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暫くローラに抱きしめられて続けた後、かなり気不味い雰囲気になってしまった。


「あ、あのさ、ありがとな」


「べ、別に良いわよ。ほらっ!サッサと行くわよ!」


こうして俺達はをお互い意識してしまい、口数が少ないまま街に向かった。


……


それから3日間、ギルドのある街に俺達は順調に進んでいた。


「ねえ!あのアクセサリーお揃いだって!然も綺麗よ!」


「いや買わないから」


「何よ!大した金額じゃ無いでしょう?」


店員さんも血の滲む努力をした結果。なんと!金貨20枚になりました!て、巫山戯んな!


「何処が努力したんだよ!努力のどの字も無いわ!」


「お客様。此方の商品は恋人用でして、然も男性から女性にプレゼントすると高確率でお付き合い出来るんです!」


更に此方をご覧下さいと言われ見てみた。どうやら購入者の体験談が書かれていた。


・このアクセサリーのお陰で結婚出来ました!

・妻との関係が再燃出来ました!もう最高です!

・結婚が合計3回も出来ました!

・同性にもいけたぜ?♂

・このアクセサリー買ったら壺とかのオプション付きで、更に買えば色々商品を提供してくれます!

・コメントが面白かったからノリ買ったわ


うん…無いわ。


「ローラ行くぞ」


「え!私あのデザイン良いと思うんだけどなぁ」


確かにデザインは良い。だがな、その後の展開がヤバすぎだろ!然も巫山戯て買ってる奴も居るし!


こうして俺達のギルドにある街に順調に…。


「ねえ、私あの服欲しいわ!」


ローラはガラス越しに飾られてる服を見る。


「これ…凄いな。金貨15枚するんだ。高いな」


「安いわよ!絶対買いよ!買いましょう!」


しかし、ローラは今無一文な訳だからな。


「欲しいの?」


「うん…だめ?」(上目遣い)


一瞬で負けたよ。次は頑張れよ俺の理性。


「ちゃんと後で返せよ?」


「勿論よ!シュウ、ありがとう!」


ローラはそう言いながら店に入って行った。更に他の服も大量に購入し、デザートは食べたい、劇は見たい、綺麗な景色を見に行こう!等色々寄り道しながらギルドに向かった。

うん、実に順調とは言えないわ。ただ、気を使われていると思えば別に良いかな。


……


更に3日が経過して俺達は、工業都市メイフィスに馬車に乗せてもらい漸く着いた。勿論他の街にもギルドはあった。しかし、連絡する通信石の数が少ない上、冒険者が旅団やパーティメンバーとの連絡に使う為常に品薄状態だ。然も、大きさも有る程度大きく無いと遠距離通信が取れない為結局自分達の生存報告はメイフィスに着くまで出来なかったのであった。


「ローラ自身の魔力でチョチョイと出来ないのか?」


「そんな事したらギルドの通信石が壊れちゃうわ」


どうやら通信石の方がローラの魔力に負けてしまうらしい。然も遠くに連絡する為に魔力を更に使う為保たないらしい。


「まあ、良いか。もう直ぐメイフィスに着くらしいしな」


「そうね…」


何やらローラのテンションが低いな。


「如何した?折角仲間に会えるんだろ?」


「シュウ…私が取り残された時、他に助けに来た?来てくれなかったわよね」


それはそうかも知れない。だけどな、此れだけは伝えておく。


「それを言うなら、ローラ自身も派手に魔法撃ってたじゃないか」


「そこじゃ無い!シュウは仲間でも無かったのに。シュウだけしか来なかったのよ?」


「だけどさ、普通トンネルが崩れたら逃げるぞ?」


「でも、シュウは助けに来てくれた。それだけ分かれば誰だって理解出来る事よ。今後の事も含めてね」


そう言うとローラは前を向く。その表情からは何も読めそうに無かった。


「まだメイフィスまで時間はある。それまで考えて自分で選ぶと良いさ。それで後悔しても納得はするだろ?」


「…それもそうね」


俺は荷台に戻る事にする。ローラにはローラなりの考えがあるだろうしな。


……


工業都市都市メイフィスに着いたのは夕方になっていた。城壁の外側にレイスガーディアンズの鑑も有ったので、まだ残ってるのだろう。なので早速冒険者ギルドに向かう。そしてやっとの事でメイフィス支部の冒険者ギルドに着いた。


「やっと着いたー!死ぬかと思ったぜ〜」


「何よそれ?確かに死に掛けたけどね。それより私はシュウの泣き顔見れただけでも良かったわ」


「な!なら俺だってローラの胸の感触に感謝するわ!ありがとうごさいます!」


そう言って90度腰から下げる。


「ば、馬鹿じゃ無いの!それに、今言わなくても良いでしょう!」


「それを言うなら俺の事も「プキュウウウッッッ!?」フブッ!ムームー!?」ペシペシ


フェイスガードの隙間にまでツルツルしたのが入って来て息が出来ない!俺は久々に会うクロをタップして離す。


「プハッ…た、ただいまクロ。心配掛けたな」


「プッキャ!プッキャ!」


俺に会えて嬉しいのかメッチャ跳ねてるな。嬉しい反応だ。


「シュウ君!ローラ!無事だったのか!」


其処にはサラさんも居た。如何やらクロはサラさんを守る約束をキチンと果たしていたようだな。


「あら?サラじゃない。当たり前よ!私があんな事で死ぬ訳ないでしょう?」


「じゃあもう一回アンダーグランドに行くか?」


「断固拒否するわ!」


胸張って言うなよ。いや、もう少し張っても良いかな?


「それよりローラ、お前その格好は如何した?」


「コレ?シュウに借りたのよ」


「何でか知らんが取られた」


ローラはいつの間にか俺が貸していた警察用防具3着分のサイズをお店で変えたのだ。まだ有るから良いけどさ。


「ちゃんとお金は払うわよ。それより私、受付に行きたいの。ギルドガードの再発行して貰わないとお金下ろせないし」


そう言ってローラは受付に向かって行った。


「しかし、本当に無事で良かった。私は君達2人を助けれなかった無力を嘆くしか無かったからな。然もローラも無事で帰って着てくれた。シュウ君、本当にありがとう」


俺はサラさんに手を握られ感謝される。


「い、いえ!お気になさらず!まあ、これぐらい余裕でしたわ!」


ついつい調子に乗ってしまうが気にしない!


「あ!そう言えば…俺達は報酬貰えそうですか?」


金貨50枚だったからな。だけど無理な気がするな。何故かって?アンダーグランドの通路確保出来てないし。


予想通りサラさんは首を横に降る。


「残念だが報酬は無しだ。シュウ君、今回の件は完全に私が巻き込んでしまった。本当にすまない」


サラさんはそう言うと頭を下げる。


「え!いや、別にサラさんが悪い訳じゃ無いですよ」


「それでもだ」


コレは梃子でも動きそうに無いな。


「分かりました。ただ、もう終わった事ですから」


「すまない。もう一つ我儘を言うようで悪いが、パーティの解散をお願いするよ」


理由を聞くとやはり巻き込んだ負い目があるそうだ。


「分かりました。なら、今から解散します。また、いつか本当の意味でパーティが組めたら組みましょう」


「ああ、すまんな。そうだな。次はキチンとしたパーティを組もう」


俺達は互いに握手しながら受付に向かう。パーティ解散の手続きの為にだ。それからローラのギルドガード再発行を待つ。するとレイスさんとレイスガーディアンズのメンバーがギルドに入って来た。


「ローラ?…ローラなのか!?無事だったのか!?」


レイスさんの言葉に他のメンバー達もローラを見て驚く。


「ローラ!無事だったのか!良かった…本当に」


「ああ!ローラがそんな簡単に死ぬ訳無いだろ?」


「コレでローラも間違い無く幹部クラスよ!凄いわ!」


レイスガーディアンズの仲間達はローラを囲み喜びに満ち溢れていた。


「あのー…僕も生き延びたんですが。もしもーし?」


スルーされる。そうだよなぁ…これが現実だよな。


「プキュ!プキュ!」


「シュウ君、無事の帰還おめでとう」


クロ…サラさん…良え子達やな〜(感涙)


「皆!静粛に!ローラが何も言えないだろう?」


レイスさんが手を叩き仲間達を落ち着かせる。


「さてローラ。無事の帰還してくれた事を神に感謝だよ。それでだ、アンダーグランドの通路は確保出来たのかな?勿論、出来ていなくとも君の功績を鑑みても我々レイスガーディアンズの幹部席に座る事は間違い無い!」


他の冒険者達も何事か見て驚いていた。然も夕方だから数は多い中、レイスガーディアンズの幹部が誕生したのだ。

殆どの者達は歓喜していた。


「さあ、ローラ。色々有って疲れただろう?今から艦に乗り休養を取ると良い。勿論身の回りの事はメイドに任せておくと良い」


やいのやいのと持ち上げられるローラ。それに比べて俺は…。


「クロ、今から飯でも食べに行くか?飯食いながら色々話してやるよ!」


「プッキャ!」


「ふふ、なら私も同行させて貰っても?」


「勿論!」


晩御飯をサラさんとクロと一緒に食べる予定を立てていた。しかし、この時俺はローラをしっかり見ていなかったから気づかなかったのだ。ローラは一言も喋っても無いし笑って無かった事に。


「レイス、私旅団抜けるから」


その瞬間、俺も含めて全員が静かになった。ローラは大きな声を出した訳では無い。しかし、その言葉はレイスさん吞みならず、全員に聞こえた。


「ローラ…?今何と言ったのかな?」


「私旅団抜けるから」


うん、聞き間違いじゃ無いわ。そして場がざわつき出す。


「ろ、ローラ?冗談にしても…中々難しいぞ?」


「私冗談じゃ無いから」


その瞬間レイスさんの目がクワッと見開く。ちょっとキモいっす。


「それじゃあ皆、元気でね」


「待つんだローラ!そんな事急に言われても…こ、困るんだよ?つまりだ…あれか?君を見捨てたと思ってるのかい?とんでもない!今までも探していたんだぞ!?」


「でも、あの時助けに来てくれたのはシュウだけよ。だから私シュウとパーティ組むから」


ギルドに居る人達全員が辺りを見渡す。ん?全員だから俺も探してるよ。そしてローラは俺の前まで来て言う。


「何やってるの?ギルドガード出来たから、早くパーティ登録…しよ?」


やっぱりこうなる訳で…こ、この状況でパーティ登録するのか?あ、無理だわ。レイスガーディアンズ全員に他の冒険者達がめっちゃ睨んでるもん。そしてローラ、頬を染めながら俺の手を握らないで!俺殺されちゃう!?マジで!?


「待てローラ。いきなりでシュウ君も混乱してるだろう?」


サラさん!今のストッパーは貴女しか居ません!お願いします!


「サラ、貴女パーティ解散したから別に私がシュウと組んでも問題無いでしょう?」


「確かに解散はした。しかしシュウ君が困ってるだろう?それに、レイスガーディアンズの方も困惑している」


「そうだぜローラ。それに、今まで捜索してたって言ってただろ?別にローラは見捨てられてた訳じゃ無いし」


「そ…その通りだ!だから抜けるにしても少し待って欲しい。その、我々の戦力も現在立て直し中なのだよ」


立て直し?


「どう言う事ですか?」


まさか彼奴らも忠告無視したパターンなのか?


「実は二軍メンバーの半数以上が、トンネル崩壊に巻き込まれて生き埋めになってしまったのだ」


「そう。シュウ、私達を捜索されてるなら瓦礫は多少は撤去される筈でしょう?なら本当に捜索されてたか見に行きましょう!」


あー、完全に疑ってるな。まぁ仕方ないよな。


「分かったから。取り敢えず飯でも食べに行こうぜ?」


「そ、そうだね。そうすると良いよ。うん、気分を落ち着かせてきたまえ」


レイスさんは結構挙動不振になってる。まさか…此奴。


「私今から行ってくる」


そう言うとサラリと床下の所まで行き中に入ってしまった。


「待つんだローラ!ローラ!」


レイスさんが後を追うが待ったをかける。


「レイスさん、今から追って何て言い訳するんですか?」


「違う!私は見捨てた訳では無い!」


それはそうだろうな。


「ま、普通旅団のリーダーになれば旅団の利益に繋がる方を取りますよ」


ローラ1人の命と半数以上が生き埋めになった二軍メンバー。どっちを救うと言われれば二軍メンバーだな。それに、ローラはレイスガーディアンズと上手くいってる雰囲気無かったし。


「取り敢えず俺が様子見てきますよ。俺も見捨てられた口ですからね」


然も忠告も無視されたしな。


「…すまない」


俺はローラの後を追い再びアンダーグランドに入って行くのだった。

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