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パトカーを走らせてベースキャンプまで到着する。丁度神官達が浄化魔法をかけていたので一緒にやって貰う事にした。


「よし、降りるんだ。浄化魔法掛けて貰えば楽になるだろう」


「はい。その、ありがとうございます」


俺達はそのまま浄化魔法を受ける。


「さて、この後どうするかだなぁ。どうだ?一緒に飯でも……あれ?」


先程まで居た少女は居なくなっていた。


「スピア同様サイレントスキルでも持ってるのかな?」


一人呟きながらパトカーを収納して御飯を食べに行くのだった。


side カレン


私の名前はカレン。目標の後を付けていたが、毒の空気が強くなりすぎた為倒れた。そして死ぬ直前に目標に救われた。その後も廃墟街から脱出する為に、廃車を直ぐに直して脱出した。正直どうやって直したのか気になるが、それより報告しないと怒られてしまう。

その時、丁度ボス達が見えた。多分私を待ってたと思う。


「ボス、報告遅れました」


「おいおい、カレン何やってんだよ。ちゃんと合図送らないと待ち伏せ出来ないだろ?」


「まあ、落ち着けお前ら。今回は仕方無い。流石に魔導車を持ち出して来たのは想定外だ。それで、何か見つけたか?」


ボスは部下達を落ち着かせる。正直助かる。


「特に無かった。周りは廃墟で殆どガラクタばかりだった。後、悪霊が居た。あいつはヒステリー幽霊って言ってた」


「ヒステリー幽霊?聞いた事無いな」


「多分悪霊が喚いてたからそう呼んでたと思う」


特に呼び方に理由は無いと思う。それにヒステリーに喚いてたのは合ってる。


「まあ、しょうがねえな。焦りは禁物だからな。後はカレン、お前が付けてるマスクは何だ?」


「?……別に、借りただけ」


そう言えばマスク借りっぱなしだった。


「まあ良い。明日も探索する様なら追跡しろ。彼奴は必ずお宝を回収する。その時が勝負だ」


この後各自解散する。私も特に残るつもりは無い。元々、この集まりも実力はあるけど探索するには少々厳しい。だから非合法の人狩りを行なってる。悪い事だと全員が理解してる。けど、私達が探索した所で野垂れ死ぬのが関の山。


「マスク、明日返そう」


私は一人呟きながら人混みに紛れるのだった。


side out


次の日になり反対側の方に行く事にする。距離が多少有るのでパトカーを出して行く事にする。パトカーは結構な人に見られたので今更感があるから普通に出す。

パトカーに乗り込むにエンジンを掛けようとすると窓をノックされる。其処には昨日助けた少女が居た。


「あの、マスク……」


「ああ、すっかり忘れてた。悪いな態々届けてくれて」


マスクを少女から受け取る。しかし、少女は何か言いたげにモジモジしてる。


「どうした?何か俺に用か?」


此処でトイレにでも行きたいのかと聞いたら、間違い無く俺の株価は暴落するから言いません!それに自分紳士ですから!

ローラに言った事があるだろだって?アレは愛情表現です!←


「その、付いて行っても良い?」


「ダメです」


即答されて凄くショックを受ける少女。


「所で君の名前は?俺はシュウ・コートニーだよ。気軽にシュウと呼んでくれ」


「……カレン」


ちょっと不機嫌な顔になったが教えてくれた。


「断った理由だけどな。ちゃんとした装備も無いのに探索する事自体が無謀だからさ。放射能は常に身体を蝕んでいく。後で浄化魔法で治すから平気と言う訳じゃ無いし」


途中で倒れられたら大変だしな。撤退しようにも倒れてる奴を運びながらだと大変だし。


「そう、なら諦める。それじゃあ」


随分とあっさり引いたな。ま、別にいいか。エンジンを掛けてパトカーを動かす。次はちゃんとした軍事施設らしいからな。唯、放射能汚染の他に敵が大量にいる為探索が困難な状況らしい。グールとかだったらサイガ12で良いけど、他の化け物ならM240G機関銃にしよう。探索に必要な銃を考えながら先に進むのだった。


side カレン


「そうか。なら仕方無いさ。俺達は他の冒険者から疑われてる立場だ。なるべく慎重に行動すべきだがな」


ボスに付いていけなかった事を報告する。だが、特に怒られる事は無かった。


「ですが、このままでは資金が厳しくなります。奪取が無理なら我々みずから探索する他無いのでは?」


「それもそうだな。俺達は弱い。だが、互いにカバーし合えばそれなりの戦力になる。奴が探索に行くならチャンスだ。奴には先導して貰おうか。そうすれば楽してお宝を手に入れれる」


ボスは私達に探索の準備をする様に指示を出す。だけど私は不安な気持ちで一杯だ。あの時も様々な光景が見えた。正直よく分からなかったけど、かなり高度な世界が有ったと分かった。


だけど、同時に疑問に思う。何故崩壊してしまったのかと。


side out


軍事施設前のベースキャンプに到着する。其処にはかなりの重武装をした冒険者や兵士が居た。然も、兵士達の見た目は第一世代のパワードスーツを着込んでる感じだ。それに怪我人も多数居る状況は、まるで野戦病院だった。


「おいおい、一体どんな敵が居るんだよ?」


先ずは情報収集だな。取り敢えず重武装の兵士に聞いてみる。


「すみません。この先の軍事施設はかなり危険なんですか?」


「ん?ああ、あんた初めて来たのか。此処で気を付ける事は【RADスパイダー】だ。昔から此方側にいる魔物でな。かなり頑強で凶暴だ。然も糸も大量に吐いてきて、かなり厄介な魔物だ」


「RADスパイダーですか。他に気をつける事は有りますか?」


「兎に角捕まらない事だ。RADスパイダーの一番危険なのは顎だ。とても強くて何人も食い殺されてる。この鎧でも防げるのは一回か二回ぐらいだしな」


兵士は自身の装備を見て溜息を吐く。


「え?でもそれってパワードスーツの部品を使ってるのでは?」


「いや、使ってないぞ。そもそも、この鎧は聖エルガー教国がパワードスーツを元にデザインしたんだ。この鎧の素材もパワードスーツとは別物さ。唯見た目が似てるだけさ」


兵士はヤレヤレと大げさに肩を上げる。やっぱりパワードスーツじゃ無いんだな。


「情報ありがとうございます。それでは」


「ああ。良い探索をな」


兵士に感謝しながら離れる。流石に今回はパワードスーツを使わざるを得ないだろう。パワードスーツのバッテリー残量は50%。バッテリーが持つのは三時間だ。その間に充電装置が見つからないと終わりだな。

取り敢えず軍事施設の近くまで徒歩で行く事にする。他の重武装の冒険者達に混ざりながら行く事にしたのだった。しかし、俺は今軽装だから結構目立つな。


……


山を越えると早速放射能反応が出る。しかし、この辺りはまだ薄いし軍事施設も目視出来る。双眼鏡を出して軍事施設の周りをチェックするが、RADスパイダーは確認出来ない。重武装の冒険者達が中に突入して行くのは見えてるが大丈夫なのだろうか?

俺は少し離れた場所に移動してパワードスーツ【ウォール】を出す。そしてウォールに入りながら装着する。


《メインシステム起動。システムチェック開始。油圧、駆動系、伝達回路、オールグリーン。バッテリー残量は50%、継戦時間は3時間です》


「了解だよ。さて、急いで充電装置を見つけないとな」


充電装置を見つけれれば何とかなるだろう。俺はM240G機関銃を構えながら軍事施設に突入したのだった。


……


軍事施設に近付くと彼方此方で悲鳴や怒声が聞こえる。この辺りは比較的放射能は低い。だから放射能で死ぬ事は殆ど無いだろうから探索に集中出来るのだろう。先ずは手前の建物に入る。中に入ると早速蜘蛛の巣が大量に張っていた。


「うへ。アンダーグランドに似た蜘蛛でも居るのか?それはそれでキツイんだけどな」


でも怪我人も大量に出てる訳だから間違い無く人間サイズ…いや、もっと大型の蜘蛛かいても可笑しく無いだろう。警戒しながら進むと天井からRADスパイダーが降ってきた。

全身毛むくじゃらで小さい目が左右に4つ、大きい目が中央に2つある。威嚇か捕食のつもりか顎をカチカチいわせてる。そして、何より大きさが人間サイズでした!


《アンノウン生命体を確認》


「やっぱり出てきますよね!」


M240G機関銃を一気に撃ちまくる。ダメージは与えているが致命傷に至るまで時間が掛かる。


「キシャアアアアアア!!!」


「うお!この野郎!」


一体を倒したが、もう一体が飛びついてくる。が、パワードスーツのパワーの文字は伊達じゃねえ!


「うおらああ!」


「グギャアア!?」


RADスパイダーの顔面を思いっきり殴る。顔に拳がめり込み悲痛な悲鳴を上げのたうち回る。かなり気持ち悪いっす!


ダダダダダダダダダダダダダダッ


ひっくり返ったRADスパイダーに容赦無く7.62㎜弾を撃ち込む。表面より裏面の方が貫通する様だ。だが、ひっくり返る状況は先ず起きないだろうな。


「これは、かなり厳しい戦いになりそう。マジで充電装置が見つからないと死ぬ」


兎に角急いで充電装置を探すのだった。


……


軍事施設は思ったより損傷してはいなかった。ついでに武器や弾薬などは見つからなかったが、手榴弾を幾つか見つけれたのは僥倖だ。だが、それでももぬけの殻状態だった。多分、先に探索しに来た冒険者が回収したか、原子力発電に核が落ちた時にはさっさと逃げたのだろう。


「軍事施設の見取り図が有れば助かるんだがな」


残り稼働時間は1時間半。そろそろレッドゾーンに突入だな。今は管制塔に来ていた。少し高い所から見たかったからだ。すると、其処にはボイスレコーダーが有った。


「これ動くのかな?」


スイッチを入れると、奇跡的に動いた。多分伝達を伝える為に頑丈に作られてたのだろう。


『こちらアレス航空軍事基地のマッケン大佐だ。現在市街地付近の原子力発電に核が撃ち込まれた。原子力発電に甚大な被害が出たのを確認した』


意外と冷静な声で喋ってるな。やはりRADキャンセルやRADディフェンダーが有るからだろうか?


『また放射能がアレス航空軍事基地を包み込むのは時間の問題と判断。よって当基地からの撤退を宣言する』


妥当な判断だな。そのまま残ってたら兵士達は不安で一杯になるだろうし。


『必要な物資は持てるだけ持つ様に。また民間人の救助活動も同時進行で行う。但し、救える人数は……限られてる』


少し間が開いたがしっかりと宣言している。


『軍法廷に行く覚悟はある。だが、私は軍人としてやるべき事をする。これで記録を終了とする。最後に、この基地に来た者達に幸運を』


録音はこれで終わる。しかし、物資は持てるだけ持って行ったのか。やっぱり充電装置は見つからんのか。


「いや、それは困る。色々な意味で困る!」


兎に角探す事にする。そもそも充電装置はどの辺りに有るのだろうか?やっぱりパワードスーツが保管されてる場所だろう。なら、格納庫に有るの可能性は高いんじゃないか!

残り稼働時間は少ない。なら最後の賭けに出る。コレで見つからなければ諦める他無いだろう。流石にパワードスーツ無しで探索するとあっという間にRADスパイダーに囲まれて食い殺されるだろう。

俺は急いで格納庫があるだろう場所に走って向かう。最後の望みを賭けて。

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