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格納庫に着くと既にRADスパイダーが大量に居た。他の冒険者達の姿も無く、誰も探索してる様子は無い。PDAの中を再度チェックする。そしてパトカーが有るのでそれを使う事にした。幸いにも格納庫から滑走路まで直ぐだ。
パワードスーツを一回解除する。そして警察用防具服、ヘルメット、ガスマスクを装備。パトカーに乗り込みエンジンを掛けて……サイレンの音も最大音量で出す。
ファンファンファン!!!
サイレンの音にRADスパイダーは引きよそられ始める。それと同時に滑走路に走り出す。
「さあ、付いて来いよ!」
パトカーを一気に加速させながらスライドさせたりする。RADスパイダーはどんどん此方に引き寄せられるが、追いつける様子は無い。
「おや?君は群れから逸れたのかな!なら君に決めたぜ!」
逸れRADスパイダーにはもれなくパトカーの体当たりを進呈してやる。体当たりされたRADスパイダーは糸を吐き出しながら綺麗に飛んで行き、地面に紫色の花を咲かせる。
「よっしゃあ!20ポイントだぜ!」
そのまま更にRADスパイダーを引き寄せながら滑走路を走り回る。しかし、そんな俺の様子を見ていた連中が動き出すのだった。
side カレン
「よし、今がチャンスだ。全員探索開始!」
シュウの後を付けて行くとRADスパイダーを大量に引き連れていた。その隙にボスの号令に倉庫の中に進入する。中は蜘蛛の巣だらけだけど敵の姿は見当たらない。
「お!見ろよ!古代兵器が有るぜ!然も弾薬も有る!」
「けど随分と重いな。それに弾薬もデカイ」
「こっちには盾もあるぞ!けど、重くて…持てない」
「おいおい、何だよこの古代兵器は!凄くロマンが有りそうじゃねえかよ!」
其処には大きめな古代兵器が幾つか有った。見た事が無い古代兵器も有り良く分からない。だが、一つ問題が有った。
「畜生、こんだけ重いと持ってくだけで一苦労だぜ」
「身体強化が使える者は優先して持って行くんだ!」
ボスの指示で身体強化を使い古代兵器を運んで行く。
「よし。ラッツは其方を持て…ん?ラッツ?」
バリ ゴリゴリ グチャグチャ
何かを咀嚼してる音が上から聞こえる。私達は上を見上げると……天井一面を覆い隠す大きさの何かが居た。
ドジイイイイイン!!!
「カチカチカチ……ギジャアアアアア!!!」
其処には親玉と言える大きさのRADスパイダーが居た。八つの目が赤く光り此方を見る。
「う、うわあああああ!?!?」
一人が悲鳴を上げながら魔導具で攻撃する。だが、攻撃は跳ね返され素早い反撃に合う。
「ぐは!?あ、ああ……た、助けヒギャア!?」
RADスパイダーの足で胴体を差し込まれた仲間はそのまま……捕食された。
「全員逃げろ!急げ急げ!!!」
私達はボスの叫びと同時に逃げ出す。だが、RADスパイダーの糸によって半数以上が逃げれない。
「や、やめてくれ!頼む!助けてウゲア!?」
一人一人捕食されていく。私も逃げたくても糸が絡まって逃げれない。ナイフを使っても粘液がへばり付いて切れない。
ズシンズシンズシンズシン
気が付けば仲間の悲鳴は無かった。代わりにRADスパイダーが私の目の前に来る。
「あ……ああ……」
もう、ダメだ。私も死ぬ。恐怖で股が濡れたけど、どうでも良い。
「キシャアアア……カチカチカチ」
口を開けた瞬間、何かが口から落ちて来た。それは……誰かの腕だった。私は怖くて目を瞑る。そして、敵が近付いて来る気配が……。
ブウウウウウン!ファンファンファン!!!ドシャアアアン!!!
「キシャアアアアアア!?!?」
ガチャ バタン
「呼ばれた気がしたからダイナミックに来ました!てかデッカいな!」
其処には私達が後を付けていたシュウの姿が居たのだった。
side out
side シュウ・コートニー
「先ずは手榴弾でも喰らえ!」
手榴弾三個のピンを抜き投げつける。爆発と同時にウォールを出して再度装着する。
《メインシステム起動》
「システムチェックは省略!」
《了解。システムチェック省略します》
ウォールを起動させながらM63バルカン砲を出す。
「これでも喰らいな!」
ウイイイン ブヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!
12.7㎜弾が次々とビックRADスパイダーに直撃する。だが、殆ど弾かれてるだと!
「ギジャアアアアア!!!」
ビックRADスパイダーは腕を振り上げながら攻撃して来る。咄嗟に避けるがコンクリートの地面を軽々と壊して行く。
「クソ!このままだとジリ貧だ!他に武器は無いのか?」
《前方40m先にパワードスーツ専用武装【L-20パイルバンガー】を確認。左方向80m先に【M7A4バトルライフル】を確認》
コレだ!これしかない!M63バルカン砲を更に撃ち込みながらL-20パイルバンガーを拾いに行く。だが、ビックRADスパイダーは12.7㎜弾を物ともせず襲って来る。
「ギジャアアアアア!!!」
「ぐあ!?」
ビックRADスパイダーは腕を横薙ぎに払う。俺は避け切れず壁際まで吹き飛ばされる。
《腹部被弾。被害軽微。戦闘続行可能》
「パワードスーツ万歳だよ!て、うわあああ!?」
ビックRADスパイダーが此方に飛びかかって来る。あんな巨体でどうやって飛んでんだよ!
その時だった。
「シュウ!コレを受け取って!!!」
あの少女、確かカレンだったな。カレンがL-20パイルバンガーを此方に投げて来る。多分身体強化をして投げてくれたのだろう。俺はM63バルカン砲を放棄してL-20パイルバンガーを受け取る。
L-20パイルバンガー
装弾数6発
弾薬 パイルバンガー専用50口径75ミリ弾
射程10メートル
「ギジャアアアアア!!!ガチガチ!!!」
「おう!掛かって来いや!!!」
再度飛びかかって来る。俺はその場でしっかりと狙いを付ける。射程は10mも無い。だが、威力はお墨付きだ!
ビックRADスパイダーが口を開けて飛びかかって来る。俺はその口に向かって照準を合わせる。そして距離が3mを切った!
「受け取れえええええ!!!」
L-20パイルバンガーのトリガーを引く。
ドオオォォン!!! ガコン!!!
腹の底響く重音が格納庫内に響き渡る。それと同時に空薬莢が飛び出る。ビックRADスパイダーに押し潰され掛けたが問題無い。
「ギ……ギガ……ギギギギキキイイィィ……」
ビックRADスパイダーの口から頭部に掛けてパイルが突き抜ける。流石に中からの攻撃は想定して無いみたいだったな。
ドジイイイイイン!!!
「はあ、はあ、や、やったか?」
ビックRADスパイダーの目から光りが無くなる。どうやら大丈夫な様だ。
《アンノウンからの生体反応消失。6時方向より多数の小型アンノウンを検知》
そう言えば普通サイズのRADスパイダーが居たな。俺は急いで格納庫にある武器を回収する。
《稼働時間が1時間を切りました。直ちにバッテリー交換をして下さい》
「交換してやりたいが充電装置が無いから無理だな。そろそろ脱出するさ」
《前方に充電装置が有りますが宜しいですか?》
「そうそう、充電装置が有るから撤退す……え?マジで?」
其処には無傷の充電装置が設置されて居た。
「良くやったエリス!周りの敵を倒したら直ぐにバッテリー交換するからな!」
《了解。武装はM7A4バトルライフルを推奨します》
俺は急いでM7A4バトルライフルを装備する。
M7A4バトルライフル(複合ライフル)
装弾数50発、3発
弾薬20㎜弾、60㎜徹甲弾、60㎜榴弾
ブルハップ方式
「先ずは60㎜徹甲弾で歓迎してやるよ!」
先頭のRADスパイダーに狙いをつけトリガーを引く。
ドオォン!!!
RADスパイダーはミンチになった。
「あれ?オーバーキルだったな」
次に20㎜弾で撃つ。なんという事でしょう。7.62㎜弾では苦戦したRADスパイダーも軽々と倒せるでは有りませんか!
「あれ?これならM63バルカン砲でも良かったんじゃ……ま、良いか。新しい武器の特性を把握する必要はあるし」
そのまま此方に次々とやって来るRADスパイダーを倒す。RADスパイダーは知性が多少有るのだろう。危険を察知したのか散り散りに逃げて行く。俺は可能な限りRADスパイダーを倒すのだった。
……
「あのまま逃げてくれて助かったぜ。突撃して来たら押し負けてた可能性が有ったし」
弾倉をリロードしながら呟く。そしてパトカーを回収して充電装置に向かう。スイッチを入れると起動してくれた。だが充電する為の電力不足と出てしまう。
「そう言えばアレが使えるかも。ちょっと危険だけど」
俺はかつてアンダーグランドに巣食って居た亀のクリスタルを使う事にした。すると充電可能と表示されたので充電を始める。充電時間は意外と早く済みそうだ。
「さてと、カレンだったな。助かったよ」
「ううん。私の方が助けられた」
「なら、お互い助けられた者同士という事で」
「うん。ありがとう」
それから暫く充電が完了するまで話をする。カレンは特に話すタイプでは無いがポツポツと話してくれる。
「成る程ね。だから徒党を組んで探索してたのか」
「でも、半数以上が彼奴に喰われた」
弱いから徒党を組む。それで報酬は山分けか。今や何も言わないビックRADスパイダーを睨みながら言うカレン。しかし、あのビックRADスパイダーは中々強かったな。12.7㎜弾を弾いてたし。然もRADスパイダーも7.62㎜弾を弾く装甲が有るからな。並の冒険者は太刀打ち出来ないだろう。
暫く話してると充電完了のメッセージが聞こえる。一度パワードスーツから降りてバッテリーを交換する。そして再度パワードスーツを装着する。
《バッテリー残量100%です》
「やったぜ。いやー、長かった」
序でにクリスタルを見ると、放射能の放出が大分弱くなっていた。新しいクリスタルを出して再度充電する。
「俺は暫く此処にいるけどカレンは如何する?」
「私は仲間を探す。シュウ、ありがとう。それじゃあ」
カレンはそう言って仲間を探しに行ったのだった。
「あ、おい!行っちゃった。仕方無いな。俺はもう少し充電したら充電装置を回収して探索するか」
こうして一先ずの目標を達成したので、ビックRADスパイダーを回収して探索を続ける事にした。
……
バッテリーを三個分充電して空のクリスタルを回収しようとする。すると、最初のクリスタルの放射能放出量が若干強くなっていた。
「もしかして、放射能を吸収してるのか?それはそれで凄いなこのクリスタル」
なら後で警察署付近に行くか。そうすれば放射能の吸収も早くなるだろう。それからM7A4バトルライフルを構えながらパワードスーツ専用武装を探す。今の所はM7A4バトルライフル、三梃、L-20パイルバンガー三梃、R-20パイルバンガー三挺、P-120㎜バズーカ三挺、耐物シールド5型五個だ。
P-120㎜バズーカ
装弾数4発
使用弾薬 120㎜ロケット弾(HEAT、HE弾等)
120㎜砲弾(AP、HE、HEAT、APCR等)
他の格納庫を探したが、流石に戦闘機やヘリコプターは見つからず。代わりにRADスパイダーがまだ大量に居た。其奴らを倒しながら先に進む。
「これがラストの格納庫か。頼む!戦車とかハンヴィーとか有ります様に!」
中を覗くと相変わらずな量のRADスパイダーと蜘蛛の巣だらけだ。ある程度倒すと適当に散って行くRADスパイダー。そして頭部のライトを点けて内部をチェックする。
「弾薬も結構使ったな。でも、楽にRADスパイダーを倒せるのは有難い」
格納庫の内部を探索すると、お目当の物を見つけた。いや、戦車と言えば戦車だったが大砲は付いてない。代わりに機関砲が搭載されていた。
M10ブラッドレー歩兵戦車
主武装30㎜機関砲×2門、有線ミサイル4発
副武装M2ブローニング
使用弾薬30㎜弾(AP、HE弾等)
装弾数600発×2
乗員2名、輸送兵士10名、パワードスーツ兵8名
一輌のみだったが状態も悪く無く、PDAに収納して直ぐに使える状態にする。乗員は二名だが一人でも操縦可能な様だ。但し、凄く難しそうだけどな。
M10ブラッドレー歩兵戦車を修理しつつパトカーも修理する。それから再度軍事基地に入り20㎜、30㎜、60㎜、120㎜の弾薬を探す。しかし、俺の装備も一気に大火力になりましたな!これは俺TUEEEE!来たんじゃね?しかし上手い話は続かない。弾薬は20㎜弾と30㎜弾は多数手に入れれたが、他の弾薬は殆ど手に入らなかった。
軍事基地の粗方探索はしたので撤収する。武器等は手に入らなかったが医療品を少しと、戦闘服、ヘルメット、ゴーグルを多数手に入れた。それにしてもRADスパイダーの親玉を倒せたが、その子供は多数逃げて行った。探索中も何体か居たからな。つまり、この軍事基地の脅威は依然として高い訳だ。
「でも、格納庫と軍事基地内の武器は殆ど俺が回収しちゃったしたな。まあ、後から来た連中には合掌です」
ウォールを解除して戦闘服、ヘルメット、ゴーグルを装備する。後は口元を隠す様にする。パトカーを出して乗り込む。
「カレンの奴大丈夫かな?仕方無いな。山頂の方で様子見でもするか」
双眼鏡使って見て状況次第では迎えに行ってやろう。そう考えながらパトカーを走らせたのだった。
シュウ「なあなあ吹雪さんや!吹雪さんや!」
吹雪「何だいシュウくん?」
シュウ「俺の装備も大分充実してるじゃん?つまり俺TUEEEE!※パティーン来たんじゃね!?」
テンション上げ上げのシュウくん。そんなシュウくんの肩をポンと叩きながら真顔で伝える。
吹雪「俺がそんな甘々な展開をやると思う?」
シュウ「……マジっすか」
ちょっとションボリするシュウくんでした。
※パティーン
パターンがテンション上がってこうなった。




