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昨日の出来事は襲撃に失敗した盗賊が復讐した結果だった。尚、主犯の盗賊のリーダーであるブルックスが死んだ為他の連中も捕まったり殺されたりした。ただ、奴らの目的がサイレントラビット捕獲だったらしい。しかも誰かに依頼されたとか。

因みにブルックスには懸賞金が掛けられており、盗賊としてはカリスマがあり仲間も多く又魔道具や馬など多数持てる財力があった為金貨50枚の額が掛けられていた。そして、何故か懸賞金全部を俺が貰う結果になった。仕留めたのはスピアさんだが、本人が辞退して「コートニー様が気を惹きつけていましたので」で俺が貰う事になった。

後、襲撃した際に多数の魔道具や馬を回収して依頼が終わったら冒険者達だけで分ける事になって思わぬ臨時報酬があるのを此処に記載しておく。


……


襲撃を撃退した次の日。俺達は足早に町から出て行った。ただ、出て行く際に親子から感謝された。


「ありがとう!ヘルメットさん!」


「どういたしまして。ただ、もう少し捻った名前言っても良いんだよ?」


例えば俺の名前とかさ!捻って無いけど!


「うーん……ヘルメットお兄さん!」


「あ、うん。ヘルメットさんで良いよ。じゃあな」


細やかなやり取りをした後別れたのだった。


……


その後の道中は魔物の襲撃も散発的で平和な物だった。ただ、目的地である工業都市メイフィスに近い場所でPDAが電波を受信した。微弱な電波だったので暫く移動したら受信しなくなったが、マップにドロップ機能があった為場所は直ぐに分かるだろう。


「お?コートニーさん見えましたよ。目的地の工業都市メイフィスだ。いやはや盗賊の襲撃が有った時はどうなるかと思いましたが、無事に辿り着けて何よりですな」


御者はホッとした風に言う。


「確かに。中々波乱のあった旅でしたね」


序でにキナ臭い話もあったけど。


「これもコートニーさんの古代兵器のお陰でしたな!」


「いや、それは無いな。全員が互いにフォローしあったからこそ生き残れた。ただ、それだけさ」


実際そうだしな。俺なんて最初撃てなかったし。


「そうですか。なら皆さんのお陰ですな」


俺は御者の言葉を聞きながら工業都市メイフィスを見る。しっかりとした城壁があり魔物の侵入を防いでいる。工業都市と言うだけあって煙突が沢山建っており、そこから薄い煙が出ていた。多分魔法を使ってるから煙があんまりで無いんだろうな。更に近々王都直通の魔導列車用の線路が開通するとか。それに伴い経済効果は高くなると予想されており、さらなる活気が溢れていた。そして城壁には大砲やバリスタも配備されており魔物からの侵入を防いでいる。

しかし、工業都市と名前があるのだから銃とか良い状態のが有りそうだしな。


俺は新しい銃が欲しいのだ。出来ればサブマシンガンかショットガン。1番欲しいのはアサルトライフルだけどな!


そして商隊は無事工業都市メイフィスに着いたのだった。


……


「それではウィリス様。我々はこれで」


「冒険者の皆さんも護衛お疲れ様でした」


ガルムさんとウィリスさんが話してる間、俺はスピアさんと話していた。


「スピアさん。この旅で色々世話になったよ」


「私は特に何もしておりません」


スピアさんはそう言うが、若干口元が笑顔になってるので満更でも無いようだ。


「まあ、俺に出来る事があるなら言って下さいよ。もっとも限界値はありますけどね」


少しおどけて言うとクスリと笑ってくれた。


「コートニー様。貴方の旅に幸があらんことを」


そう言ってスカートの裾を軽くつまみながらお辞儀をする。いやはや……何処の御令嬢ですか?


「コートニーさん、少し宜しいですかな?」


「ウィリスさん?どうかされましたかな?」


ウィリスさんは俺を呼び止めると、懐からカードを1枚取り出し俺に渡す。


「これは…高級奴隷オークションの招待状?」


「後3ヶ月後に今いるラリア連邦の王都でオークションがあります。そこにはスピアも出品されます」


そうなんだ。まあ、そうだよな。スピアさん奴隷だもんな。


「それで俺にどうしろと?まさか奴隷を買えとか言いませんよね?」


「いえいえ、ただ…私は後悔して欲しく無いだけです」


後悔か…。


「スピアはサイレントラビットです。その価値は政略から戦略まで幅広く、付加価値合わせて末端価格は金貨600は下らないでしょう」


き、金貨600枚だと?俺は途方も無い金額に目を瞑る。


「ですが、まだ3ヶ月あります。私はコートニー様が来るのをお待ちしております。それでは」


ウィリスさんはそう言うとスピアさんと護衛の人達と一緒に行ってしまった。


「あー…シュウ、ちょっと良いか?」


「っ!あ、ああ。ギルドに行くのか?今行くよ」


「サイレントラビットは止めとけ」


ガルムさんと他の冒険者は顰め面で言う。


「べ、別に奴隷を買うつもりは無いよ。だけど、何でサイレントラビットはダメなんだ?」


気になり聞いてみる。


サイレントラビットは関わる者全てを不幸にすると言われてる。まあ、裏切りの象徴の1つでもある為忌み嫌われてるそうだ。それと裏切りの危険もある為止めとくべきらしい。


「確かに美人だったぜ?あのサイレントラビットさんは。だけどな、いつ背後から殺られるか堪ったもんじゃねえ。お前も見ただろ?あの盗賊を殺した時を。いつの間に居たのか全然気付かなかったんだ」


他にもサイレントラビットの話は色々ある。だが……。


「それって俺達とどう違うんだ?」


我慢出来なかった。


「大体サイレントラビットだなんて一括りにして言うなら、俺達人間は綺麗な生き物なのか?裏切りは?切り捨ては?しないのかよ。あの盗賊は何だ?屑みたいな奴だったぜ。然も俺達と同じ人間だ。お前達もちょっとは考えてから言えよな」


下らないな。実に下らない。


「兎に角サッサとお金の分配して解散しよう。今あんたらと一緒に居ても不愉快だからな」


俺と冒険者達に亀裂が走る。


「シュウ…はあ、分かった分かった。俺達が悪かったよ。そりゃ、惚れた相手を貶されたら嫌な気分にもなるわな。すまんかった」


ほ、ほ、惚れただあぁ?


「そ、そんなんじゃ無いし!ただ、世話になった人なんだから…そのー」


険悪な雰囲気から一転、生暖かい雰囲気に変わる。


「悪かったよシュウ」

「ゴメンなさいねシュウくん」

「今日は皆んなで奢るからよ!な!皆んな!」

「そうだな!傷心した傷を癒そうぜ?」

「ほら行こうぜ!」


ワイワイとしながら連行される俺。


「ち、ちげーから!別に惚れてないし!勘違いすんなよ!」


「分かってる分かってる!女は他にも居るからよ?」


こいつら全然分かってねえ。然も冒険者だからか無駄に握力がつえぇ。


「だから勘違いだってばああああー!!!」


俺の叫びがメイフィスに響き渡ったのだった。


……


あの後俺は酒場に連れて行かれ、そのまま飲めや歌えや状態に突入。そのまま酒場で寝こけてしまった。


「う…うう……気持ち悪い」


完全な二日酔いだな。しかも周りに冒険者達の屍が。


「プピー…プピー…」

「ぐごごごご…」

「う〜ん…私に従いなさい…」

「ハーレム…ウヘヘ〜」

「俺は…勇者に…なる!」

「……ヤラナイカ?♂」


誰もかれもが欲望丸出しの寝言で笑えた。


「お客さん、お目覚めですか?」


「あ、ああ…すまない。迷惑掛けたかな?」


「ええ、そうですね」


あれ?ここは謙遜してくれる場面では?


チラりと店長を見る。笑顔何だけど、目が笑ってない。


「失恋したのは分かるけど、それで人様に迷惑掛けていい理由にはならんよな?」


「ええ…そうですね」


静かに正座する俺。ついでに言うが失恋では無い!断じて無い!そもそもフラグすら立っとらんわ!


「本来なら此処で寝たら罰金なんだがな。まあ、片付けを手伝えば免除するが…どうする?」


「手伝わせて頂きます」


俺は綺麗な土下座をしてお願いしました。

その後他の寝こけてる連中も叩き起こし一緒に片付けしました。


……


「ああ…気持ち悪い。まだ頭がガンガンするわ」


片付けを終えて最後に励まされながら店から出た俺は、噴水のある公園で休んでいた。


「あ、そう言えば、電波受信してたんだっけ?」


PDAを見て確認する。因みにPDAは俺の身体から出てる電気とソーラー発電で半永久的に起動し続けれるらしい。


「ここか。そんなに遠くないから酔い覚ましがてら行くか。良し!クロ準備するぞ?」


「プキャ!」


クロはいつも通りだった。如何やら二日酔いとは無縁らしい。そうと決めると弾薬、食料、水、その他を買いに行くのだった。


……


徒歩で2時間ぐらいだろう。再び電波をキャッチした。電波の先は森が広がってる。俺は森に入る前にクロにもライトとサバイバルナイフを渡す。


「これで近接戦闘とか出来るか?」


「?…プキャ!」


触手状態にしてサバイバルナイフを振り回すクロ。結構イケるんじゃない?


「よし!何となるだろう。じゃあ頭に乗れ」


「プキュ!」


俺はクロを頭に装備して森に入るのだった。


……


森に入るとやはり暗い雰囲気になる。まだ日が明るいからマシだが、傾き始めると前も見えなくぐらい暗くなる。


「電波は……強くなってきてるな」


声は聞こえない。唯の雑音だけだ。だが、其処には何かしらの施設があるのかも知れない。更に歩くと見つけた。


「コレは、ツタに覆われて隠れてたのか」


そう、ホラー展開と言えば地下鉄だと言わんばかりに入り口があったのだった。


「マジかよ…あ、でもM92も手に入れたのも地下鉄だったな」


暫く考える。クロは頭の上で揺れてる。


「いや、ツタに覆われてたと言う事は…外部からの侵入が無いって事だ。取り敢えず様子見で行くか」


俺はライトを点けて侵入する。クロも真似してライトを点ける。


「クロ…行くぞ」


「プキュ!」


俺は地下鉄の暗い闇の中に侵入して行った。

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