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地下鉄は相変わらずジメジメしていた。今まで誰も侵入しなかったのだろうか。中の光は殆ど無い。ただ、所々キノコが光ってるのが分かる。青や緑が多いが中々幻想的…うーむ、微妙だな。
ライトの光で周りを見る。しかし、此処には白骨死体が数体ある程度で何もなかった。
「奥に行くしかなさそうだ」
かつては電車が通ってただろう線路の上を歩く。俺の時代だったら中々出来ない事だろうな。
「クロは背後を警戒しろ」
「プキュ」
俺はSR-25を構えながら歩く。そしてグールの集団を見つけた。如何やら光に誘われた様だな。
「クロ!撃退するぞ!」
「プギュ!!」
グールの数は10体程度。然も耐久も地味にある。だが、此方は威力のあるSR-25だ!
「来るなら来いやあああ!!!」
「ギジャアアアアア!!!」
俺はグールの頭に向け照準を合わせて引き金を引いた。
……
戦いはアッサリ終わった。やはり7.62㎜弾は威力が有るから殆ど一撃だった。
「さて、先に行くぞ」
俺は更に奥に進む。奥に進むと二手に分かれてただろう場所に出る。ただし、片方は潰れていたがな。だが、行ける方を見ると看板が立て掛けてあった…ドクロマークの。
「ええ…あからさまに何か有りますよって警告ですやん!でもこの道しか無いし。畜生!ついてねぇ」
俺はより一層神経を研ぎ澄まして先に進む。そして白骨死体が10体以上あった。
「おいおいマジかよ。まさかスケルトンとか出ないよな?」
「プキュ…」
クロは頭から降りて白骨死体の頭を吸収した。
「お腹空いたのか?」
「プキュ!」
元気良く返事すると白骨を食べ始めた。
(クロの奴、何でも喰うんだな。でもこれでスケルトンの可能性は無くなったかな?)
暫く其処を探索する。すると生活の跡が見られる場所を見つけた。
「ロッカーに机に空ビン。確実に此処で生活してたな」
探索してると銃を見つけた。然もだ、いきなり当たりを引いた様だ!
「サブマシンガンH&K UMPだと?」
H&K UMP
装弾数25発
.45ACP弾使用
暫く唖然としてしまった。だって銃は高い。然も殆ど出回らない。なのに、こうもアッサリと見つかってしまったのだ。更に探すとロッカーの中や机の上に無造作に置かれてる弾薬にUMPや閃光弾を見つける。そしてPOLESと書かれた防弾スーツに防弾ヘルメットを見つける。しかし、フルフェイス仕様では無かったが、代わりにフェイスガードを幾つか見つけた。
他にもUMP等のアクセサリーパーツを見つけたり、自家発電用の発電機も見つけた。
「やった!発電機だ!コレでライトのバッテリー切れは解消された!」
案外地味にコレは嬉しかったりする。然も、この発電機はかなりの発電量で直ぐにライトのバッテリーを回復させれるぐらいの高性能っぷりだった。
UMPにはホロサイトにフォアグリップ、マガジンを5発分拡張してトドメにライトを取り付ける。更に服装も防弾スーツの方に着替える。そして防弾ヘルメットにフェイスガードを顔に付ける。序でにM92にもホロサイトを取り付けておく。そして、此処に居た人が書いていただろう日記を見つけた。
4月12日
相変わらず水は汚染されてるし外はクソみたいな状況だ。これは神が傲慢な人間への罰なんだ。
4月18日
仲間の1人が嬉しい報告をして来た。何と警察の武器護送車を見つけたらしい。如何やら路肩の木にぶつかって隠れてたらしい。今から全員で武器を回収しに行く。
4月20日
武器はサブマシンガンや手榴弾、防具も豊富にあった。これが有れば生き残れるぞ!
4月27日
最近ビックラットルが見当たらない。俺達は覚悟を決める。隣の駅の連中には悪いが…これも生存競争だ!
5月➖日
人間だけじゃ無い…敵は…●●●だって、ジョンが●●に●●●●●●ったんだ!
●なんて存在し●●●
以下解読不可能
何…コレ…?
人間以外の敵?グールじゃ無いのか?他にも居るならゴブリンとかか?
「悩んでも仕方ない。クロ行くぞ」
「プギュ!」
奥に進み隣駅まで行く。此処の連中は何にやられたんだ?本来なら引き返すべきだった。しかし、俺も欲に目が眩んだのだ。UMPを手に入れた。そして隣駅にも間違い無く武器は有るだろうと確信していたからだ。
俺は理解していなかったんだ。地下鉄は、お宝があるダンジョンなんかじゃ無い。過去の亡霊の住処なんだと。その住処を荒らす奴は唯では済まない事を。
……
地下に居ると時間の感覚が分からなくなる。音も自分の出す足音と息遣いぐらいだ。途中何度か休憩する。地下鉄と言えどもかなり足場は悪い。天井が崩れてたりしてるからな。
……ッ……ック…
「声?こんな場所に?」
俺はUMPを構え歩き出す。クロも背後を警戒する。
ウエェン……ヒック………
「子供だと?こんな場所にか?」
兎に角保護してないと。この場所は危険過ぎるしな。
泣き声は段々大きくなる。そして、ライトを当てる。しかし……
泣き声が止んだ。
「あれ?…居ない?」
代わりに三輪車が此方に来る。然も滅茶苦茶速い!
「有り得ないだろう!!!」
三輪車に向かい撃ちまくる。しかし、三輪車は避ける飛ぶ回転して弾幕を避ける。UMPの弾が無くなる。三輪車が突っ込んで来る。しかし、此方はM92をクロはニューナンブM60で撃ちまくる。そして、ようやくボロボロになって三輪車は止まった。
クスクス…フフヒヒヒヒ…アハ!アハハハハハ!!!
「ちょっとヤバイんですけど!」
俺はUMPとM92をリロードしながら走り出す。
アハハハハハ!!!アヒヒヒハハアハハハ!!!
「キチガイな笑いなんざ受けないんだよ!」
俺は捨て台詞を吐きながら先に進んだ。しかし、この音に引き寄せられる存在がいる。殆ど表の世界に出る事無く地下世界に身を置く強者達を。
……
隣駅まで結構距離がある。しかし、俺は走る。背後からとてつもない殺気を感じるからだ。
「はあ!はあ!はあ!こ、こんなの無理だろう!」
「プッ!プギャ!プギャ!」
クロが悲鳴を上げる。チラリと背後を見る。其処には大量の化け物がいた。見た目はネズミなんだが、かなり大きい。然も数が滅茶苦茶多い。
「クソッタレが!こんなの勝てるかよ!!!」
俺は手榴弾のピンを抜き落とす。そして上手い具合に爆発してくれた。だが、奴らはそれでも止まらない。ライトの先を見る。そして見つけた、ロッカーを。だから閃光弾を投げる。そして次の瞬間暗闇のトンネル内を圧倒的な光が襲う。
「「「「グギアアアア!!!!!」」」」
その瞬間ライトを消し、クロと一緒にロッカーに入る。
ドッドッドッドッドッ!!!
「ハアッ……ハアッ…フウ…フウ」
息遣いが煩いと思ったが俺のだったので口で塞ぐ。
グギアァァァァ!!グルルルアアア!!!
奴等の喚き声と同時に足音が多数聞こえる。
(さ、探しまくってる…も、もう無理かも)
自分が喰い殺されるのを想像する。とてもじゃ無いが無理だ。だが、手榴弾はある。
(自決何て…キャラじゃ無いんだがな)
目を瞑る。バレたらピンを抜く準備だけする。そしてロッカーの上に奴等が乗ってる振動と音が伝わる。
(クッ!真上にいる!?)
その時だった。
グガアアアアアアア!!!!!!!!
更に大きい声が聞こえる。そして、化け物共の怒声が聞こえる。戦ってるのか暴れてるのかよく分からない。だがらクロを抱き締める。暫くすると声は1つだけになっていた。
ドシン ドシン ドシン
どう考えてもさっきの連中とは違う足音。俺はロッカーの隙間から見る。明かりは無いから見えない筈だった。だが、俺は確かに見た。巨大な化け物を…それは正しくこの世界で強者に位置する存在だと。俺の本能が理解した。
そいつは目が6個有ったのを見た。そして長い爪に凶暴な牙を有していた。化け物は他の小物を食べていた。
(UMPを直して調子乗りました。すんません…だから食べないで下さい)
正直漏らしそうだったが、漏らしたら間違い無くバレるから漏らさない。俺はジッと耐える。あの巨大な化け物か居なくなるまでクロを抱きしめながら耐えるしか出来なかった。そう、俺は弱い。弱いからこそ生き抜いてみせると思いながら、
グガアアアアアアア!!!!!!
化け物は勝利の雄叫びを上げるのだった。




