は自然と待ってれば完了だ。


「その宝石は何だ?」


「此奴はお宝にはならないよ。パワードスーツの充電に必要なエネルギーを吸収してるのさ。それに、近くに寄るだけで毒の空気と同じ状況になるからな」


「うへぇ。パワードスーツの維持も大変だな」


俺達は近くの民家を探索する。相変わらずボロボロだが仕方無いだろう。


「あんまり離れるなよ。流石に見えない所で襲われたら助けられんぞ」


「おっと、そうだったな。気をつけるぜ」


「俺もすっかり油断してたわ」


二人に注意しながら俺も探索する。二階に上がる階段がウォールの重量で今にも崩れそうだが、何とか耐えてくれた。そのまま二階の部屋を開ける。すると真っ暗な部屋だった。


「あれ?ライトは点いてるよな」


真っ暗……と言うよりライトの反射してる。顔を動かすとやっぱり反射する。


カサ……カサカサカサカサ……


「な、何の音だ?嫌な予感しかしないんですけど」


よーく暗い部屋をみる。光を反射してる所を見ると……奴がいた。

そいつは、黒い悪魔と言われている。台所によく現れて、料理や掃除中にひょっこり現れる。そして、その逃げ足は速く一匹見たら他にも大量に居ると言われている。


「あ……あああ……」


大きさは俺が知ってるサイズの十倍以上だ。それが部屋一面にへばり付いている。まさに悪夢の光景だ。ちょっとチビりそう。


カサカサカサカサガザガザガザガザガザガザ


バタン!ドオォン!!!


奴等が動き出した瞬間、俺はドアを直ぐに閉めた。だが、閉めた瞬間凄い衝撃が来た。だが俺はウォールを装備していた為耐えれたのだ。もし生身の身体で居たらドアを支え切れず、黒い津波に飲み込まれて居ただろう。


「どうした?凄い振動が来たが?」


「取り敢えず、大丈夫。だが、部屋を探索する時はマジで気を付けろよ!」


今だにドアから退くのが怖い。退いた瞬間、ドアをぶち破り黒い津波に飲み込まるのはゴメンだぜ。

この後二人が呼びに来るでずっとドアから離れる事が出来ませんでした。


小話


「おいおい、この部屋の中に何が有ったんだ?」


「何も無いよ。兎に角別の所に探索に行こうぜ?」


ベックの質問に答えず離れる様に提案する。ベックは不思議そうな顔をするが背を向ける。ホッとしてドアから離れる。だが、その後直ぐドアを開ける音が聞こえた。


ガチャ


ザニーがドアを開けたのだ。


「あ、馬鹿野郎!逃げろ!」


「何も無いぞ?」


「え?嘘……」


ザニーを押し退けて部屋に入る。確かに何も無い。小汚い部屋だ。


「気の所為……だったのか?」


「ほら、早く次の場所の探索に行こうぜ」


俺は首を傾げながら部屋を後にしたのだった。








カサ……カサカサガザガザガザ


奴のIQは300以上である。

奴とは一体何モノなんだ!←

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