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次回の更新は7月1日0時になります。
ストック切れの為ご了承下さい。
バイクを走らせて馬車やら何やらを一瞬で抜いて行く。誰も追い付けないし、追いつけるわけが無いのだ。暫く走ると小さな町が見えたので、今日は此処で宿を取る事にする。門まで来て止まる。すると門番が此方に走って来た。
「おい、それは…魔導車なのか?」
戸惑い気味に聞いてくる。
「ん?んん〜まあ、そんなモンだよ」
バイクに関して説明しても、どうせ理解出来ないだろうから適当に言っておく。
「そうか。しかし、中々煩い音を出していたからビックリしたぞ」
そう言って元の場所に戻って行った。
「音煩いのか。この音が良いんだけどな」
町中で吹かすのは止めておこう。暫くして町に入る。そこで水を大量に補給する。ただ此処で水素製造機を動かすと、音で町の住人を驚かせてしまうので止めておく。
「でも水素に余裕がある訳じゃ無いしな。なら外で水素製造機動かすか」
そうと決まれば宿を確保してから、外に出る事にした。
「そう言えば、まだCDプレイヤーの修理が完成出来ないんだよな」
CDを読み込むレンズの素材が無く直せてない状態だ。早く直して音楽聴きたいもんだな。バイクを出してエンジンを掛ける。うん、相変わらず良い音だ。俺はそのままアクセルを回して外にでたのだった。
途中特に魔物とも出会う事は無かったので、平和そのものだった。いや、若しかしたらバイクの音に警戒して隠れたのかも知れない。
「この辺なら大丈夫だろう」
暫く水素製造機を起動させ水素を作り貯めしておく。
「平和だな〜。暫くバタバタしてたもんな」
アンダーグランドでUMP見つけて、調子乗ったら手痛い目に遭って。それから再度アンダーグランドに潜りローラと一緒に脱出劇。最後はローラが旅団を抜けるらしいな。
「ローラの奴、怒ってるかなぁ」
多分最初は怒るだろうけど、その内俺の事なんて忘れるだろう。それにもう直ぐAランクの冒険者になりそうな雰囲気だったし。 それなら俺と一緒に居るより楽な人生送れるだろうしな。
「しかし、あんな美少女の誘いを蹴るとは。俺も大概勿体無い事してるよな〜」
もしかしたら、其処から恋愛に発展するかもだし!でも、エルフと人間とでは寿命が違い過ぎるし。結局人は人でエルフはエルフが1番何だろうな。残される辛さはよく分かってるつもりだ。
「さて、ゆっくり待ちますかね。クロ椅子になってくれ」
「プキュ」
最近、クロは大きくなった為色々な用途に使える様になったのだ。因みに頭の上に乗りたい時は、縮小サイズにして乗る。それから暫く待って水素が貯まりPDAに収納して戻るのだった。
……
次の日、朝適当な時間に起きて徒歩で王都に続く門に向かう。今日の夕方過ぎにはラリア連邦の王都ミスティに着くだろう。しかし、丁度馬車乗り場の所を通ると若いメガネを掛けた男性の人が何やら困っている様子だった。
「王都行きのランドドラゴンの馬車は、もう無いんですよね?」
「残念ながらな。諦めて普通の馬車で我慢しなよ」
「それでは困るんだよ。後3日以内に王都に着かないとダメなのだ」
「確かにランドドラゴンならギリギリ間に合うな。若しくは飛竜かグリフォン辺りかな?魔導車は無理だな。燃料が足り無いし、そもそも此処に無いからな」
「くそ、何でこんな時に寝過ごしてしまったんだ」
寝過ごす気持ちはよく分かる。
「確かに二度寝すると気持ちいいから仕方ねえよ」
それに朝一のギルドには行きたく無いしね。
「いやいや、普通に寝過ごしたんだよ。二度寝じゃ無い…君は誰だい?」
誰と聞かれたら答えるしか無いね。
「冒険者Dランクのシュウ・コートニーだ。王都ミスティに行くんですか?」
「ああ、これは御丁寧に。私は魔導車両の技術開発部に所属しているオーソン・ローレンツと言います。それで急いで王都に向かわないと行けないんです」
「そうか。なら一緒に行きます?俺は今日中には王都に着く予定ですけど」
「ありがたいですが、3日以内じゃ無いとダメ…今何と言いました?」
「ですから今日中ですよ。一緒に行きます?」
「今日中ですか!行きます行きます!いやー、助かります!このお礼は必ずしますので」
「期待して待ってますよ。じゃあ行きましょう」
俺はローレンツさんを連れて門を出る。
「それで何で行くんですか?飛竜かグリフォンですかね?」
「いや、こいつです」
俺はバイクを出して跨る。そしてエンジンを掛ける。
キュルルル ブオオォン!!!
うん、相変わらず良いエンジン音だ。
「こ、これは…魔導車?いや、違う。魔力を感じない。なら一体何で」
ローレンツさんはブツブツ何か言ってる。
「ローレンツさん。ヘルメット被って下さい。それから、このリュックも背負って下さい」
「え?あ、分かりました」
そう言ってヘルメットを被りリュックを背負う。
「えっと、跨がればいいのですかな?」
「そうです。そしたら俺のお腹に腕を回して、そうそう。じゃあ、行きましょう!」
アクセルを回し走り出す。バイクは一気に加速して行き前を走る馬車を全てぶち抜いて行く。
「な、な、な!何ですか!この加速は!然も速いですよ!」
「気にしない気にしない。しっかり掴まって下さいよ!加速して行きますから」
更にアクセルを回し加速させる。
「す、凄い!魔導車両が、ただのガラクタに見えてしまいそうだ!こんな速いとは…一度設計を見直すべきか?」
ローレンツさんは何やら独り言を言ってる様子だったので、邪魔せず黙っておく。こうして俺達は順調に王都ミスティに向かって行ったのだった。
……
暫く走り続けたので、休憩と燃料補給をする。
「それ一体何なのかね?」
「これ?水素です」
「水…素?魔力でもなく、魔石でも無いのか」
またブツブツ独り言を言い出すローレンツさん。完全に研究気質の人だな。
「しかし凄いな。コレは新しいエネルギーなのだろう?一体どうやってこの水素とやらを?」
「新しく無いですよ。寧ろ古いエネルギーになります。まあ、その分ノウハウがしっかりと有りますから安心出来ますし。ん、そろそろ良いかな?」
燃料補給も終えて蓋をする。
「え!?新しく無いのかね?いやしかし、こんな魔力以外で動くのは初めて見たのだが…」
また自分の世界に入って行くローレンツさん。仕方無くクロとご飯にする。まあローレンツさんも自分のご飯は持ってるだろう。暫くローレンツさんの唸り声を聞きながらご飯を食べたのだった。
……
暫くしてローレンツさんもご飯を食べ始めた。俺は周囲を適当に見張ってる。すると、ご飯の匂いに釣られたのかウェアウルフが8匹現れた。
「ウ、ウェアウルフだ!如何します?」
「対処しますよ」
UMPを構え射撃する。ウェアウルフは銃声と仲間が倒れて行くのを見て引き返して行くが手遅れだ。
「まあ、こんなものか。よし!ローレンツさんがご飯食べ終えたら行きますか!」
「は、はい。何だかご迷惑掛けます」
「気にしてませんから大丈夫ですよ」
この後、ローレンツさんは急ぎ気味にご飯を食べ終えたので先に行く事にする。
「じゃあ行きましょう」
「はい。お願いします!」
道中は特に問題も無く夕方遅くには王都ミスティに着いたのだった。王都ミスティは工業都市メイフィスより大きく、城壁は二重の守りになっている。更に、王都は全体的に明るくインフラ整備がかなり進んでいる様子だった。更に3カ国と直通で繋がってる線路があり、駅も立派に建っていた。駅は城壁外にあるが、直ぐに中に入れる仕組みになっている様だ。
しかし、メイフィス同様城壁周辺にはスラム街が形成されていた。だが、雰囲気的には暗い印象は無かった。多分王都にも仕事は豊富にあるから、其処まで困ってないのだろう。
「いや、本当に助かりました。ありがとうございます。また後日ギルドの方に伺いますので」
「分かりました。序でに目的地まで送りますよ」
「何から何までありがとうございます」
こうして門を潜り、王都内を走りローレンツさんを家まで送って行く。
「明日ぐらいグータラしても大丈夫なのでは?本当なら3日後に着く予定だったのでしょう?」
「いやいや、グータラなんてしてられませんよ!もう一度設計を見直す必要がありますし。それでは」
そう言ってローレンツさんは自宅に帰っていった。
「さて、俺も宿を探すかな」
俺はアクセルを回し宿を探すのだった。
………
小話
昼頃のお話。
「どうだい?このランドドラゴンは。魔導車なんか目じゃ無いだろ?」
「すごーい!こんなに速いの私初めて乗ったわ!」
この男は成金故に速く持久性のあるランドドラゴンを乗り回しているようだ。そして意中の女性にアタックしようとしてるご様子。
「確かに魔導車は速いよ?だけど燃費が悪いんだよ。だけど此奴は違う。速さも魔導車に負けないし、何より持久性があるからね!」
「へぇ〜、じゃあ凄いランドドラゴンなんだね」
女性は中々御満悦のご様子。
(良い調子だ。もう少しで落とせる!)
「もう直ぐ先に行くと綺麗な湖が「…………ォォォヴォンヴォン」?何の音だ?」
男性と女性は後ろを見る。少しづつ音が近付いている。
「何?この音……」
女性は少し不安げな表情をする。
(コレはチャンスだ!この音から逃げ切ればイケる!?)
「大丈夫さ。僕が君を守るから」
ランドドラゴンを加速させる。女性の好感度も加速する!しかし、段々音は近付いてくる。
そして……
ヴオオオォォォンンン!!!
一瞬で何かに抜かされた。
「…………え?」
「………何あれ?」
「…………ガウ?」
私達は全員口を開けてポカーンとしてしまったのだった。
「お?今のドラゴンか?でも、やっぱり空飛んでるやつの方が好きだな」
………
次の日、俺は徒歩で冒険者ギルドに向かう。やはりバイクは色々目立つみたいだったから、今はPDAに仕舞ってある。そして、王都にある冒険者ギルドは大きく、内装も綺麗だ。然も受付嬢は綺麗な人達ばかりだ。
俺は依頼掲示板を見て適当に探す。しかし、やはりと言うか昼頃に行くと安いのしか無いな。
(まあ、お金に困ってないから良いけどさ)
なので今回は常時討伐をする事にする。この王都付近にはオーク、リザードマン、スパイダーが多くいる。
リザードマンは硬い鱗に、武器を扱う中々危険な魔物だ。スパイダーも糸に絡まれると脱出するのが困難だ。ただ、糸は火に弱いらしく火系の魔法には滅法弱いのだ。他にも魔物は居るので注意して行きたい所だ。
取り敢えず王都周辺を散策する。すると、意外と他の冒険者に出会った。多分薬草摘みとか色々有るんだろうな。更にUMPを構えながら森の奥に進む。すると冒険者が5人此方に走って来た。
「おい!お前も逃げろ!オークが15体以上来てる!」
そう言うと5人は俺を押し倒しながら去って行った。
「痛!逃げろと言ってコレは無いだろ!」
UMPを構え直し前を見据える。すると茶色い肌のオークと紫っぽい肌のオーク1体が突っ込んで来た。
「最初は紫!お前からだ!」
紫に向かって射撃する。
「クロ!お前も牽制射撃!撃ちまくれ!!」
「プキァ!!」
1体1体倒して行くが、距離を詰められる。
「その距離はショットガンの距離だ!!!」
UMPからモスバーグM500に切り替え撃ち殺す。
「ひょう!流石ショットガンだ!ワンショットキルだぜ!!」
オークの頭を吹き飛ばしながら言う。アドレナリンがドバドバ出てるのだろう。因みにクロもサバイバルナイフ使い、オークの首を切り裂いていた。お前本当にスライムか?こうして俺とクロはオークを全て片付けたのだった。
「さて必要な討伐部位と魔石は回収したから、次行くか」
「プキュ!」
更に前進する。ん?さっきの連中はどうするのかって?関わって来なければ無視するよ。それに、最終的に困るのは相手側だろうしね。まさか無魔にオークを代わりに討伐して貰ったなんて言えんだろうしな。
目の前に湖がある。そして、リザードマンが10体以上いた。
「リザードマンか…鱗が硬いとUMPじゃあ弾かれるかな?よし、対物ライフル出すか」
明らかにオーバーキルだが仕方無い。クロにUMPを渡し地面にくっ付けさせながら撃たせる。俺は久々にバレットM82A1を出し狙う。
(距離100mmも無いな。だが、全て仕留める!)
銃声と同時に1体の上半身が消える。そして直ぐに次を狙う。1体1体確実に仕留めて行く。しかし、魔石回収出来るかな?
「グギアアアアア!!!!」
此方に走って来た。クロもUMPで撃ち足止めさせる。
「グギャアギャア!!!」
リザードマンは仲間が吹き飛ぶだけでなく、UMPの射撃により更に混乱してる様子だ。そして、最後ラストを撃ち抜く。
辺りを確認するが敵は見当たらない為、リザードマンの残骸に向かう。しかし、殆ど上半身が無い状態だ。
「仕方ない。回収出来るやつだけ回収するか。クロ、余ったら食べてええよ」
「プッキャ!」ポヨン
この後何とか5個の魔石は回収出来た。しかし、UMPでも意外と仕留めれていた。
「見た目の割に脆いのかな?」
俺はリザードマンの鱗を1枚木にくっ付ける。そしてUMPで撃ってみた。すると普通に撃ち抜けた。
「多分角度によっては弾かれるんだろうな」
ならバレットM82A1を出す必要無かったな。
「あー、アサルトライフル欲しいなぁ」
アサルトライフルがあれば大抵の相手に対処し易いだろうし。愚痴っても仕方ないので討伐を再開する。しかし、後ろを付けてる連中に俺は気付かなかったのだった。
……
リザードマンの後もオークが結構いたのでUMPで撃ち殺す。クロもUMPに慣れたのか普通に撃てる様になっていた。
「クロ、そのUMPもお前の武器だ。大切に扱えよ?」
「ッ!プッキャ!プッキャ!」ポヨンポヨン
余程嬉しいのか滅茶苦茶飛び跳ねていた。
「さて、そろそろ引き上げるか」
「プキュ!…ッ!プキャ!!!」
クロが吠えたと思えば突然茂みに向かって発砲。それと同時に大量の炎の塊が飛んでくる。炎の塊は地面に着弾すると周囲に飛び散り辺りを燃やす。
「敵襲か!」
俺は手榴弾を投げつけ、更にUMPを撃ちまくる。俺とクロで2つのUMPからでる弾幕は中々の物だ。悲鳴らしき物が聞こえたが、銃声によって掻き消されたのだった。
……
暫くして撃つのを止めて相手の出方を見る。しかし、出てくる様子は無い。
「クロ、側面に回り込め。敵を見つけ次第撃て!俺が囮になる」
「プキュ!」
そう返事するとクロは右から回って行く。俺は指切り斉射しながら敵の目を引き付ける。時々弓矢や魔法が飛んでくるが、最初程多くは無い。
向こうの方で銃声が鳴る。その瞬間俺も前に出る。そして、そこで見たのは、同じ人間であった。恐らく格好からして冒険者なのだろう。
「マジかよ。はあ、仕方ないか。取り敢えず生きてる奴は?」
クロと合流しつつ、UMPを構えつつ周囲を警戒する。しかし、周囲に気配は無い。しかも段々暗くなってくる為、これ以上残るのは危険だろう。冒険者のギルドカードを探す。が、見つからない。他の死体からもギルドカードを探すが無かったのだ。
「此奴ら冒険者じゃ無いのか?」
ギルドカードの代わりに水晶を見つけた。多分通信石だろう。何かの証拠になるかも知れんので通信石を回収する。序でに武器や連中の手持ちの荷物も回収する。更に、左手首や左腕に蛇の刺青があった。
「全く、何でこんな事に」
取り敢えず冒険者ギルドに報告しよう。それからどうするか言われるだろうし。俺は重い足取りで冒険者ギルドに向かったのだった。
……
冒険者ギルドに戻ると、ごった返していた。仲間内で喜んでいる者達や、悔しがってる連中が居る。流石にこの時間帯は混んでいる。しかし、行くしかあるまい。最後尾に並び暫く待つ。しかし、中々前に進まない。何となく前を覗いていて見ると、暑苦しいオッサンが受付嬢を口説こうとしてる。他の列の連中も似たり寄ったりだった。
(やっぱり後にしよう)
先に軽く何か食べる事にしたのだった。
……
あの後適当な屋台で小腹を満たし、もう一度ギルドに向かう。まだ混んでいるがさっきより空いてるので我慢する。
「次の方どうぞ」
営業スマイル満点の受付嬢の声で前に進む。
「すみません。実は常時討伐をしていたんですが、同じ冒険者から攻撃を受けたんです」
「そうなのですか?それで、その者達は?」
「射殺しました。ただギルドカードが無かったのですが、代わりに通信石等がありました」
受付嬢に通信石や武器を出す。
「そうですか。他に何か特徴とかはありましたか?」
「えーと…あ、左腕や左手首に蛇の刺青が有りました。確か、こんな感じに」
俺は紙に蛇のイラストを描く。すると受付嬢の視線が若干険しくなる。
「…分かりました。えっとお名前は?」
「シュウ・コートニーです。コレがギルドカードです」
俺はギルドカードを受付嬢に見せる。
「コートニー様。恐らくその者達は冒険者や富裕層の者達を狩る犯罪組織のメンバーかと思います」
「犯罪組織?」
それから受付嬢はこの犯罪組織について説明してくれた。
組織の名前は【キメラ・スネーク】
彼等は冒険者が討伐した部位などを無理矢理強奪したりする、ならず者であり組織まで出来てる者達らしい。そして、奪った部位を同じ組織に所属している冒険者に渡しランク上げをしているらしい。
蛇の刺青はその組織に所属する証である。現在も冒険者の中に、その組織に所属する者が複数居ると思われている。実力の割に不自然にランクが高い者が数名いるからだ。
「彼等は富裕層を狙い身代金を要求するだけで無く、人攫いなどもしています。ですので見つけ次第捕縛。出来なければ殺して下さい」
受付嬢は真剣な眼差しで言う。
「分かりました。ただ、なるべく関わりたく無い連中なのは理解しましたよ」
「恐らくですが、コートニー様は報復される可能性もございます。ですので夜間の外出はなるべく控える事、高い依頼料がある依頼は受けない様にした方が良いかと思います」
「成る程ね、了解です。色々ありがとうございます」
「いえ、どうかお気をつけて下さい」
俺はそのまま討伐換金所まで行く。そこは結構空いていたので良かったけどね。
換金した後、宿に戻り今後について考える。
(犯罪組織【キメラ・スネーク】か。勘弁してくれよな。目立たない様にするって、目立つ事なんて…あ、バイク)
やっちまった。これ完全にアウトだわ。
「あああ!もう!たかが無魔に構うんじゃねえよ!そんなに暇ならバイトでもやって働け!!」
俺はクロを枕にして不貞寝する事にしたのだった。
「あ、身体拭いて無いや」
渋々起きてお湯とタオルを貰いに行くのだった。
side ???
「ふむ、やられた連中が居たのか」
「はい。生き残った者達からの証言では、古代兵器にやられたと。詳細はこちらの書類になります」
部下から貰った書類を見る。
「ほう、無魔にやられたのか。しかし古代兵器に小型の魔導車の所持しているのか」
この古代兵器は魅力的だな。魔導車はどうでも良い。
「サッチ。この古代兵器を奪う様に指示を出せ。人員はお前に任せる」
「はっ、仰せのままに」
サッチはそのまま出て行く。
「この国では私を止めれる者など居ないのだ。ふふ、最高な気分だな」
上層部にもコネがあるのだ。長い年月が掛かったが、代々受け継がれてきた網が漸く形になった訳だからな。
「さて、次はサイレントラビット。そして次期王位継承はこの私がなるのだ」
我が家の悲願を達成させてこそ正しいのだ。この国の民を導く存在がな。




