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Qこの世界では魔法は銃より弱いの?


Aいいえ、強いですよ。まあ、どんな武器、魔法も状況や扱い方次第で化けますからね。

俺達は何とかウィリスさんの屋敷に着いた。屋敷は煉瓦作りで三階建。庭も広く芝生が綺麗にされていたし、然も噴水付きだった。更に高い鉄柵に囲まれており侵入者を防げるだろう。


「此処がウィリスさんの屋敷か。デカイですね」


「まあ、一応この屋敷は王都にある訳だからね。それなりの見栄は必要なのさ。さあ、中に入ってくれ」


そう言うとウィリスさんは門に手をかざす。すると、門は自動で開いた。


「わお!コレは魔法でですか?自動ドアとか凄いな」


「そうかね?ようこそ、我が「お帰りなさいませウィリス様。コートニー様も護衛ありがとうございます。さあ、どうぞ屋敷へ」…可笑しいな?以前はこの様な事は無かったんだがね」


俺達より早く屋敷にスピアさんは居た。やはりスピアさんの実力は生半可な物では無い様だ。


「兎に角中に入りましょう。外は危険ですからね」


「そうだな。話は後からにしようか」


俺達は屋敷にバイクを走らせる。だが、きっとこの後も戦闘はあるだろう。無くとも近い内に来る。確信は無いし、唯の思い過ごしの可能性もある。だけど俺の勘がそう言ってる。なら、俺はそれを信じるだけだ。


……


ウィリスさんの屋敷は想像以上に豪華で綺麗だった。天井にはシャンデリアがあるし、二階に続く階段が左右に繋がってる。壁には肖像画や高価そうな壺があるし。更にメイドと執事が左右に並び、お出迎えの体制をとっていた。そして、真ん中にスピアさんが居た。


「「「「「お帰りなさいませ。ウィリス様」」」」」


「うむ、諸君ご苦労」


「先ずはウィリス様、着替えの方をして来てください。さあ、コートニー様は此方の部屋へ案内します」


スピアさんがそう言うと他のメイド達はウィリスさんに付く。執事達は静々と仕事に戻って行く。俺にはスピアさんが案内してくれる。ちょっと嬉しい。


「しかし、凄く立派屋敷ですね。何だか迷いそうですよ」


「この屋敷は此方側に住む為の別邸になります。本邸は転移門をくぐった彼方側になります。彼方側の方が立派ですよ?」


「へぇー。いつか彼方側の方に行ってみたいな。本場の魔法使いとか凄そうだし」


「確かに魔法使いは彼方側の方が多いですが、此方側の魔法使いと大差ありません。強いて言うなら使い手は彼方側の方が多い事と、多少マシな魔法使いが居るぐらいですね」


「なら、今日戦った黒い連中はどうなんです?」


今日戦った連中も結構手こずったしな。


「彼等は充分な戦闘力を持って居ます。しかし中には1人で万の敵を葬ったり、城壁を破壊したりする本物の化け物クラスが居ます。そう言った人物は大抵は国に仕えたりします。後はSランク冒険者ぐらいでしょう」


え?歩く戦術兵器ですか?


「魔法は凄いな」


素直に思ったのだった。


「さあ、此方の部屋になります」


ドアを開けて中を見る。質素であるが、決して貧しい雰囲気は無い。窓からは庭が見えベッドに机、魔法石の明かりも有り落ち着いた雰囲気のある部屋だった。


「プキュ!」


「おっと。クロも無事だったか。良かったな」


「プキュ!プキュ!」


クロは俺の胸に飛び込んで来てスリスリと甘えて来る。クロを撫でると嬉しそうだ。


「それでは、お食事が出来るまで少々お待ち下さい」


失礼しますと言ってスピアさんは部屋から出て行く。


「さて、これから先どうするかなぁ。取り敢えず銃の整備でもするかな。クロも銃を出しな」


「プキュ」


俺はクロの持つ銃から先に整備するのだった。


……


銃の整備を終えてから、PDAでバイクを直し終えると日が暮れ始めていた。綺麗な庭だが、この場所が戦場になりそうな予感がしてならない。


「ま、成るようにしか成らないんだろうけどな」


自分に出来る事をやるしか無い。勿論人殺しなんてしたくは無い。だが。


「死なせたく無い人達が居る訳だしな。それに、俺も無関係では要られないだろう」


それに俺も敵を何人も殺した訳だからな。それなら腹をくくるしか無いだろう。だから後悔しない様にやるだけだ。

自分の中で改めて覚悟を決めてると、ドアのノックの音が聞こえた。


「コートニー様、お食事の用意が出来ましたま」


どうやらスピアさんが呼んできてくれた様だ。


「分かりました。今行きます」


俺はクロを頭の上に乗せてスピアさんの元に行く。


「それでは案内します」


俺はスピアさんの後に続く。


「そう言えばスピアさんも無事で良かったですよ」


「私は大丈夫です。それと、此方の武器をお返しします」


スピアさんはサバイバルナイフとM92を俺に渡す。だが、俺はそれをスピアさんに押し返す。


「それ上げます。出来ればスピアさんに使って貰いたいです。暫くは必要になるでしょう?」


「宜しいのですか?」


「ああ。構わないよ」


「分かりました。暫くお借りします」


スピアさんはサバイバルナイフとM92をスカートの中に一瞬で仕舞う。クッ!中は見えなかったか。


「では、付いて来てください」


そんな俺をスルーして行くスピアさん。いやはや、手厳しいっす!スピアさんと話しながら目的の部屋まで来る。


「どうぞ、此方になります」


ドアを開けるとウィリスさんはもう席に着いていた。此方の部屋にも贅沢な置物や魔物の剥製が飾って有る。更にスナイパーライフルのレミントンM700、アサルトライフルM16A4、ショットガンのウィンチェスター モデル1897が飾られてある。他の壁にも色々な武器や装飾品が飾られてる。


(うお!M16A4にレミントンM700じゃん!他の銃も見た限り状態良さげだ)


「コートニー君、今日は色々世話になった。礼を言おう。さあ、食事にしよう」


ウィリスさんが鈴を鳴らすと、次々と料理がやって来た。サラダやスープにパン、更にステーキや高価そうなワインなど色々出て来た。


「ウチの自慢のシェフが作った料理だ。口に合えば良いのだがね」


ウィリスさんは謙遜気味に言うが、中々滅多に食べれる物じゃあ無いだろう。


「それでは、頂こうか」


その瞬間、俺とクロは滅多に食べれる事の無い料理に食い付いたのだった。


……


暫く食事をしながらウィリスさんの昔話を聞いていた。そして、落ち着いた頃に本題を切り出して来た。


「コートニー君。今回の件は色々迷惑を掛けてしまって申し訳ない。彼等はスピアと私の身柄が目的だったのだ」


この後ウィリスさんから今回の襲撃の話がされた。彼等の目的はスピアさんとウィリスさんの何方かを確保する事だった。一番の目的はスピアさんの確保で、次にウィリスさんを確保だった。ウィリスさんだけでも確保出来れば人質交換出来る可能性もあるからだ。


「今日は君に迷惑を掛けてしまって申し訳無かった」


ウィリスさんとスピアさんは頭を下げる。


「ウィリスさん。多分ですけど、自分も無関係では終われないでしょう。少なくとも敵を何人か殺しました。ですので、自分を保護して欲しいです。勿論、タダで守ってくれとは言いません。ウィリスさんとスピアさんの護衛をやらせて下さい」


「良いのかね?」


「はい、構いません」


恐らく逃げ切る事は難しいだろう。なら、ウィリスさん達と一緒に居た方が良い。それに、知り合いが狙われていて見捨てるのも気が引けるからな。


「分かった。なら宜しく頼むよ。そうだな…何か欲しい物とかあるかな?此方で用意出来る物なら用意しよう。せめてもの償いだと思って欲しい」


「用意出来る物なら何でも良いのですか?」


「勿論だ。ただ、場合にもよるがね」


ちょっと苦笑い気味になるウィリスさん。大丈夫ですよ。無茶は言いませんから。


「なら、彼処に飾られてるアサルトライフルを下さい」


俺はM16A4を指差す。アサルトライフルが手に入れば、今後も間違い無く戦い易くなるだろう。


「あの古代兵器で良いのかね?」


「勿論壊れて無ければですけど」


「分かった。スピア、彼に見せてあげてくれ」


「畏まりました。どうぞ此方になります」


スピアさんはM16A4を俺に渡す。俺はM16A4の内部をライトで見たりして確認する。多少汚れていたりしてるが機能しそうだ。それに、スペアパーツが有るし大丈夫だろう。無ければPDAでニコイチすればイケる。


「この銃で大丈夫です。なら暫くお世話になります」


「此方こそ宜しく頼むよ」


M16A4

装弾数 30発

5.56×45㎜NATO弾使用


この後弾薬を貰いながら敵についての詳細を聞く。


「恐らくだが、国か軍の…若しくはその両方の上層部に影響力がある人物が主犯だろう。この騒ぎの中でも警備隊は動く気配は無かったそうだ」


普通アレだけ騒ぎが有れば警備隊が動く筈だが、全く動きは無かったそうだ。


「恐らく近い内にスピアを手に入れる為に無茶を言い出す者が現れる筈だ。尤も、無茶を言う者は多いのだがね」


つまり主犯を絞り込むのは少々厳しい訳か。


「分かりました。自分は自分に出来る事をします」


「それで構わないよ。ただ、我々だけで無く君自身も気を付けて欲しい」


こうして俺は暫くウィリスさんの所にお世話になる事になった。自分から人を殺す事を選んだ。だが、後悔はしていない。死なせたく無い人達を守りたいからだ。


……


side ウィリス


コートニー君が部屋に戻った後、私はスピアと話をしていた。


「スピア、奴等について他にもあるのだね」


「はい。私達は勿論の事ですが、コートニー様の持つ古代兵器も目標でした」


私は手で目を覆い上を見る。


「何とまあ。彼は運が無いと言うか何と言うか」


コートニー君についても少し調べて見た。すると中々波乱な人生を送っている様だった。

先ずは賞金首付きの盗賊と対峙する。これは私達が巻き込んでしまった感じだ。次にアンダーグランドにて二度の生還を果たす。然も彼は無魔で有りながらアンダーグランドから生還したのだ。最近旅団レイスガーディアンズが人員補充に躍起になってるのも例外では無いだろう。最後に、古代兵器を扱ってる。コレだけなら大した事にはならないだろう。しかし、彼が扱ってる古代兵器は全て状態が良いのだ。

最初はアンダーグランドで見つけたと思っていた。しかしスピアからの報告では自分で整備、修理を行ってる可能性が高いのだ。古代兵器を整備、修理出来る人間は殆ど居ない。だが彼が古代兵器を修理出来るなら国や組織は放っては置かないだろう。


「彼は一体何者だろうかね」


「私には分かりかねます」


私の呟きにスピアは目を伏せる。彼の情報はまだ調べたばかりだが、過去の情報は無いのだ。恐らくかなりの田舎から来たのだろう。


「だが、田舎にそんな知識が眠ってるのか?いや、それこそ有りえん」


結局彼については不明な点が多いのだ。まあ、悪い人物では無いだろう。


「スピア。コートニー君の専属メイドに任命する。暫く彼のサポート及び情報収集に当たれ。もし、敵対者なら始末しろ」


「…畏まりました」


スピアはそう言うと彼の元に向かう。


「やれやれ、スピアに嫌われてしまったかな?」


スピアは彼を気にしてる。そんな彼を場合によっては殺せと言われれば仕方無いだろう。私も護衛の執事達を呼び書斎に向かう。スピア程では無いが充分な戦力だからな。


side out


side スピア


私はコートニー様の専属メイドに任命されました。しかし、実際は情報収集がメインでしょう。ふとサバイバルナイフとM92を思い出し、取り出します。何の変哲も無いナイフにほぼ完璧な古代兵器。


「貴方は一体…」


ウィリス様から頂いた報酬も飾られてる古代兵器だった。決して状態が良い訳ではない。


「まさか…」


私はコートニー様の元に向かいます。そしてドアをノックします。


「どうぞ」


「失礼します」


私はコートニー様の部屋に入ります。そして、目にしたのは多少見た目が変わった古代兵器だったのでした。しかし、間違い無く報酬として渡した古代兵器です。


「どうかしましたか?」


「っ!本日よりコートニー様のお世話をさせて頂きます。宜しくお願い致します」


「え!スピアさんが!?いやー、何と言いますか…此方こそ宜しくお願いします」


そう言いながら頭を下げるコートニー様。


「あの、その古代兵器は?」


「ん?あぁ。良いでしょう?グリップとライトを取り付けたんですよ。後は中身も綺麗にしてるから新品同様ですよ!いやー、欲しかったアサルトライフルだったから嬉しいもんだな」


とても嬉しそうに言うコートニー様。私は…。


「それは良かったですね」


相槌を打つしか出来そうに有りませんでした。間違いありません。彼は古代兵器を直しただけで無く、強化もしているのだと。この事を報告する必要があるでしょう。しかし、私は報告したく無いと思ってしまう。嬉しそうに笑うコートニー様を見て、私は私自身どうすれば良いか迷ってしまうのでした。


side out


side サッチ


やれやれ、とんだ失態を犯してくれましたね。まさか全ての目標の確保に失敗するだけで無く、半分以上の犠牲が出てしまうとは。


「さて、この現場の隊長はどうしましたか?」


「恐らく敵に捕縛された物かと」


なら、そいつも始末して仕舞いましょう。


「では皆さん、今夜強襲を掛けます。目標は君達の元隊長を始末する事です。まだ全ての情報は吐いてはいないでしょう。しかし、これ以上情報を吐かせる機会を与える訳には行きませんからね」


部下達は唯頷くだけだ。


「次に機会が有ればルピノ・ウィリスの確保。それ以外は必要有りません。では、皆さん準備して下さい」


そう言うと部下達は部屋から出て行く。


「全く、無能を部下にすると色々面倒な事になるから嫌なんですよね」


さて、今回は私も出ますかね。


私も準備をする為に部屋を後にしたのだった。


side out

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