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【オペレーション・テッド&メリナ・ラブラブキューピット】その3

俺達は今お揃いの服装をしている。全員警察用防具とヘルメットにフェイスガードを身に付けている。そして今回は真剣にやるので骸骨の柄は無くしている。ローラは以前アンダーグラウンドから脱出した時に三着貸したのを使ってる。スピアはローラの物を借りてる。更にスピア様にウサミミと尻尾が出る様に改造済みである。因みにクロもヘルメットとフェイスガードを着けてます。


「スピアもローラもスタイル似てるから問題無さそうだしな」


「はい。ただ、少し胸元がキツイですが我慢します」


そう言って少し口元を上げながらローラを見るスピア。


「何よ、少しお尻がキツそうだけど?」


ローラもすかざす反撃する。そしてお互い睨み合う。結構ガチで睨み合ってて怖いです。


「プギュウ……」


「クロ、気持ちは分かるが止めなければ話が進まんからな」


俺は勇気を持って二人に言う。


「どっちも巨乳だから俺は嬉しいです!ありがとうございます!」


「ば、馬鹿じゃないの!いきなり何言ってるのよ!」


「ご主人様が喜んで頂き嬉しい限りです」


「ああん!この二人似た者の雰囲気が有るから疲れる!」


何て事だ。作戦開始前から疲労があるローラ。


「水飲むか?」


「貰うわ!」


そのまま一気飲みするローラ。如何やら落ち着いた様だ。良し、俺も気持ちを切り替えるぞ。


「全員、作戦の確認を行うぞ。今回の目標はテッド君がメリナ・ランバートに告白する事だ。メリナ・ランバートと友人二人のポニーテールとボブカットが店内に入る。そしたら店の従業員がお客に状況を伝えたらオーナーから通信石から連絡が来る」


因みに通信石は警備隊から借りた。流石スピアとローラだな。どんな色仕掛けをしたんだろ?


「警備隊の人達も空砲が聞こえたのと同時に来る手筈になっている。またテッド君は既に店に待機している。俺達はオーナーに空の金袋を渡す。すると鉄屑の入った袋を貰う」


本物のお金は貰いません。それはそれで危ないからな。


「その後、老夫婦が立ち上がり俺達に説教を垂れ流すがそのまま射殺して黙らせる。その後、警備隊が直ぐに来る手筈だ。それから警備隊六人を射殺すると盾を構えて動かない形になる」


さて、此処からが本番だ。


「その後ワイバーンを要求をする。勿論来ないからな。そして時間が近付いたらメリナ・ランバートを連れて外に行く振りをする。この時にテッド君が俺達からメリナ・ランバートを救うべくして立ち上がり俺達を倒す。そしてテッド君がメリナ・ランバートに告白して【オペレーション・テッド&メリナ・ラブラブキューピット】の完了になる。尚、告白の成功の有無に関しては関わる事は無い事を伝えておく」


ココがある意味一番重要なポイントである。


「それから俺達のコードネームだが俺が『エンシェント』、スピアが『ラビット』でローラは『エルフ』だ。因みにクロは『ブラック』だ」


全員が頷く。因みに俺が『エンシェント』なのは古代から取った。ほら古代兵器使いとか言われてるし。


「作戦開始時間まで後一時間も無いだろう。全員気を引き締める様に」


「畏まりました」


「了解よ」


「プキャ!」


俺達は合図が来るのを待つ。途中親子連れの子供がコッチ指刺すから手を振ってやった。

そして遂に目標メリナ・ランバートを視認。そして店に入る。続いて友人のポニーテールとボブカットも入る。


「全員武器の再チェック」


今回全員UMPとM92を使用する。弾倉は各4つずつ持つ。全て空砲だ。


「至近距離での発砲は禁止だ。危ないし、煩いから耳の鼓膜に被害が出る」


再度注意を呼び掛けながら武器をチェックする。そして通信石から連絡が入る。


『此方オーナーからエンシェントへ。オーナーからエンシェントへ』


「此方エンシェント。どうぞ」


『店内に居るお客さんには全員伝えた。後、老夫婦の準備も出来てる』


「了解した。これより突入する。其方もお願いします」


『分かった。頑張ってくれよ』


そして通信を終える。


「全員、突入する」


俺達はフェイスガードを装着して店に突入する。【オペレーション・テッド&メリナ・ラブラブキューピット】の開始だ。


……


午後の陽気な時間。メリナ・ランバートのお気に入りのお店は今日も繁盛している。繁盛しているが、静かな空間になっており其処も気に入っている所だ。常連の人達に会釈をして席に着きメニューを吟味する。


「二人共何にする?私はこの苺のムースケーキにしようかなぁ」


「そうね。今日はふんわりオレンジケーキにしようかな」


「なら私はアイスドーナッツにしよっと!」


「ええ、それ結構ボリューム有るよ?大丈夫なの?」


「大丈夫よ。それに私達ワイバーンに乗る為に色々制限があるでしょう?だけど、偶には息抜きは必要だって!」


友人二人の会話を聞いてメリナは楽しくなる。今日もとても楽しい一日になる筈だった。


カランカラン


「いらっしゃいま……」


店員の言葉が途中で切れる。メリナは気になりチラッと来客を見る。そして、自分の目を疑ったのだ。


「残念だったな。客じゃねえけど四人追加だぜ。よーし、お前ら動くんじゃねぞ!序でに大声も禁止だ!良い子して言う事聞いてれば被害無くお家に帰れる訳だ。なるべく賢い選択をする事だな」


黒い制服姿の三人は銃を周りに向けながら客と店員を脅す。そしてヘルメットとフェイスガードの何かは跳ねたり転がっていた。


「さて、オーナーさん。この袋に金を詰めな。素早く金を詰めれば問題無い」


「は、はい。分かりました」


オーナーはシュウから袋を受け取り、直ぐにカウンター下からパンパンの金袋を出す。


「用意しました。さあ、どうぞ」


その瞬間、一瞬皆んな止まる。


「ねえ、オーナーさ。お金出すの早くない?」


「うん。凄く早いわね。もしかしてお金詰めるの得意なのかな?」


「えー、意外な特技。でも特に役には立たないわね」


メリナ、ポニーテール、ボブカットが小声でひそひそ話す。


「……オーナー、ちょっと」


シュウはオーナーに顔を寄せ小声で言う。


(金袋出すの早いよ。直ぐに出て来るとか3分クッキングじゃ無いんだからさ)


(そ、そう言われてみれば。やり直します?)


(やり直さないよ。このままゴリ押す)


そしてオーナーとシュウは顔を離す。


「お前随分と金を詰めるのが速いじゃ無いか。もし、立場が違ってたら……仲間になってたかもな」


シミジミと言うシュウ。だが、彼等の立場がそれを叶える事は無いだろう。


「良し。少し早いが行くぞ。もう此処に用は無いからな。ラビット、エルフ行くぞ。コラ!ブラック、摘み食いしない」


「プキャ!」


その時だった。一人の老人が席を立つ。


「待たんか若者よ。そんな悪い事をするんじゃない」


「おい爺さん、席に座ってな。じゃないと後悔するぜ?」


「良いか?儂もかつて悪い事もやった事がある。そして、その度に仲間達や周りの人達に迷惑を掛けた。だが、そのお陰で今の儂が居るのだよ。そう初めて冒険者になったあの日、儂は色々な依頼を受けたのだ。そして様々な出会いがあった。最初に出会ったのは……」


この後ずっと老夫婦の会話が始まる。そして話は段々盛り上がって来る。気が付けば強盗四人は椅子に座ってる。話は奥さんを連れて逃避行をする辺りになり、漸く動き出すエンシェント。


「やべ、寝ちゃった」


どうやら寝落ちしてしまった様だ。


「おい老夫婦よ。今直ぐ黙って席に座ってな。俺達に説教なんざ十年早いぜ!」


UMPを老夫婦に向けるエンシェント。


「ねえ、説教してたっけ?」


「ううん。ずっと昔話だったよ」


「寧ろあの人寝てたよね〜」


メリナ達が小声で話す。そしてエンシェントの寝落ちがバレてる。


「さあ!黙ろうか!黙って座らなければ後悔するぞ!」


声を張り上げるエンシェント。取り敢えず大声を出した感じだ。


「儂は、悪には屈せん」


「私もです。さあ、武器を捨てなさい」


両者睨み合う。一瞬の静寂。


「そうかい。なら……さよならだ」


ダダダダダダダダダダダダダダッ


UMPから銃声が鳴り響く。それと同時に空薬莢が宙を舞いながら床に落ちる。


「ぐああぁあぁああ………」


「あぁあ、あ……あな…た」


老夫婦は血を大量に出しながら倒れる。本当に銃で撃ち殺された様に見える。


(えぇ……本当に空砲だよね?だよね?)


余りの迫真の演技に老夫婦とUMPを見比べるエンシェント。


「あ、余り俺達を舐めるんじゃねえぞ!分かったか!」


天井に向け3点バーストで撃つ。そして天井に穴が開いてないのを確認して内心ホッとする。周りから悲鳴が上がる。だが、UMPを再度天井に向け撃ちながら黙らせる。


「よーし。ラビット、エルフ撤退するぜ。もう此処に用はねえからな」


「分かりました」


「了解よ」


俺達は金袋を持ちながら外に出ようとする。しかし、外には警備隊の人達が待機していた。


「武器を捨てて投降しなさーい!無駄な抵抗はやめた方が良いぞー!」


「チッ!もう警備隊の連中が来やがったか。お前ら警備隊のヘタレ共を黙らせるぞ!」


その瞬間エンシェント、ラビット、エルフ、ブラックはUMPを警備隊に向け撃ちまくる。警備隊の六人は血を大量に出しながら倒れる。しかし、本当に演技上手いわ。


「オラオラ!一丁前なのは形だけか!?だったら引っ込んでろ!?」


「クソッ、全員盾を構えるんだ!急げ!奴等は古代兵器を所持しているぞ!」


そして警備隊はエンシェント達と睨み合う形を取りながら囲いこむ。


「おい!一時間後にワイバーンを用意しろ!それが出来なければ人質がどうなるか理解出来るだろ?」


エンシェントは警備隊にそう言い放ち店内に戻る。


「ねえ、エンシェント。このままだと私達不味いわ。如何するのよ?」


「大丈夫だ。一時間後にワイバーンが来なければ人質を何人かヤれば、直ぐに用意するさ。俺達が本気なのを理解させてやるのさ」


「流石エンシェント様ですね」


「それ程でもねえぜ!はっはっはっ!」


老夫婦に警備隊が本格的に死んだフリをしたお陰で、かなり雰囲気も出来上がって来た。コレで俺達をテッド君が倒せば間違いなく「素敵♡抱いて♡」になるだろう。


「自分(脚本)の才能が恐ろしいぜ」


その時だった。大きな声で俺達を呼び止める存在が現れた。


「貴様ら!!!俺の可愛い娘に傷一つでも付けたら唯じゃおかねえからな!!!」


「メリナちゃーん?平気ー?」


表を見ると三十代の男性が綺麗な女性の人と一緒に居た。


「パパ……ママ……?」


メリナ・ランバートからの言葉を聞いて内心舌打ちする。まさか此処に来て御両親と鉢合わせするとは。しかし、奥さんは随分と落ち着いてますね。


「うおおおお!!!メリナ!!!今助けに行くぞ!!!」


「仕方ない。ラビット、優しく鎮圧しろ」


「畏まりました」


その瞬間、ラビットの存在感が希薄になる。そして、気が付けばメリナパパは倒れていた。


「お待たせしました。優しく鎮圧しました」


「アンタ相変わらずエグいわね。何やったの?」


「エグくは有りませんよ?首をこうトンッと」


首トンですか。流石スピアちゃんだよ!此処ぞとばかりに頼れるからな!


「あらあら、貴方ったら。ほら、静かにしてましょう。それでは失礼しますね〜」


メリナママはメリナパパを引き摺って行く。如何やら此方の状況を知ってる様だ。でも、俺メリナパパの存在が危ういと思ってこの作戦を伝えて無かったんだけどな。間違いなく反対されるからな。


「先程女性の方から魔力を感じました。恐らく死人が居ないのを確認したのでしょう」


「成る程ね。先に状況確認するとは、中々やるな」


なんだかんだで【オペレーション・テッド&メリナ・ラブラブキューピット】は終盤になるのだった。

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