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ローラとレイスガーディアンズとの話し合いが終わり1週間が過ぎた。今の所平和そのものと言って良いだろう。しかし、やはり俺はローラとパーティを組むのは無理だと思ってしまった訳だが。

理由は簡単だ。やはりどの冒険者も無魔はパーティに入れたく無いし、足手纏いになる。何より無魔が冒険者をやる事が間違ってるらしい。


(確かに魔法が使えないと色々不便だよな。まあ、俺には銃とPDAがあるから良いけどさ。それに核ダイヤバッテリーの充電装置を直せばパワードスーツが動かせそうだからな)


他の無魔の人に比べたら圧倒的に幸せな状況に居るのだろう。それでも無魔だとダメなんだろうな。そして、明日朝一にこの工業都市メイフィスを出る事を決めた。


……


「じゃあ、私今から旅団の新人達の面倒見てくるから」


「おう、行ってらっしゃい」


ローラは現在旅団を抜ける為の準備の真っ最中だ。今は教育、指導をやってるらしい。それにローラの精霊魔法は以前より強化されており、本人も言っていた通りAランク以上の火力が出せる様になっている。その為防御や補助等も軒並み向上しているので、実力的にはSランクに行くか行かないかぐらいらしい。


「さて、俺も色々準備するかな」


「プキュ?」


俺はクロを頭に乗せて宿をでたのだった。


……


あの後再度弾薬の補充したり、クロを入れるリュックも買いつつ食料や水等も補充した。モスバーグM500もいつでも使える様になった為良かった。今は明日の朝この都市を出る馬車を探しているが、どれも一杯だった。


「仕方無い。今日の夜に変えるか」


そう呟き北の門へ向かう。


……


門番の責任者に話をして夜0時頃に出たいと伝える。


「本来ならダメだがな。だが、何で夜逃げするんだ?」


「俺さ、無魔なんですよ。だから仲間に迷惑を掛ける訳には行かないんです」


「其奴には伝えたのか?」


門番の言葉に首を横に振るう。


その後水晶に触れたが犯罪歴は無かった為紙を渡された。


「ハア…まあ、良いけどさ。ならこの紙に名前と従魔と冒険者ギルドランクを書いてくれ。それで夜に来てくれ。それで通してやる」


「良いんですか?」


「ふん、お前さんの様な奴は偶に居るんだよ。ただ、正当な理由でなけりゃダメだがな。少なくとも何かしらの犯罪を犯して入れば、遅かれ早かれどの街にも入れないしな」


そう言いながら名前を書いた用紙に判子を押す。


「後悔はするなよ」


俺は門番に礼を言いながら宿に戻る。そして戻る道中一言呟く。


「後悔か…後から悔やむから後悔の筈なんだがな」


俺は自分が決めた事に後悔していたのだった。


……


そして夜。ローラと飯を食べつつ愚痴を聞く。しかし、俺は若干上の空だった。


「どうかしたの?調子悪いの?」


「え?いや、悪くは無いよ」


「そう?何だかぼーっとしてたけど。無理はしないでね」


何だか、凄く申し訳無く思えて来た。


「大丈夫だよ。ただ、今日は早く寝る事にするよ」


「そう。なら早く体調元に戻しなさい」


ローラは心配そうに言う。


「あぁ、そうするよ」


だから俺は早く部屋に戻った。何だか気不味くなってしまいそうだったからな。


……


夜になり街の灯りは殆ど無い。唯一の灯りは街灯と色街ぐらいだろう。そんな中俺は手紙を書いていた。何度か書き直してようやく書けた。


ローラへ。


置き手紙で伝える形になってすまない。突然だが、俺はローラとパーティを組む訳にはいかない。もし、俺がローラとパーティ組めば色々迷惑を掛ける事になるだろう。無魔とはそんな存在だ。それに俺はDランク、ローラはAランク並の実力者だ。これから先、一緒に冒険者として居ると余計に迷惑を掛けてしまう。

色々あった。アンダーグランドでは沢山助けられた。それに、旅団を抜けてパーティを組もうと言われて嬉しかった。だからこそ、ローラに迷惑を掛けたく無いんだ。

長くなりそうだからこの辺でキリをつけるよ。もし、街中で見つけても無視して貰って構わない。


最後にローラの冒険者道に幸運を。


シュウ・コートニーより


「さて、そろそろ行くか」


俺はクロが入っているリュックを背負い部屋を出る。そしてそのまま宿を出て行き北の門へ向かう。


……


門番に紙を見せて横の門番が通るドアを開けて貰う。そのままドアを潜り暗い夜道に出る。ライトを点けるが暗いもんは暗い。そんな時、中年の門番が声を掛けてきた。


「にいちゃん。どんな理由があるにせよ、きっと後悔はするだろうよ。それでも、前向いて歩いて行けば良い事あるさ」


「はい、ありがとうございます。それでは」


俺は歩き出す。今日は月がとても明るくて正直助かった。


「良い事か…これから先、俺は誰かとパーティとか組めるのだろうか?まあ、なる様になるか」


こうして俺は工業都市メイフィスから、ラリア連邦の首都ミスティに向かうのだった。


「あ、SR-25とM92回収忘れた…ま、いいか」


……


side ローラ・ブルフォート


私は今宿の食堂でシュウを待っている。多分もう少しで来るだろう。ただ、シュウは朝一のギルドには行きたく無いならしくギリギリまで起きて来ない。


「そろそろ起きて来る筈なんだけどなぁ」


何時もならスライムのクロによって無理矢理起こされる筈だ。だから大抵この時間には来るんだけど。


「もう!仕方無いんだから」


私も忙しいし、早くシュウを起こさないと朝食たべれないし。


コンコン


「シュウ?起きなさい!もうギルドも空いてるから大丈夫よ!」


少し待つ。しかし、返事は無い。


「ねえ?起きてないの?」


そう言って取手に手を掛けるとアッサリ開いた。


「あれ?シュウ、出掛けてる?」


私は部屋を見渡す。すると机の上に手紙が置いてある。


「?…私宛?」


中身を読む…。そして、中身を読んでいく内に頭の中が混乱して行く。


(何…これ?何なのよ)


「何よ、迷惑て…馬鹿じゃ無いの!?」


私は手紙を握り締め外に出る。しかし、シュウが何処に出たなんて分からない。それでも探した。ギルドに馬車の待合所、更に門番にも聞いた。でも、見つからなかった。


「私は、シュウと一緒に居たかった。唯…それだけよ。だから戻って来てよ…一緒に…居てよぉ」


私は膝をついてしまう。頬に涙が伝う。


「誰でも良いんじゃ無いの。シュウが…貴方と一緒に……居たいの」


そう呟く。でも、私の呟きは外に散って行くだけだった。


side out


side シュウ


何度か適当に休憩しながら歩く。周りは木で覆われてるが、道だけがある場所を歩くのは何だか新鮮だ。


「あ、オークだ」


オークが6匹現れた。


「ショットガンでやるか」


モスバーグM500を出してオークに近付く。オークも貧弱な人間が剣や槍を持たず、鉄の棒を持って来たと勘違いしてるオークはニヤニヤしながら余裕の表情だ。


「オークも表情とか変わるのな」


そのアホ面を吹き飛ばす様に照準を向ける。銃声が鳴るのと同時にオークのアホ面がミンチになり無くなる。他のオークも意味が分からず一瞬止まる。更に2体撃ち殺すと突っ込んで来たが残り2体も撃ち殺す。しかし、1体は逃走を図り逃げ出す。


「逃すか!」


1発だけリロードして直ぐに撃つが木に隠れられて仕留め切れず。更にリロードしながらオークを追う。森に入るがPDAにはマップ機能がある為、迷う事は無いからオークを追う事に集中する。


「そこだ!」


狙いを付けて撃つがだ当たらず。更に逃げ続けるオーク。


「クロ!今からオークに投げるから足止めしろ!」


「プキュ!」


俺はリュックからクロを出してオークに投げつける。

クロはその瞬間M92とニューナンブM60を撃ちながら足止めする。


「プキュー!!」


「プギィイイ!!」


クロは指示通り足止めに成功した。


「クロ、ご苦労だったな」


「プキ!」


俺の声にビビるオーク。


「さよならだ、オークくん」


こうして俺はオーク6体の討伐に成功したのだった。

周りを見渡すが完全に森の中だった。もしPDAが無ければ確実に迷って居ただろう。


「クロ、戻るぞ」


俺はクロを呼ぶが、クロは跳ねててコッチに来ない。


「プッキュ!プッキュ!」


「どうした?何か見つけたか?」


俺はクロに近付き辺りを見渡す。すると、ツタや苔に覆われた建物があった。


「アレは…昔の建物か?」


「プキュ!」


どうやらクロはあの建物を伝えたかった様だ。


「なら行って見るか。行くぞ」


クロを頭に乗せモスバーグM500を構え前進する。建物は如何やらガソリンスタンドの様だった。ライトを点けて店の中に入ってみる。中は草や羽虫、水溜りだらけで酷いものだ。


「まあ、建物が残ってるだけで凄いよな」


更に奥に進むが何かが入る気配は無い。レジの中を見てみるが空っぽだ。やはり考える事は皆同じの様だ。ドアを開けて隣の部屋に入る。如何やら事務所の様だ。しかし、やはり気配も無く中も相変わらず乱雑としている。


「特に何かがある訳では無いよな」


一応探索したが何も見付からず。やはりガソリンスタンドでは何かがある訳ないか。一旦外に出て再度周りを見渡すと隣にもう一つ建物が残っていた。なのでそこも一応探索する。中は埃っぽいし草が生えていた。殆ど事務所と変わらない状況だ。


「タイヤが山積みだな。コレはニコイチすれば直せそう」


タイヤを見ながら呟く。そして、もう一つお宝があった。


「コレは…発電機?いや、違う!」


何と水素製造機を見つけたのだ。水を入れればあら不思議!水素と酸素に分かれる素敵装置だった。まあ、最初は自家発電機使って頑張って動かすしか無さそうだけどな。

ただ状態は悪く無く、PDAに入れて少し廃棄部品で修理すれば使えそうだった。ついでにステンレス製の容器も見つけて修理しておく。更にお宝はコレだけでは無かった。バイクや車の部品もあった。そして、部屋の隅にシートが被されたバイクを発見したのだった。

大分劣化していたが多分直せば使えるだろう。色は黒がベースで赤色のラインが少し入っている。顔のライトは横に二つ目でボディカバーもしっかりしたスポーツタイプのバイクだ。マフラーも大型で多少改造された形跡もある。

エンジンも400ccクラスで中々良さげだ。ただ、名称が分からなかったのが残念だった。多分このボディパーツも正規品では無いのだろう。


「何々!まさか俺バイクデビューしちゃう?しちゃうの!?するしか無いだろ!!」


バイクと水素製造機を直した後、水をいれ自家発電機をめちゃくちゃ回しまくった。


「うおおおおおお!漲ってきた!」


「プッキャ!プッキャ!」ポヨンポヨン


兎に角自家発電機を回しまくった。そして、充電20%まで回し続けた。


「ゼェ、ハァ、ゼェ、ハァ…あ、後はスイッチを入れ…れば」


震える指で起動スイッチを押す。


ウイイィィィン ゴボゴボゴホ


水素製造機が動き出し、水を水素と酸素に分ける。そして最初に作った水素を燃料に切り替え始める。更にそこから充電も開始され、そのまま水素と酸素に分け続ける。そして待つ事1時間。遂に必要分の水素を手に入れた。


「良し、全て回収して行くぞ。早くバイクに乗ろうぜ!」


「プキュ?…プキァ!」


クロはよく分かってない様子だったが気にせずに元の道に戻るのだった。


……


元の道に戻りPDAからバイクを出す。そして鍵を挿しセルを回し、エンジンを掛ける。


キュルルル ブオオォン!!!


「あぁ、何か感動した」


俺は素直に嬉しかった。水素エンジンは馴染みが無かったが、俺の知ってるバイクに出会えたのだ。こんな嬉しい事は無いだろう。


「プ…プッキャ!!」


「クロ安心しろ。さあ、リュックに入りな」


クロは直ぐにリュックの中に入り込む。ついでにヘルメットをフルフェイス仕様に変える。


「さあ、行くぞ!」


俺はバイクのアクセルを回す。速度がグングン速くなる。風を切り、エンジン音が響き渡る。


「ヒィヤッホオオオオ!!!最高だぜ!!!」


俺はテンション上がりまくり更にアクセルを回し走りまくったのだった。だが、それは自分が選んだ後悔から逃れる為だったかも知れない。

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