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52 ラリア連邦内乱 最終話

ラリア連邦の王都ミスティで起きた大規模な暴動、そして所属不明航空戦艦の襲撃。これらによって出た犠牲者、行方不明者は民間人、軍人を含めて2万人以上に登った。更に今回の事件において真相を知っているだろう重要人物であるボニフェース・アトリー公爵が自決してしまった為、真相は闇の中に葬り去られてしまう。アトリー公爵が王城で行った行為は非常に危険であった為、領地3割と財産8割が没収された。それでもボニフェース家が存在出来たのは、それだけ国に対して貢献し続けたからだろう。

そして民衆の間では様々な憶測が飛び交う。キメラ・スネークが暴れた、反乱が起きた、内通者が居た、魔族が攻めてきた等色々だ。それでも王都の復興作業は進んで行く。ギルドの依頼にも王都の復興作業がある為、俺達も受ける事にした。


「しかし、何か中途半端な感じがするな」


瓦礫を撤去しながら呟く。本当ならパワードスーツを使いたかったけど、バッテリー残量は50%しか無いから使えそうに無い。


「そうですね。ですが、我々がやった事は無駄では無かったでしょう」


スピアの言葉に皆頷く。確かに無駄じゃ無かったと思う。それにラリア連邦の軍から非公式ながら勲章を貰えた。ただ勲章しか貰えなかったから、ラリア連邦の軍は金欠かケチなんだろうな。


「私はこの勲章よりお菓子とかの方が嬉しいんだけどな」


「お菓子ばっかり食ってると太るぞ」


「ライトニングボルト!!!」


「ひぎやああああああ!!!」


その瞬間、俺の身体に衝撃が走る。


「バカっ!シュウのバカっ!もう知らない!」


「全く、君は如何して……そうやって一言多いんだ?」


「くっ……俺の中のツッコミ精神が……」


「プキュ?」ツンツン


心配そうに俺を突っついてくるクロ。俺は大丈夫だよ。


「それより、この惨状を如何するかだよな」


幾ら何でも軍の対応が遅過ぎたからな。落ち着いたら、間違い無く責任の矛先は軍人達に向けられるだろうな。


「それは私達が考えるべきでは無いさ。さあ、もう少し頑張ろう。この後で休憩に出来るだろう」


「そうですね。ならもう少し頑張りますか」


結局、俺達は部外者な訳だからな。今回の事件はラリア連邦が解決するしか無いだろうな。

ふと空を見上げる。上空には警戒の為だろう。ラリア連邦の航空戦艦が飛んでいる。それに飛竜も巡回している。この戦力がある中、上手く王都に食い込んだ漆黒の航空戦艦。間違い無くアトリー公爵が関わって居ただろう。それに、航空戦艦を運用させるだけの財力が有る国と考えると絞り込める筈だ。


「まあ、触らぬ神に何とやらだな」


アーカード帝国が関与した事を言うのは簡単だ。だが、それを言った後の展開がヤバ過ぎる。最悪殺されるだろうしな。ラリア連邦には悪いけど、俺は国に喧嘩売って生き残る自信は無いからな。後は自分達で何とかして欲しい物だ。

最後は見捨てる形になってしまったが、結局自分達の命には変えられない。情け無いと思いつつ復興作業に集中するのだった。


……


王都での暴動から2週間が経った。警備が厳重なお陰か復興作業は順調に進み、亡くなった方達の集団葬儀も滞り無く終わった。まだ破壊の後は残っているが、何時もの日常に戻りつつあった。

因みに高級奴隷商人のウィリスさんは、護衛達と共に避難して居た為無傷だった。また魔導車両開発部のローレンツさんも無事だった。ローレンツさんは職場の同僚達と共に軍から整備依頼されてた魔導戦車を使って、暴徒達を撃退していたとか。取り敢えず知り合いが無事だったのは喜ばしい事だ。因みにローレンツさんにファステストの塗装を依頼したら、エンジンが凄いとか興奮してしまったのは仕方ない事だった。それから2日後には塗装を完了したので、ラリア連邦から別の国に移動する事を決めたのだった。


……


ファステストを受け取った後、皆と食事をしながら次の目的地に着いて話す。


「そろそろ別の国に行こうとおもうんだ。場所は聖エルガー教国だ」


理由は一つ。未探索の軍事施設があるからだ。そこならパワードスーツのバッテリー充電装置が手に入る筈だ。先の戦いでパワードスーツは非常に頼もしく、間違い無く俺には必要な装備だろう。


「私は構いません。ご主人様に着いて行きます」


「プッキャ!プッキャ!」


スピアとクロは即答で付いて来てくれる。


「うーん、私も別に良いけど。スピアは本当に良いの?」


「はい、構いません。私はご主人様に着いて行きます」


うん?何か問題でも……あ。


「そうか。あの国は人間至上主義ユーニスム教が有るんだったか」


確か此方の世界の総本山的な役割があった筈だ。それに、スピアだけで無くローラやサラさんも被害に合うんじゃないか?


「私は大丈夫でございます。コレでも高級奴隷になります。下手に私に手を出せば、逆に向こうが大変な事になりますので」


スピアは良い笑顔で言う。


「私達エルフはまだマシね。酷い扱いを受けてるのは獣人とかね。特に獣に近い容姿をしてると尚更ね」


「そうだな。まあ、私も行くなら構わないよ。ただ、聖エルガー教国に着いたら解散させて貰うよ」


「そう……ねえ、サラ?まだ探してるの?」


ローラは心配そうにサラさんに聞く。


「勿論だ。私は絶対に探し出して見せる。例え奴が死んでいたとしても……必ず私の業火の炎で燃やし尽くす」


サラさんの目は憎悪が見えた。


「まあ、そう言う訳だから聖エルガー教国までの道程までなら付き合おう」


「サラさん……」


だが、サラさんは直ぐにいつも通りになる。俺は何か言いたかった……だけど言えなかった。サラさんの覚悟に対する言葉が出なかったのだ。

こうして、俺達は聖エルガー教国に向かう事になった。


小話


「なあ、魔導列車に乗って行こうぜ?俺魔導列車とか初めて乗るから楽しみなんだよなぁ」


駅弁とか車内弁当とか期待出来そうだしな。


「え?シュウの車で行くに決まってるじゃない」


ローラは何言ってんの?みたいな表情をする。


「いやいや、列車の方が良いって。楽だし、観光気分になるし」


「でもシュウの車の方が速いでしょう?それに、初めて乗った時に感じたグッと来る感じが良かったのよ!」


「でも長時間運転するのは面倒臭いもん。スピアもクロも列車の方が良いよな!」


「はい、勿論です」


「プ?プキャ!」


ホラ見た事か。スピアもクロも列車派だ。


「ちょっと狡いわよ!サラは車の方が良いわよね!サラは気絶してたから分からないかも知れないけど、凄く速いのよ!」


「ほう、ローラが其処まで言うなら乗ってみたい物だな」


チラリと此方を見て言うサラさん。そんな大したもんじゃ無いって。


「それに馬車より乗り心地は良かったわ。アレだけ速かったのに全然お尻が痛く無かったんだから!」


「ますます気になって来たね。うん、私もシュウ君の車に乗りたいかな」


くっ……エルフコンビめ。だが、多数決をすれば俺達の勝ちだ!


「じゃあ列車に乗りたい人は手を挙げて!」


俺とクロ、スピアが挙手する。だが、何かスピアに違和感を感じる。


「如何かされましたか?」


「いや……何でも無いよ」


多分気の所為だろう。しかし、コレで決まりだな。


「狡いわよ!車に乗りたい人は手を挙げて!」


ローラとサラさんが手を挙げる。そして、ウサミミが2本ピンと成っていた。


「……列車の人は挙手」


俺、スピア、クロが手を挙げる。だが……ウサミミが垂れていた。


「スピア……車で行こっか」


「宜しいのですか?」


「ああ、スピアのお弁当楽しみにしてるよ」


「お任せ下さい!」


その瞬間、ウサミミがピンと立つのだった。ウサミミには勝てなかったよ。


……


翌朝、俺はファステストを出してエンジンを掛ける。朝一から騒音立てて御免なさい。でも、この音がイイんだ!


「皆、準備は良いか?」


全員がファステストに乗り込んだのを確認する。


「はい、お弁当も用意出来ております」


「私も準備大丈夫よ!」


「うん、私も平気だ。しかし、中々乗り心地は悪く無いな」


「プキャ!」


全員問題無さそうだな。


「気持ち悪く成ったら言ってくれよ。直ぐに停めるからさ。じゃあ、行くぞ」


ブワアアアアアアン!!!


ファステストを加速させる。城門は多少混雑していたが問題は無い。だが、周りの人達は物珍しそうに見て来るけど。

そして、漸く俺達の番が来た。そのまま門番にギルドカードを見せる。


「通って良いぞ。だが、あんまり煩い音を出すなよ」


「悪いね。これが標準装備何でな!」


アクセルを踏み加速させる。前を走る馬車を次々と抜き去って行く。そして、丁度魔導列車が走っていたので並走する。だが、徐々に加速する魔導列車。だがら俺は一気にアクセルを踏んだ。


ガアアアアアアアアアア!!!!!


エンジンとマフラーから騒音を出しながら魔導列車をぶち抜いたのだった。


side 魔導列車 車長


「ま……魔導車に……負けた」


「車長!しっかりして下さい!車長!」


魔導列車の車長はショックのあまり膝を付いてしまったのだった。


side out


side シュウ・コートニー


「ついでに音楽でも流すか」


カーオディオは標準装備されてるからな。アンダーグラウンドで拾ったCDを1枚入れて音楽を流す。


「っ!」


「何これ!古代の遺物?」


「中々テンポの良い曲だな」


「プップッキャ!プップッキャ!」


折角スポーツカーに乗ってるからな。ノリノリの音楽を聴いてテンション上げてくぜ!更にアクセルを踏みながらファステストを加速させたのだった。





シュウが目覚めた時、その景色に唖然としつつ生き残る為に歩み始めた。

左腕にあるPDAと共に生き残り、そして成長して行く。

様々な問題に直面しても、最後まで諦めない。


シュウの知ってる世界は最早無い。しかし、それでも世界は進み続ける。

例え魔力が無くとも、仲間が、相棒が側に居る限り彼は強くなれる。


さあ、見せつけてやるのだ。過去の生き残りだとしても、その生き様を見せてやるのだ。


彼等の旅に幸があらん事を……


一旦区切ります。完結ではありませんので。

次の更新はツイッター、lobi、活動報告で連絡します。

多分8月中は無理かと思います。

この拙い小説を読んで頂き、尚且つ皆さんの時間潰しが出来ると幸いです(*´-`)

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