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外に出て暫く休んだ後はバイクを出してメイフィスに向かおうとしたが、正直今の自分はかなり寝不足な為フラついているので徒歩で向かう。安全第一で行くのは大事だからね。そして遂にメイフィスが見えた。未だにレイス艦が停泊しているが、やっぱり戦力の立て直しに時間が掛かってるのかも知れないな。しかし、工業都市と言われてるだけあって遠目から見てもやる事が豊富にあるのだなと分かる。沢山の建物の煙突から煙が出てるからな。尤も、住みたいかと聞かれれば遠慮するよ。だって布団とか干したら煙臭くなりそうだし。

どうでもいい事を考えながら工業都市メイフィスに入る。先にギルドに向かう事にした。その後は適当な宿で爆睡して、次の日には王都に向かう予定だ。時間は15時頃だった為ギルドに冒険者達は殆ど居なかった。しかし、隅っこの方で泣いている青年を数人が慰めていた。


「うっ…き、教官…俺は、本気で」


どうやら教官にでも愛の告白でもしたのだろう。残念ながら振られてしまった様だが。俺はそのまま受付に行きギルドマスターに会えるか確認を取る。すると直ぐに案内された。どうやら向こうも会いたがっていた様だ。


「ギルドマスター、コートニーさんを連れて来ました」


「中に入ってくれ」


俺は軽く深呼吸をして中に入る。中にはギルドマスターのサイラスさんのみ居た。


「漸く来てくれたか。正直ダメだと諦めかけていた所だったよ」


「時間が掛かりましたが何とか安全な通路は確保しました。ついでに他の通路も探索しましたので」


「ほう。それは期待しても良いのかな?」


「探索自体は難航しましたが、紙とペンがあれば地図なら描けますよ」


「ふむ、なら地図は明日提出して貰おう。先ずはアンダーグランドの状況を頼む」


俺はアンダーグランドの状況を説明する。先ずは幻覚などが見える事。そして、幻覚に飲まれると死ぬ可能性が高い。化け物も大量に存在してる区画もある事。確実に排除するにはしっかりとした準備に装備が必要になる。更に、別格の大型の化け物の存在もいる事。


「別格のか。大型タイプがいるのか?」


「はい。少なくとも生半可な攻撃は意味が有りません。逆に威力が高ければトンネルが崩壊する可能性が有ります」


その言葉を聞き顔を顰めるサイラス。


「倒す方法はあるのかね?」


「自分の場合は敵の内側から攻撃して倒しました。あ、因みにこれがその化け物の頭です」


PDAから頭を出す。しかし、相変わらずエゲツない表情してるよな。


「コレは…見た事が無い魔物だな。まさか、この魔物を君が?」


「まあ、何とか倒せました」


その言葉を聞いたサイラスは唖然とした表情をする。


「それで報酬の方はどうなります?今直ぐ貰えると助かります」


「それはダメだ。先ずは本当に通路確保が出来てるか調査する必要がある」


言われてみれば確かにその通りだ。俺が嘘を吐いてる可能性があるしな。


「分かりました。調査はいつ?」


「今日の夜には確認作業に入る。その時は君にも同行して貰いたいのだが?」


「構いません。ならギルドが閉店したぐらいにまた来ます」


俺はそう言って立ち上がる。正直早く寝たいのが本音だ。


「それで構わない。コレで私の立場は確実な物になる」


サイラスが何かを呟くが気にしない。何故なら人にはそれぞれの目標があるのだ。その目標の為に努力したり利用するのは当たり前だ。俺もサイラスを利用して金貨500枚を何としてでも手に入れてみせる。

こうして俺はサイラスとの会談を終えて、弾薬などを大量に買い込む。何と言っても5.56㎜、45口径、12ゲージの弾薬の消費が半端ないのだ。買い込めるだけ買い込むつもりだ。その後に宿を探す。なるべく早く弾薬を買って休みたいし、身体も洗いたいのが本音だ。正直かなり臭う筈だし。



……


そして夜。しっかり睡眠を取り装備を整える。ミニミ軽機関銃にM16A4。更に手榴弾も装備する。クロもUMP、M92、ニューナンブM60の装備を確認させる。


「さあ、行くぞ。コレで最後にしたいものだがな」


「プキュ!」


俺達はギルドに向かう。そしてギルドに着くと数人が受付前の場所に居た。恐らく彼等がギルドマスターの子飼いの人達なのだろう。と言うか、ギルドに着いた時に泣いていた奴とその仲間達だった。それに丁度ギルドマスターのサイラスも来ていた。


「時間通りだな。なら早速確認しに行って貰おう。因みに君の持つ古代兵器もアンダーグランドで手に入れたのか?」


サイラスはミニミ軽機関銃を見て聞いてくる。


「そうですよ。尤も、近くには人間サイズの蜘蛛が大量に居ましたけどね」


「…そうか。なら早速確認作業に入ってくれ。因みに彼等は君と同行するメンバーだ。レイスガーディアンズからの優秀な助っ人…らしいがな」


「今一瞬吃りかけましたよね?」


「では諸君達の健闘を祈る」


「あ、無視しやがった」


こうして再度アンダーグランドに突入する。しかし、突入する前に自己紹介をする。こうする事で円滑な人間関係を築けるのだよ。


「どうも初めまして。今回アンダーグランドの通路確保が出来たかの確認作業に感謝します。自分は冒険者Dランクのシュウ・コートニーです。どうぞ宜しく」


そう言って手を差し出す。するとイケメン青年が此方をガン睨みする。


「っ!貴様…シュウ・コートニーと言ったか?」


「え?まあ、そうですけど」


その瞬間掴みかかって来たのでミニミ軽機関銃の銃口を向ける。


「何ですかいきなり!確認作業に協力してくれるんじゃないのかよ!」


「黙れ!貴様が居なければ、教官は出て行かなかったんだ!寧ろ何故貴様が此処に居るんだ!メイフィスに居ないんじゃないのかよ!」


「別に戻って来ても良いだろう?それに、教官が誰か知らんし。自分の恋路ぐらい自分でケリつけろよ。と言うかお前誰だよ!」


初っ端から険悪なムードになる。大丈夫か?こんな感じで?


「其処までだ。君達の話はアンダーグランドの状況を確認してからやりたまえ。さあ、急ぎたまえ」


「チッ、逃げるなよ」


青年は俺にガン付けしてから仲間達の元に戻る。


「何だかなぁ。不安しか無いんだけど」


これはサッサと終わらせてお金貰ってトンズラしよう。それに此方には戦車があるんだ。いざとなれば吹き飛ばすまでだ。こうして俺達はアンダーグランドに潜入するのだった。


……


アンダーグランドに踏み込むレイスガーディアンズのメンバーは周りをキョロキョロと見渡す。俺はそれを無視して先に進む。


「距離的には大した事はありません。徒歩で大体1時間半ぐらいでしょう。さあ、サッサと終わらせて帰りましょう」


俺はそう彼等に言って先に進む。まあ、照明用の魔石があるから迷う事は無いだろう。


「待て!団体行動しないと危険だぞ!」


先程の青年が俺に声を掛ける。正直意外と思ってしまった。


「まぁ、別に良いけどさ。兎に角早く進もう」


「まあ、待てよ古代兵器使い。俺達はアンダーグランドなんて初めて入った訳だ。多少なりとも見て行きたいと思う訳よ」


中年ぐらいの戦士の人が言うと、それに同意して全員が頷く。まさか、こいつら。


「アンダーグランド観光したかったとか?」


「ついでにお宝を手に入れればラッキーだがな!ガッハッハ!」


こいつら良い根性してるよな。


「因みに古代兵器使いって何?」


「お前さんの事に決まってるだろう?そんな凶悪そうな古代兵器ぶら下げてるんだ」


ミニミ軽機関銃を指差し言うおっさん。しかし古代兵器使いか。あながち間違って無いのかな?


「はあ、程々で頼みますよ」


しかし俺の呟きは軽くスルーされ、彼等はトンネルの中を探索しまくったのだった。


……


暫く歩くと二手に分かれている場所に来た。片方には魔石がある方だが、もう片方は亀の化け物に最初に出会った場所に繋がる訳だ。勿論安全な通路に向かう。


「おい、コッチには行かないのか?」


「そっちの先は通路が崩れてるからロープか何かが必要だ。まあ、俺が居ない時に好きなだけ探索すれば良いさ」


別にアンダーグランドに固執してないからね。


「つまり、まだ未探索な訳か?」


「多少は探索したが、まだ未探索が多いから危険だぞ」


彼等は暫く其方の方を見ていたが諦めて先に進んだ。


「しっかし敵が全然見当たらねえな。正直拍子抜けだぜ」


「本当ね。折角こんな夜遅くにアンダーグランドに入れたのに。これじゃあ本当に観光よ」


何やら愚痴を言ってるようだ。別に敵が出て来ないなら良いと思うけどな。


「これならダンジョンの方が歯応えがあるしな。全く、つまらん所に来ちまったな」


「もしかしたらさ……ならあるんじゃない?」


「かもな……なら早く終わらせるか。良し!おい、古代兵器使いさっさと確認作業を終わらせようぜ?退屈で仕方ねえしな」


そう言って彼等は駆け足気味に先に行く。まあ別に構わないけどさ。こうして俺達は通路確保の確認作業を早々と終了させた。しかし、問題が発生した。何と、出口に来たら半分の人数が居なかったのだ。


「おい、他のメンバーは何処に消えた?」


「あー、多分未探索の場所に行ったと思うぞ?まあ、俺達が報告で大丈夫だったと伝えるからさ見逃してくれよ」


別に見逃すのは構わない。だが、余りにも危険過ぎる。


「今直ぐ追いかけるぞ。彼等が危ない」


「大丈夫だって。彼奴らは下手な敵には遅れは取らないさ。それよりこの事は黙ってろよ」


俺を睨み付けてくるレイスガーディアンズのメンバー。因みにその中にはあの青年も居た。


「この責任はお前達にある事だけは約束しろ。そうすれば黙ってる」


「別に構わないさ。なら決まりだ」


俺達は工業都市メイフィスに向かう。多分今戻っても門は閉まってると思うけどな。


「なあ、門が閉まってるから俺達は野宿なのか?」


「いや、俺達はレイス艦に戻る。まあ、アンタは野宿だかな」


何てこったい!まあ、別にテントはあるしクロも居るから問題無いけどさ。因みにクロはお眠の時間なのでリュックの中で寝て居ます。こうしてメイフィスに着いたら俺達は一旦分かれる事になった。まあ、野宿に関しては恨みはしないさ。ただ、夜道には気をつけるんだな!いつでも狙ってやれるんだからな!

それからテントを張り中に入って地図を書く。約束してたしね。様々な連中の思惑が渦巻く中アンダーグランドの地図を書く。この地図だけでも価値はあると思いたい。


……


次の日朝一に目覚めてメイフィスに入る。正直寝溜めしていなかったら二度寝していただろう。ギルドは相変わらず混雑していたが我慢した。だが受付嬢達は素早く丁寧に対応しており思ったより早く受付に来れた。


「おはようございます。シュウ・コートニーです。ギルドマスターに会いたいのですが」


「分かりました。此方から連絡しておきますのでどうぞ中に」


「ありがとうございます。それでは」


人混みを掻き分けて何とか職員用の区画に入る。ようやく一息つけた。さて、此処からが本番だ。頑張るぞ!

自分に気合を入れてギルドマスターのサイラスに会いに行くのだった。


「おはようございます!シュウ・コートニーです!」


「入ってくれ」


ドアを開けて中に入る。サイラスは手を組みながら顎を乗せてそれっぽい雰囲気があった。


「アンダーグランドの通路確保ご苦労だったな。今朝方レイスガーディアンズから連絡があってな。安全が確認された様だ。改めて礼を言おう」


「そうですか。まあ、此方としては金貨500枚が手に入れば問題有りませんので」


「分かっている。因みにまだ未探索の場所に関してはどうなっている?」


「自分には何とも言えません。全てを見て来た訳では有りませんから。あ、因みにコレが地図になります」


それなりに詳細を書き込みながら地図を書いた訳だから結構な力作になっている。


「ふむ、中々広い様だな。この赤い線が安全な通路か。そして残りが殆ど未探索な訳か」


サイラスは暫く地図を見ていたが、目を離し此方を見る。


「ご苦労だったな。約束の金貨500枚…と言いたい所なんだが、まだ完全に用意出来てないのだ」


それは素直に困る。5日後には奴隷オークションが開始される筈だ。つまり時間が無いのだ。


「ならこの魔石を売ります。これで用意出来なければ、あんたは無能だよ」


俺は亀の魔石を出す。


「直ぐに用意しよう。待っていてくれ」


サイラスは立ち上がり部屋から出て行く。やっぱりこの魔石結構な値段がするのね。


「待たせたな。約束の金貨500枚だ」


「もう一声いけますか?」


「はあ、そう言うと思っていたからな。金貨700枚だ。これ以上は…分かるな?」


俺は素直に頷く。これだけあれば多分大丈夫だ。それに目標額は十二分に達成出来たしな。


「それと、分かってると思うが今回の件は他言無用だ。良いな?」


「勿論です。俺は約束を守ります」


他の連中に関しては知らんがな。どう考えても昨日の連中はダメだっただろうに。そんな事を考えて無いのか気にして無いのか分からないが金貨700枚を俺に渡す。


「では、自分はこれで失礼します」


「うむ。感謝する」


やれやれ、朝から色々疲れたが別に良いか。


「クロ、折角早起きしたんだから今から美味いもんでも食べに行くか?」


「プキャ!プキャ!」ポヨンポヨン


お金には余裕が有るのだ。多少豪勢な食事にしてもバチは当たらないだろう。


所持金、金貨1392枚、銀貨42枚、銅貨沢山。


「さーて、何処に行こうかな?迷うよな〜」


「プキャ!」


こうして俺達は豪勢な食事をする事にしたのだった。

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