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45 ラリア連邦内乱2

王都ミスティ


朝、それはいつも通りの日常が始まる筈だった。誰もが朝早くから起きてご飯を食べてから仕事場に向かう。そんな日常になる筈だった。


ドオオォォン!!!


突如爆発が街中に響き渡る。然も1度だけの爆発だけでなく散発的に何度も起こる。


「な、何だ!」


俺は爆音によって眼が覚める。そして窓から外を見ると彼方此方から黒煙が見え火の手が上がっていた。


「ローラ!起きろローラ!」


「う〜ん…今日はもう無理よ。昨日一杯やったでしょう?まだ…やりたいの?」


「違うよ!緊急事態だ!早く起きろって!」


その時部屋のドアが開く。


「ご主人様!直ちに避難の準備を!」


「スピア、外で何があったか分かるか?」


「詳細は不明です。ですが王都全体に火の手が上がっています。更に被害は広がっているかと」


「ちょ、ちょっと何が起きてるの?」


ようやくローラが目を覚ました様だ。だが、時間はあまり無いだろう。


「兎に角外に出る準備をするぞ。冒険者ギルドに向かえば何か分かるかも知れない」


本来なら宿に引きこもってる方が安全だろう。だが、こういう時に限って宿に暴徒が侵入して来るんだよなぁ。急いで外に出る準備をする。PDAから装備を選択する。今回はUMPとミニミ軽機関銃を装備する。市街地戦になる訳だから、なるべく小回りの利く方と、弾幕が張れる方が良いだろう。


「俺とクロは外を警戒してるから、スピアはローラの着替えを手伝ってくれ」


「畏まりました。さあ、サッサと着替えて下さい!」


「ちょっと!もっと丁寧に扱いなさいよ!」


2人の会話を無視しながら外の様子を見る。すると20人位の集団が魔法を放ちながら此方に接近して来る。


「よっしゃあああ!次はあの宿を荒らそうぜ?良い女がいたらパーティタイムだからな!」


「良いなそれ!なら早く行こうぜ!」


(くそっ!早速コッチに来るじゃねえか!)


俺はミニミ軽機関銃に切り替え狙いを付ける。そして引き金を引く。銃声と共に弾丸が暴徒に対し猛威を振るう。


「うお!敵が居るじゃねえか!殺せ!抵抗する奴は皆殺しだ!」


暴徒側も防御魔法を展開する。そしてその後ろから攻撃魔法や弓矢を放って来る。だが、距離があるから命中率は悪い。然も放物線を描きながら飛んで来るから回避は出来る。


「コッチには近付かせねえよ!喰らえ!」


ミニミ軽機関銃から銃声が響くのと同時に大量の空薬莢が綺麗で澄んだ音を出しながら落ちていく。


「くそっ!何だこの攻撃は!」


「早く奴を殺せ!このままだと魔力が持たなガフッ!」


「ヤバイぞ!これ以上は無グプッ…あ……」


相手も防御魔法を展開するが5.56㎜弾は防御魔法を徐々に貫通して行く。そして次の瞬間、一気に防御魔法を貫いて行き敵を殲滅して行く。如何やら敵の魔力を一気に削りまくったのだろう。5.56㎜弾の威力と弾幕は中々の物だからな。


「敵ながら同情するよ。防御魔法が意味を為さなくなったんだからな」


防御魔法が無くなれば唯の的になるからな。


「ご主人様、準備が整いました」


「さあ、早くギルドに向かうわよ!ギルドなら多少は戦力がある筈だもの」


如何やらローラの準備も整った様だ。


「よし、なら早速ギルドに向かうぞ」


「プキャ!」


俺達は宿から出てギルドに向かう。しかし、ギルドに向かう道は荒れ果てた状態になっていた。一般人も暴動に巻き込まれてしまい、多数の死傷者が道に倒れていた。街中に響く悲鳴や怒声、子供の泣き声も聞こえる。


「おいおい、此処はいつから紛争地帯になったんだ?勘弁してくれよ」


「ほら、我慢して行くわよ。兎に角現状を把握しない事には何ともならないもの」


「ご主人様、ローラさんの言う通りです。今は急ぎギルドに向かう時です」


「そうだな。愚痴った所で解決される訳じゃ無いしな」


そうと決まれば足早にギルドに向かう。しかし、そう簡単にギルドに行けない様だ。


「おい!見ろよ!スゲー美女が2人居るじゃねえか!」


「うはっ!最高じゃねえか!野郎はバラバラにして飾ろうぜ!」


「おら!女は大人しくコッチに来な!じゃねえと死ぬ事になるぜ?」


自身の欲望をこれっぽっちも隠そうとしない暴徒達。本当に運が無いな。


「お前らにくれてやる女は居ねえよ!代わりにこいつをくれてやるよ!」


ミニミ軽機関銃を躊躇無く撃つ。それと同時にローラも魔法を放ち始める。


『雷の精霊よ、愚か者共に鉄槌を ヴォルティックウェブ!』


ローラが呪文を唱え終えた次の瞬間、眩い雷光が敵に向かって行く。そして敵は雷光に包まれて行く。悲鳴らしきものが若干聞こえるが、殆ど掠れた声になってしまっていた。そして、雷光が収まった時には黒焦げの死体が転がっていたのだった。


「ふん!私に触れて良いのはシュウだけよ!」ドドン


いや、そう言われるのは嬉しいんだけど…真顔で言われるとコッチが恥ずかしくなる。


「ご主人様、我が身は全て貴方の物です」キリッ


「スピアも対抗しなくて良いからね?」


「プキャ〜プキャ〜」べチョ〜


「クロもタレ無くていいよ。お前がタレると前が見えなくなる」


黒焦げの死体を余所に漫才みたいな展開になる。後から思えば、俺も大分この世界に染まったなと感じるだろう。

敵を殲滅しながらギルドに向かう。道中何度も敵と会うが、スピアが先行して先に敵の首と胴体を泣き別れにしたりクロも敵の懐に入り至近距離からUMPを連射しまくったりと実に心強い味方であった。それからギルドに何とか辿り着く。しかし、ギルド周辺には敵がかなり居た。だが、ギルドの中に冒険者達が居て、必死の抵抗を行なっている。他にも何人か中に立て籠もって居る感じだ。ギルド内部からは悲鳴や泣き声が聞こえる。恐らく民間人も居るのだろう。なら急いだ方が良いな。


「ローラは左側の敵を頼む。スピアとクロは右側の敵をやってくれ。俺は正面の敵をやるよ」


ミニミ軽機関銃のハイポットを立てながら瓦礫の上に乗せる。敵は此方には気付いてない様だな。


「分かったわ。其方の準備は良い?」


「無論です。何時でもイケます」


「プキャ!」


如何やら全員準備万全な様だ。


「なら、攻撃開し「ドバアアアン!!!」っ!何だ!?」


突如、目の前の敵が燃えながら吹き飛んで行く。そして聞き慣れた声が聞こえた。


「全く、ようやく依頼を終えて一息入れようとした矢先にこの騒ぎか。序でにローラ達の様子も見たかったのだがな」


長髪の銀髪が爆風によって舞う。そして綺麗で透き通った声が戦場と化している王都に響く。


「な、なんだてめえは!不意打ちしておいてタダで済むと思うなよ!泣き叫んでも容赦しねえぞ!」


「それは此方の台詞だ。私の貴重な時間を無駄にしているのだ。1人も生きては逃さん」


切れ目に碧く透き通った瞳で敵を睨む。美女が睨むと怖いです。敵も、俺もビビって少し後退りしてしまう。


「ちょっと!何でシュウまで後退りしてるのよ」


「はっ!俺もビビってる場合じゃねえ!サラさんの援護だ!」


ローラの突っ込みにより気を引き締める。そしてミニミ軽機関銃で敵の背後を狙い撃ちまくる。完全な不意打ちになった敵は、突然の銃声と仲間の悲鳴に戸惑う。更に、


「いくわよ!『ライトニングブラスター!!!』」


ローラの雷光の攻撃で敵は吹き飛ぶ。


「失礼します」


「プキャ!」


スピアの至近距離からのモスバーグM500とUMPにクロのUMP2丁の弾丸の嵐に敵は翻弄される。この時サラさんとは会話はしなかった。だが、此方の意思を読んで敵の殲滅に当たる。更にギルドに立て籠もって居た冒険者達も外に出て暴徒供を倒して行く。形勢は完全に此方側に傾いたのだった。


……


「やあシュウ君。それにローラにスピア、クロも無事だった様だな」


敵を全て片付けた後、ようやく話が出来た。


「サラさんも無事で何よりです。でも、てっきり王都から離れてたと思ってましたよ」


「そうよ。王都に居るなら私達とパーティ組めば良かったじゃない」


「なに、偶々別の町で王都行きの依頼が有ってな。それで王都に戻って来たのさ。序でにローラの様子も見たかったからね」


サラさんはローラを見ながら少し意地悪そうに笑う。


「私は平気よ。もう子供じゃないもの」


「そうか?なら、この甘い御土産は要らないのだな?」


その瞬間ローラの動きが止まる。そしてサラさんに抱き着く。


「子供扱いしても良いから!甘い御土産〜」


「はいはい、ほら皆んなと食べるんだぞ」


「うん!シュウー、お菓子貰ったわ!」


サラさんの御土産によって、ローラは幼稚化したのだった。


……


ローラの幼稚化を戻した後、ギルドの中に入る。中には冒険者達と民間人が大勢いたが、負傷者も多数居る状況だった。しかし、サラさんとローラの登場によりギルドに活気が戻る。


「おお、Aランクの冒険者が2人も居るなんて。コレなら勝てるぞ!」

「他の高ランクの冒険者達もやって来るだろうしな。ようやく一息付けそうだぜ」

「それにサイレントラビットも居るみたいだしな。然も高級とは言え奴隷だからな。裏切られる心配は無いだろう」


美人3人衆を褒めまくる冒険者達。まあ気持ちは分かる。俺も立場が逆なら同じ様になりそうだし。


「それに古代兵器使いも居るみたいだしな。この暴動も直ぐに鎮圧出来るぜ」

「ああ、さっきの攻撃は凄かったよな。次々と敵が倒れて行くんだからな」

「あの攻撃が有れば俺達の有利な戦いになるだろうしな」


おやおや?俺も褒められてるのかな?いやー、遂に俺もモテ期が来たかな!


「ただ…あの仮面は無いよな」

「ああ、そうだな」

「全くだな」


この髑髏仮面結構気に入ってるんだけとな…。


「それより、今王都で何が起きているのか詳細を知ってる者は居ないのか?」


サラさんがギルドに居る人達に聞く。しかし、誰も分からない様子だ。まあ、殆どの人達は避難したくて此処に来た訳だからな。だが、一般人の1人が手を挙げる。


「あの、見間違いかも知れないのですが。腕に蛇の刺青が有ったんですが」


その言葉を聞いて誰もが想像がついた。そう『キメラ・スネーク』だ。そして場が騒つく。一体何故こんな事を?やはり過激派な犯罪集団なのか?連邦は何故もっと犯罪集団を取り締まらない!等と次々と憶測や不満が出て来る。


「キメラ・スネークか。仮にそうだとしても、暴動を起こすメリットが無い。遅かれ早かれラリア連邦の兵士が来るだろうし」


「ああ、確かにな。それに今回の襲撃は妙な所がある。まずほぼ同時爆発による襲撃。そして暴徒の中にはある程度の統率が取れてる者達も居た」


「それに、こんな死ぬ事が前提の襲撃にキメラ・スネークの連中が乗ると思うか?」


俺は全員に問う。全員首を横に振るう。


「なら、誰かが助けに来るとか?こんな事をした連中を助けに来る奴らなんて居るの?」


「もしくは、そう聞かされてるだけかも知れませんね。実際には誰も助けに来ないかと。寧ろ口封じの為に一箇所に集める為にそう言ってるかも知れませんが」


俺達の間でも憶測が出て来る。しかし、幾ら考えても答えは出ないだろう。その時、また外の方が騒がしくなる。そして爆発音が聞こえて来る。どうやらお喋りは此処までの様だ。


「敵さんはまだまだ元気みたいだな」


俺はミニミ軽機関銃に弾を装填しながら呟く。


「なら叩き潰してあげるわ!」


ローラはSR-25狙撃銃を持ちながら言う。


「私は背後から攻撃出来る場所に移動します。それでは」


スピアはモスバーグM500とUMPを構えながら消えて行く。


「なら、私は正面から相手をしてやろう」


サラさんは自身の持つ剣を抜きながら言う。


「プキャ!プキャキャ!」


クロもUMPを2丁とM92、ニューナンブM60を出しながら跳ねる。


「よし、行くぞ!」


俺達はギルドから出て、敵を迎撃するのだった。



side ボニフェース・アトリー公爵


私は今私兵を引き連れながら王座の間に来て居た。別の私兵達は司令塔の占拠に向かわせている。コレで更に現王族の不信感は高まる筈だ。


「お待ち下さい。アトリー公爵様。この玉座の間では武器の持ち込みは禁止です。勿論私兵を引き連れる等は「やれ」っ!今何とグアッ!」


邪魔な門番を片付ける。そして、堂々と正面から玉座の間に入る。そして私兵達も次々と武器を構えながら玉座の間に入って行くが。


「これは…アトリー公爵!此処は玉座の間であるぞ!直ちに兵を引かせよ!」


「そうだぞ!この緊急事態に何という事をしているのですか!」


次々と大臣共の文句だけが飛んで来るが無視する。そして私兵達が武器を構える。すると、直ぐに沈黙する。


「ふん、最初から黙っておれば良い。さて、国王陛下。貴方には、貴方達王族には責任を取って頂くとしよう」


「ほう?我が一族に責任とな」


大層な態度のこの男こそ、私が成るべき地位にいる男だ。


「直ぐに分かる事だ。だが、逃亡させる訳には行かんからな」


私は私兵を奥に行かせる。残りの王族供を逃さぬ様にだ。


「アトリー公爵よ。貴公は何を求める?多くの血を流した後で何を求める」


王が私に問う。無論答えは決まっている。


「全てを」


そう答えた時、周りにいる大臣は狼狽するが王だけは私を見据えているのだった。


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