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ギルドの床下から入って見た光景は、前にアンダーグランドに入った時より瓦礫がかなり多かった。天井もかなりヒビ割れおり、いつ崩れるか分からない状況だ。しかし、よく見ると魔法陣らしき物が天井に書かれており仄かに天井は光っていた。


「あれは魔法陣かな?多分あの魔法陣で崩落を防いでるんだろうな」


取り敢えずローラを探して前に進む。そして直ぐに見つかった。魔法で光をだして、殆ど手付かずの瓦礫の山を前にして佇んでいたのだ。


「ローラ、気持ちは分かる。だがなレイスさんもレイスガーディアンズのリーダーだ。苦渋の決断だっただろう」


「ッ!何よ!シュウは彼奴の味方をするの!?貴方も私と同じ様に見捨てられたのよ!?」


ローラの言う通りだ。


「俺だって思う所はあるよ。忠告無視した挙句救助は殆ど無しと来た。だが、俺は…俺達は生き残った。結果論に過ぎんが、ある意味レイスさんの決断は間違って無かった」


「間違ってなかったら良いの!?それでシュウは納得出来るの!?」


出来る訳が無い。だがな、どうしようもない時は有る。


「納得せざるを得ないんだよ。レイスガーディアンズは、工業都市メイフィスと深い繋がりがある。そんな連中に楯突いて良いことあるか?」


そもそも、俺には反抗出来る力は無い。


「ローラ、悔しい事だが…俺は慰謝料貰ってこの都市からトンズラするよ!最低でも金貨50枚は貰うぜ!そして貰った慰謝料使ってガッツリ遊びまくるわ!」


主に色街とかに行ってな!グヘへ〜楽しみだぜ!


「い、慰謝料?…それでシュウは納得するの?」


「納得しないが、納得する様に自分に言い聞かせるさ」


あっけからんと言う俺に対して溜息をつくローラ。


「何か、シュウを見てたら馬鹿らしくなって来た。よし決めた!私もレイスからたっぷり慰謝料貰うわ!そして王都にあるデザートを沢山食べまくるわ!!」


ローラも色々決めた様だ。ん?旅団から抜けるのを止めないのかって?そんな事一言も言って無いよ〜。


「でも甘い物沢山食べると太るぞ」


その瞬間、俺の横を光の何かが通り過ぎた。


「シュウ…次、同じ事言ったら当てるから」


「大変申し訳ありませんでした!?」


俺は直ぐに土下座したのだった。

この後ローラは落ち着いてもう一度レイスさんと話し合うらしい。


「シュウもレイスの所に行くの?」


「勿論。嫌われるの覚悟で行くから問題無い」


別に争う訳では無い。ただ話し合いをするだけだ。尤もレイスさんにとっては嬉しく無い話題だけどね。


「ねえ、一つお願いが有るんだけど良いかな?」


「聞くだけ聞いて、出来そうなら良いよ」


「う、うん…あのね、レイスに旅団抜けるって言う時、その…手を繋いでても良い?」


ローラは何故か頬を若干染めつつエメラルドグリーンを潤ませ上目遣いで此方を見る。


…何この天使は。


「ま、まぁ…別に良いよ」


内心とは裏腹に素っ気ない返事だ。


「うん!ありがとう!」


ローラは嬉しそうに感謝の言葉を言ったのだった。


……


俺達はアンダーグランドから出る。ローラが先に出て俺も続こうとして、ふと後ろを振り返る。真っ暗な場所。ライトの光だけが唯一の光。だが、この地下鉄には確かに居るのだ。


(俺は其方には行かんぞ。例え同じ世代の人間でもな)


そう思いながら俺もマンホールから出る。様々な嘆き、悲しみ、欲望に満ちたこの地下鉄から。


……


ローラと一緒に戻った後、一度俺達は解散する事になった。ローラも俺も落ち着く必要があると旅団全員から言われた為だ。ただ、ローラはレイス艦に戻らず俺と同じ宿に泊まった。


「ねえ、私達大丈夫かな?」


ローラは不安そうに呟く。


「いざとなればローラの精霊魔法で吹っ飛ばせば良くない?そう考えたらレイス艦に乗った方が良いかな?」


多分レイス艦の装甲は硬いだろうし。


「まぁ、何とかなるんじゃないか?最低でもローラは旅団から抜けたいんだろ?」


「うん。どんな理由にしても、私達が切り捨てられた事に変わりないもの」


「そうか…」


俺はこれ以上言葉にしなかった。ただ、一つ気になる事がある。


「所でローラ、そろそろ部屋に戻れよ。俺も寝るし」


「あ…うん。そうよね。…ねえ、我儘言っても良い?」


「内容による」


もう眠いから簡単なので頼むぜ。


「今日だけ…その、一緒に寝ても良い…かな?」


眠気が吹き飛びました!!!←


「勿論良いさ。さあ、今直ぐ寝よう!!」


「…やっぱりやめておくわ」


なんだよ。もう眠気が戻って来たわ。


「じゃあ、俺寝るな。お休み〜」


そう言ってクロを持ち上げ明かりを消す。そしてクロを枕代わりにする。


(思った通り最高の枕だわ〜…直ぐに寝れそ…Zzz)


微睡む中ら布団の中に何かが入った気がした。そして。


「お休み…シュウ」


あぁ…お休み…。


……


目が覚めたらローラが居た。


「…何だ。夢か」


夢なら夢でいいや…寝よう。


(夢でも良い匂いはするんだなぁ)


そう思いながら再度眠りについた。


3時間後


「だああああ!!!めっちゃ寝坊やんけ!!!」


うわー、どうしよう。今からダッシュでレイス艦に行くしかねえ!


「う…んん…シュウうるさい〜」


「ああ、すまん。しかしな、もう10時過ぎてんだぞ?ヤバイぜ〜」


色々悩んで…ふと気がついた。


「俺誰と話した?」


布団を見ると何やら大きく膨らんで居た。だから布団をめくった。


「すぅ…すぅ…」


金髪が布団に広がり、その中で静かに寝息を立ててるローラ。普通の寝間着姿なのに、ローラが着てると凄く色っぽくなる。正に其処には色っぽい天使がそこに居た。


「俺は…過ちを犯したのか?」


自分に自信が持てませんでした。


……


あの後ローラは顔を真っ赤にして部屋から出て行った。そして宿の出口に待っていた。


「遅いわよ!もう、3時間以上待ったんだから!」


どうやらローラの中では一緒の布団に寝た事は無かった事になってるらしい。


「すまんなローラ。お前の寝顔見てたら時間が過ぎてたわ」


だから掘り返してやったわ!


「〜っ〜っっ」


おお、おお、顔が真っ赤になった。


「は、早くレイスの所に行くわよ!」


ローラは足早に出て行ったので、俺も急ぎ足でついて行ったのだった。

やはりレイス艦を近くで見ると迫力がある。やはり駆逐艦サイズだがデカイ。浮遊石で浮かし、大きいプロペラが何個か付いておりそれで前進したりするみたいだな。前はしっかり見てなかったから、今の内に見ておく事にした。

暫くレイス艦を見てるとメイドが来て、艦の中に案内される。そして、以前朝食を食べた部屋に案内され扉を開ける。其処にはレイスさんと他数名が長テーブルに座っていた。


「席に掛けてくれ。さて、漸く来てくれたね。それでは話し合いを始めようか」


「レイス。話し合いは必要ないわ」


ローラの言葉に場が一瞬で殺気立つ。しかし、俺はそれを止める様に言う。


「ローラ、旅団には世話になったんだろ?なら、旅団を抜ける理由ぐらいキチンと言わないと相手も理解出来ないだろ?」


「うっ…でも」


「でもじゃない。ちゃんと理由を言って気持ち良く辞めなさい。立つ鳥跡を濁さずて諺もあるようにな」


俺はそう言ってレイスさん達を見る。


「ローラが理由を言って、それに対して納得出来る理由を言えば大丈夫じゃないですか?まぁ、ローラと俺を納得される理由が有ればですけどね」


最後に嫌味ぽく言う。これぐらい言わせてくれ。だって俺がローラを静止して落ち着かせたら、スゲーほっとした表情したもん。


(俺はお前らの味方じゃねーよ)


俺も内心此処に居るのは嫌なのさ。それからレイスさんとローラが話をする。


「レイス、私はシュウと一緒に切り捨てられた。それは事実でしょう?誰も切り捨てられた旅団に戻りたいとは思わないわ。だってまた同じ事をされたら堪らないもの」


「我々は…いや、確かに私は君達を切り捨てた。何故なら生存は絶望的だ。然も二軍の方も同じ状況になっていたのだ。だが、私は二度と同じ事を繰り返すつもりは無い」


「そうは言っても、無魔の言葉に耳を傾けるつもりは無いんでしょう?」


「状況による」


お互い並行したまま話は進む。そして旅団メンバーもローラを引き止めようとするが完全無視する。


しかし、話を聞く限り無魔であると言う事は非常デメリットなのだろう。仮に無魔である事を隠しても冒険者なら直ぐにバレるだろう。特に魔法を扱える者達なら尚更だ。


「兎に角!私はシュウとパーティ組むんだから邪魔しないで!」


「無魔である彼と組めば君に不利な事が沢山起こるのだぞ!」


「考え直しなさい?今ならまだ間に合うわ。それに、ローラだってサラ・ブロードハットさんに対しても見る目が無いと言ってたでしょう?」


「関係無い!シュウは貴方達より信頼出来る!それで充分よ!」


「信頼だけで生き残れる程、冒険者は甘く無い。もし彼とパーティ組むなら冒険者を辞めた方が良い」


何だか散々な言われようだな。それに、もしローラとパーティ組めば色々迷惑掛けそうだし。


「全員静粛に。此処には彼も居るのだ。少しは言葉に気をつけ給え」


レイスさんの言葉を聞いて全員静かになるが、ローラ以外特に気にした様子は無かった。


(これが現実だよな。無魔の存在は価値があんまり無いのだろうな)


少なくとも無魔と言う存在は冒険者の間では不人気抜群だな。


「ローラ、旅団を抜けるのは分かった。我々は冒険者だ。自由が信条な者ばかりだ…違うかね?」


レイスさんは旅団の仲間達を見ながら言う。


「だが、せめて後1ヶ月は残って欲しい。今我々レイスガーディアンズのメンバー募集を行って居るのだ。つまりそれなりに実力がある人が今は必要なのだ。だから頼む。もう少しだけ残って欲しい」


レイスさんは頭を下げる。そしてそれを見た仲間達も最初は驚いていたが、ローラに対して頭を下げた。


「っ…ど、どうしよう?」


此処で俺に振るんかい!


「あー…まあ、旅団と険悪な状態で辞めるより普通に辞めれる方が良いと思うぞ。それに旅団のリーダー、一番のトップの人が頭下げてるし」


「そう…なら、1ヶ月間待っててくれる?」


この時俺はフェイスガードをしていた事に感謝した。


「勿論さ」


きっと嘘を付いていたのが顔に出てただろうからな。


「分かった。シュウがそう言うならそうするわ。レイス、1ヶ月よ。それ以上は残らないから。後、私はこの艦に残らないから」


「分かった。そうする様にしよう」


こうしてローラとレイスガーディアンズとの話し合いは終わった。


……


「結局、何にも言わずに金貨50枚貰えたな」


「良かったじゃ無い。で、今から何処か行く?」


あの後レイスさんは鈴を鳴らし、メイドを呼び金貨50枚が入った袋を俺に渡した。因みにこの金貨はアンダーグランドで起きた事、ローラと旅団とのやりとり、利権の独占等の口止め料だそうだ。


「今から弾薬を補充するよ。序でに12.7㎜の弾薬も有れば買い溜めしたいし。後はショットガンの修理が出来ればやって貰おうかな」


弾薬もショットガンも多分大丈夫だろう。ショットガンはフレームが歪んだだけで、中身は問題無かったから鍛冶屋に行けば直せるだろう。現在の所持金は金貨719枚、銀貨138枚、銅貨沢山だ。因みにローラに貸したお金は返して貰いました。やっぱりローラも小金持ちでしたな。


「ならその後お買い物しましょう!やっぱりあの服屋とかにも行きたいし!」


ローラは俺の手を掴みながら言う。


「別に良いけどさ。そろそろ自分のお金使えよ?」


「勿論よ!ギルドからお金は降ろしてあるから」


こうして、俺はローラと買い物する事になった。


小話


「なあ、そろそろ俺の狙撃銃とハンドガン返せよ。もう魔導具ぐらい買えるからいいだろ?」


「え?嫌よ」


即答ですか?


「何でさ?」


「だってコッチの方が威力、連射があるし、何より精霊に無理させる事も無いもの!」


胸を張って言うローラさん。


「それ俺のだよ?」


「パーティ組むなら大丈夫よ!ほら、買い物行くわよ!」


こうして俺のSR-25とM92は返って来ませんでした。俺の相棒が〜。


「プキュ?」


「お前も相棒やで」


クロに癒されました。しかし、俺の心には若干のシコリが残っているのであった。そう、無魔である俺と言う存在がローラにとって迷惑以外何物でも無いと言う事に。

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