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パーティ登録したらCランクパーティになってしまった。ローラがAランクに対して、俺とスピアがD、Fランクだからだ。ただスピアなら直ぐにAランクになれるだろうけどね。俺も頑張ればBランクまで行ける筈だ。何せ銃が有るからな。
「まあ、俺は当分はDランクのままだけどな」
「え?何でよ。シュウはアンダーグランドに入っていたんでしょう?」
「口外し無い様に口止めされてるんだよ。だからアンダーグランドの功績も無い事になってるんだよ」
じゃないと何故俺がCランクになったのかと聞かれたら不味いからな。その代わりに大金を手に入れれたんだから文句は無いさ。
「なら今からCランクになれる様にするわよ!安心しなさい。私がフォローしてあげるからね」
「僭越ながら私も協力致します」
「プッキャ」
「大丈夫だよ。大抵の事ならM249軽機関銃で解決さ!」
俺は自慢のM249軽機関銃を見せる。この圧倒的弾幕は敵を殲滅出来る素晴らしくも頼もしい名銃だ。
「初めて見る古代兵器ね。然も背負ってる銃も新しいヤツじゃない?」
「そうだよ。M16A4も頼りになるアサルトライフルさ。この2つをメインでアンダーグランドを駆けずり回ったからな」
自慢の銃をローラに見せながら言う。
「へぇ、なんか私の狙撃銃と似てるわね」
「まあ、モデルは同じ物だからな。そうだ、後でSR-25とM92貸してくれ。整備やらないと危ないからな」
「やっぱりアンタ整備出来たのね。まあ、アンダーグランドで弄ってたものね」
「流石ご主人様です」
どうやらローラは俺が銃を整備出来る事を知っていた様だ。スピアはいつも通りの表情だからよく分からないけど。
「なら後で宜しくね。それより何か依頼受けるわよ!私達なら偶々偶然高ランクの魔物に出会ってしまっても倒せるわ!」
「俺も久々に気合入れて頑張るかな。じゃないと色々示しが付かないしな」
美少女2人に囲まれてるのにダラけてると情けなさ過ぎる。
「なら早速魔物狩りに出かけるわよ」
こうして俺達は王都近郊の魔物狩に行く事になった。
……
王都近郊 東の森
「確かこの辺りでレッドベアーが数体目撃されてるわ。レッドベアーはBランクの魔物だけど、私達なら大丈夫よ」
レッドベアーは熊型の魔物だ。強靭な身体に硬い毛に覆われている。また好戦的な魔物であり村や町を襲い甚大な被害を出す事もある。特に繁殖期になると周りの魔物や人を排除する為に更に凶暴化する。
「そう言えばスピアはサバイバルナイフとM92しか装備してないよな。何か銃使う?サブマシンガンのUMPとショットガンのモスバーグM500があるけど。何なら両方使っても良いよ」
俺はUMPとモスバーグM500を見せる。スピアとローラは物珍しそうに眺める。
「そうですね。なら両方使わせて頂きます」
そう言うとスピアは銃を両方受け取る。
「使い方は分かる?」
「はい。このタイプの古代兵器は扱った事があります」
どうやら銃の扱い方を教える必要は無いみたいだ。俺達の装備はこんな感じになる。
ローラ・ブルフォート
SR-25狙撃銃
M92
魔法の指輪
精霊付きのナイフ
魔法の指輪は無詠唱で魔法を扱える物だ。特にローラの場合は精霊の力も加わる為、銃よりも威力、使い勝手共に良いだろう。更に精霊付きのナイフは主に精霊の力を直ぐに借りる事が出来る代物だ。
スピア
UMP
モスバーグM500
M92
サバイバルナイフ
スピアは気配を消すのに特化している。また、身体強化も扱える為近接戦闘では無類の強さを持っている。更に多少なりとも火、風属性の魔法は扱えるとの事。
クロ
UMP×2
M92
ニューナンブM60
サバイバルナイフx2
闇魔法は扱えないが、闇系の魔法に対しては無敵を誇る。更にスライムなのに火力が高いのだ。コレだけでも充分な戦闘力が有るだろう。
シュウ・コートニー
ミニミ軽機関銃
M16A4
M92
サバイバルナイフ
手榴弾3個
(PDA内の武器は除く)
俺が今装備してる武器だ。メインはミニミ軽機関銃になるだろう。更にM16A4も充分な火力が有るから頼もしい限りだ。全員の装備が整った所で、改めてレッドベアーの探索をする。暫く森の中を探索するがレッドベアーは見当たらない。ただ他の魔物すら見当たらないのは少し可笑しい。
「変ね。レッドベアーは確かに凶暴だから他の魔物が逃げる事はあるけど、全然見当たらないのは可笑しいわ」
「確かにそうですね。なら私が一度周辺の偵察に向かいましょうか?」
「そうだな。ならスピア頼む」
「畏まりました」
スピアの気配が消える。正直目の前には確かに居るのが分かるけど、本当に存在感が希薄になる。
「それでは失礼します」
スピアの声が聞こえたの同時に見失った。改めてサイレントラビットの本質を垣間見たが、真似出来そうに無いな。
「流石はサイレントラビットね。全然気配が読めなかったわ」
「凄いよな。然もスピアは格闘も強いんだぜ?然もこの前黒ずくめの集団に襲われたけど無双してたし」
「襲われた?何か有ったの?」
「スピアの主人だった高級奴隷商人のウィリスさんが襲われたんだ。目的はウィリスさんとスピアだったらしいけど」
「スピアを側に居させて大丈夫なの?」
ローラが心配そうに言う。確かにまた黒ずくめの連中が襲って来るかも知れない。けど大丈夫。
「スピアは勿論だけど、俺も戦えるからね。後はクロも居るから何とかなるさ」
それに武器の装備も大分充実してるからな。後は切り札の戦車も有るから大丈夫さ。
「そう。まあ、あんた達だけだと心配だから私も戦って上げるわよ。それに、1人で抱え込むより私にも頼りなさい」
少し頬を染めながら言うローラ。やだ、可愛いんですけど。
「ありがとな。アンダーグランドでも凄く助かったからな。改めて宜しく」
「ふん。任せなさい!私が居れば百人力よ!」
ローラは胸を張って言ってくれる。正直頼もしい事この上無かった。
「只今戻りました」
「うひゃ!びっくりした。スピアか、ご苦労様。それで如何だった?」
俺の背後からスピアが声を掛ける。だけどもう少し存在感を出してから声を掛けても良いんだよ?
「はい、この辺り一帯にはレッドベアーは居ませんでした。しかし、前方へ歩き続けるとオーガが2体居ます」
「オーガですって!?王都近郊なのに。全く!警備隊や軍隊は何やってるのよ!」
「落ち着けって。若しかしたら最近来たかも知れんだろう。それでだ、俺達でオーガは倒せるか?」
俺はローラを落ち着かせながらスピアに聞く。
「はい、可能でございます。恐らくご主人様の銃でも対抗出来るかと」
スピアはミニミ軽機関銃を見ながら言う。ならば、やるしか無いな。
「なら俺とクロで派手に撃ちまくって囮になる。その隙に2人はオーガの背後から攻撃してくれ」
「プッキャ!」
「分かったわ」
「畏まりました」
「よし、ならば早速狩りに行くぞ!」
こうして、レッドベアーからオーガに目標が変わった。しかし、やる事は変わらん。暫く歩き続けると少し開けた場所に出た。そして、その場所に陣取る2体のオーガが居た。大きさは5メートルぐらいは有るだろうか。赤黒い肌色に凶悪そうな顔にデカイ牙が生えている。ツノも2本生えているし、馬鹿でかい木の棍棒を持っている。
俺はミニミ軽機関銃のハイポットを立てながら伏せる。しっかり狙いを付ける。距離は250メートルといった所だろう。ドットサイトで狙いを付けながらふと思い出す。バレットM82A1で倒せないかと。俺はバレットM82A1を取り出し再度構え直す。そしてオーガの頭に狙いを定めて引き金を引く。
銃口から凄まじい銃声が鳴り響いたのと同時にオーガの頭が吹き飛び、血吹雪が舞う。隣のオーガは何が有ったのか理解していなくて硬直している。その隙を逃すつもりは無い為、狙いを定めてすぐに引き金を引く。そしてあっさりとオーガを仕留める事が出来たのだった。
……
「いや〜まさかこうも簡単に仕留めれるとはな」
「ちょっと、私の華麗な戦いを見せれなかったじゃ無い!」
「流石ご主人様です」
オーガを倒した後一旦全員集合する。
「でもバレットM82A1はアンダーグランドの化け物には効果薄かったんだよな」
「あ、あの化け物ね。確かにその銃を食らっても平気そうだったものね」
「そう言えばオーガの強さはどの位なんだ?」
ふと気になり聞いてみる。オーガと言えば昔から聞いた事ぐらいは有るからな。
「Aランクになるわ。普通は何人も束になって倒す魔物だもの。因みにアンダーグランドの化け物はSクラスかそれ以上よ。それに一番弱い化け物でもBクラスだと言われてるわ」
ローラが更に詳しく説明してくれる。要はアンダーグランドと言う場所が危険な所なのだ。暗く、明かりが無い状態なのに敵は平然と攻撃してくる。地上のゴブリン的な立場の化け物ですら、耐久性や攻撃性は断然上なのだ。
「にも関わらず地上に出て来ないから不思議なのよ。どの研究者も明かりが苦手だから地上に出ないと結論付けてるわ」
そうなのだろか?尤も、俺はそうは思わない。地上が核の汚染で住めなくなった。今でも放射能が高い場所はごまんと有る。つまり、地下の方が安全と考えているのでは無いか?彼等は遺伝子の中にまで刻まれてるのだろう。核に対する恐怖心が。
「取り敢えず目的は達成した訳だが、もう少し探索するか?」
「そうね。今度は反対側の西の方に行きましょう。あっちは草原だけど大丈夫よ」
そうと決まればオーガの討伐部位を取り、俺達は西の方に向かうのだった。草原での戦闘も一方的な戦いになる。魔物はオークを始めリザードマンやコボルトが集団で襲ってくる。しかし、ミニミ軽機関銃の弾幕にM16A4の射撃、ローラの魔法やスピアの格闘により魔物狩りは順調に進んで行く。因みにクロはリュックの中でお留守番状態だ。
「そろそろこの辺りで引き上げるか?」
「そうね。この辺りの魔物は大方狩り尽くした筈よ」
「その様ですね。少なくとも私達の周辺には気配はありません」
こうして俺達の初めてのパーティ活動は成功したのだった。
……
ギルドに着き討伐した魔物を換金する。それなりの魔物を討伐した為中々の金額になった。そして、スピアの冒険者ランクがEランクに上がった。たった1日でEランクになれたのは上位ランクの魔物ばかり倒したからだ。
「そう言えばシュウ達は何処の宿に居るの?」
「この通りを少し歩いて左手にある安宿だよ。ただ今日宿を引き払って、もう少しマシな宿に泊まるよ。出来ればお風呂付きが良いしな。スピアもそう思うよな!」
「はい。お風呂付きだと嬉しいですね」
スピアは軽く笑顔になる。毎回思うけどスピアの笑顔は結構レアだよな。
「なら私が居る宿にする?ちょっと値段は高めだけど、この調子で稼いで行けば大丈夫よ」
「そうするかな。一緒の宿ならいちいち待ち合わせる必要は無くなるし」
「なら決まりね!早速行きましょう!」
ローラは俺の手を掴み小走りで宿に向かう。
「おいおい、宿は逃げないから大丈夫だろ」
「良いから早く行くわよ!」
まあローラが嬉しそうだから良いか。それから俺達はローラが泊まってる宿に2部屋借りだのだった。
小話
「じゃあ部屋を2つお願い「1部屋で大丈夫です」…良いの?」
「はい、構いません」
ちょっとだけ頬を染めてるスピアちゃん。やだ、この後の展開に胸が膨らむんですけど!
「はい、構いませんじゃ無い!ダメに決まってるでしょう!?」
「大丈夫です。ご主人様の欲望は全て受け入れますから」
「もっとダメじゃ無い!シュウ!あんたまさか手出したとか言わ無いわよね?」
ローラが凄まじい勢いで睨んでくる。だが、俺は冷静だった。
「ふぅ…人はいずれ成長して行くものさ。若い男女が1部屋に泊まれば自ずとやる事は決まって「ライトニングボルト!!!」ぴいぎあああああああ!?!?」
「プギャアアアアアア!?!?」
俺のとばっちりにクロが巻き込まれる。いや、リュックから逃げ出そうとしたが間に合わなかった様だ。すまないクロよ、後でポーションあげるからな。
この後ローラにめちゃくちゃお説教された。
……
パーティを結成して2週間が経った。その間にスピアはEランクになる。そして、遂に俺もCランクになる。但し、此処から先が大変なのだ。冒険者はBランクに上がるとそこそこ認められるからだ。つまり、それだけ難しい試験内容がある訳だ。
「まあ、なる様になるしか無いよな」
未だ茶色のギルドカードを見ながら呟くのだった。




