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馬車は順調に進み遂にイルステイの町に着いた。町には煉瓦で作られた壁があり門番が2人いた。
「次の人、証明出来る物を」
証明出来る物?無いよな。仕方無いので何処かで紛失した事にする。
「バンクさん。俺此処にくる道中で証明書落としてしまったみたいで」
「大丈夫ですよ。すみません、此方の方が証明書を落としたみたいで」
「そうか。ならコッチに来てこの水晶に触れてくれ」
其処には中々大きい水晶が鎮座していた。
「この水晶は何ですか?」
俺は気になり門番に聞く。
「ん?何だ知らんのか。この水晶にはな犯罪者の顔が登録されてるんだ。だからその中の顔と一致したら捕縛される訳だ」
ほー、中々便利そうだな。水晶に触れるが特に反応は無く銀貨1枚払って町に入ったのだった。
……
町の中は正に中世のヨーロッパ風だった。しかも、動物の耳や尻尾が生えてる人や狼の顔をしたガッチリした人や背が低いのにめっちゃ荷物持ってる人もいた。
うん、凄くファンタジーです。
「では、私はこの辺で。またの機会があれば宜しくお願いしますよ!それでは、良い旅を」
「バンクさんも、ありがとうございます」
俺はバンクさんと別れて冒険者ギルドに向かう。場所はバンクさんに教えて貰った。しかし、本当にファンタジー…いや、異世界みたいな感じだな。だってあの人達は多分獣人とかなんだろう。辺りを見渡すと人間以外の人種が多数居るがエルフとかは居なかった。それでもビックリだけど。
「おい。ちょっと良いか?」
「はい?何ですか?」
先程の商隊護衛にいた冒険者達がいた。
「ウェアウルフの討伐でちょっと良いか?その、お前が討伐した数が11体だ。その分の討伐金だけでも良いか?」
ちょっとバツが悪そうにする。
「別に構いませんよ。俺はまだ冒険者じゃ無いですから」
「そ、そうか。なら次いでだ、ギルドに案内してやるよ!コッチだ」
そう言うと冒険者達は歩いて行く。多分だけどノルマ的な物があるのかな?場所は知ってるが折角案内してくれるので付いて行く事にする。道中特に話す事は無かったが、チラチラと此方の様子を見て来た。何か悪い事でもやったかな?
冒険者ギルドに着くと先に登録する事にした。その間に討伐報酬とかやって貰う事になった。如何やら俺が結構な数のウェアウルフを討伐したので護衛クエストの報酬とか奪われると思っていたらしい。謝礼金なら貰ったから要らんよ。
そんな事は知らずに気分良く換金しに行く冒険者達。俺もさっさと登録を済ませる。ギルドの中は食堂と受付がセットになっており、中々広い空間になっていた。残念ながら昼過ぎに酒を飲んだくれてる冒険者は居なかった。受け付けは3つあり全部空いていた。なので1番左端の所に向かった。
因みにギルドの受付嬢は全員綺麗な人達でテンションがちょっと上がったのは秘密だ。
「ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどの様な要件で?」
「冒険者の登録をお願いします」
受付嬢は美人なのだが、胸が絶壁だった。俺は今のヘルメットがフルフェイスのマジックミラータイプで助かったと感じた。きっと悲しい感情が表情に出ていただろうからなぁ。
「ゴホンッ!!!それでは登録手数料として銀貨15枚頂きますが宜しいで・す・ね?」
あ、バレた。
「は、はい。お願いします」
いかんいかん、無心の精神で行かねば。俺は言われた通りの金額を支払う。其処から冒険者ギルドについて説明があった。要点をまとめるとこんな感じだ。
・ランクはF〜SSまであり最初は誰もがF
・F.Eは週、D.Cは月、B.Aは半年のノルマが決まってる。S.SSは無い。
・パーティは6人まで。
・旅団は最大100人で設立には金貨20枚支払う必要がある。
・緊急クエストはD以上から義務参加。
・冒険者ギルド系列のお店は多少割引が効く
大体こんな感じだった。
「ではギルドカードを作りますので、此方の用紙に名前と種族を記入して下さい」
それ以外の項目もあったが必須項目は名前と種族だけだったのでそれだけ書く。
「はい、シュウ・コートニー様ですね。それでは此方のギルドカードに血を一滴お願いします」
言われた通りナイフで指をちょっと切ってカードに垂らす。するとギルドカードは一瞬光輝き直ぐに治った。
「基礎体力は平均より高いですね。あ!運は凄く良いですよ!ただ、その…」
何やら嫌な予感がする。
「魔力が…零ですね」
え?つまり魔法が使えないのか?
「そんな、空とか飛んでみたりファイアーボールとか使ってみたかったのに」
「あ、あの大丈夫ですよ?魔力を持ってても魔法を使えない方は居ますし…ただ、魔力零は初めて見ましたので」
あれ?結構レアな感じ?
「まあ、取り敢えず登録お願いします」
「はい、分かりました」
この後はスムーズに進み、俺は晴れて冒険者ギルドのメンバーになったのだった。向こうも討伐報酬の換金が終わりお金を貰うい別れた。あ、そうだ。序でにPDAに入ってるゴブリンとウェアウルフも換金して貰おう。
「すいません。換金お願いします」
今度の受け付けは普通の男性の方だ。
「分かりました。此方にどうぞ」
「あー、ただ討伐部位が分からなかったからそのまま持って来たのですが」
「大丈夫ですよ。ただ、解体料として討伐金から10%を頂きますが?」
「分かりました。お願いします」
暫く待つ間に討伐部位の本を買った。本の厚さの割に安かったからね。討伐金を貰い武器屋に向かう事にした。弾薬の補充の為だ。
武器屋の場所をギルドで聞いて行くと直ぐに見つかった。
武器屋に入り.38スペシャル弾を銀貨10枚分買ったら500発分買えた。
因みに貨幣の種類と価値はこんな感じだ。
鉄貨100枚→銅貨1枚
銅貨100枚→銀貨1枚
銀貨100枚→金貨1枚
金貨100枚→泊金貨1枚
泊金貨100→黒貨1枚
基本泊金貨と黒貨は国同士のやり取りでしか使わない。日本円に直すと銀貨10枚分で1万円ぐらいの価値だろう。しかし、この相場が合ってるのかイマイチ分からんのが現状だ。
武器屋なだけあって銃も売っていたが……値段が他の武器に比べて異色を放っていた。
ハンドガン系は金貨5〜10枚以上
ショットガン系は金貨8枚〜25枚以上
マシンガン系は幅が広いが金貨10〜100枚以上
スナイパー系は金貨20枚〜40枚以上
連射が出来る銃の価値が頭一つ飛び出てるが、多数の敵に対応出来るかららしい。ショットガン系とスナイパー系は装弾数が少ないからこの値段。中には例外的な銃もあるが基本この価格帯だろう。兎に角安くても金貨を出す必要がある時点でヤバかった。
武器屋を出ると大分日が沈んでいた。
「宿でも探すか」
取り敢えず武器に関しては一端保留だな。まずは宿を探そう。宿はアッサリ見つかった。食事付きと体を拭くお湯とタオル付きで1泊銀貨3枚だった。なので銀貨15枚支払い5日分宿泊する事にする。部屋に案内され1人になり呟く。
「どう見てもファンタジーです」
俺と銃とPDAは場違い感満載だなと思ってしまったのだった。




