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戻った時に特に責められる事は無かった。寧ろ、スピアさんと手を繋いだ状態でありながら血塗れの俺を見て凄く心配された。


「すいません……俺が最初から撃ててれば」


「気にすることは無い。誰だってそうなる。今回は偶々お前さんが初めてだっただけに過ぎん」


ガルムさんはそう言って「この話は終わりだ。今日はお前は見張りしなくて良い」と気を使われてしまった。

ただ、今は正直有難かった。


……


side 盗賊団 ブルックス


(クソックソックソッ!!!あんなの聞いてないぞ!!!アレは何だ?古代兵器か!?クソッ!!!あんな時代遅れのポンコツに!!!)


俺様の盗賊団の7割が死んだ。中には副リーダーの役割の奴もいたと言うのに!!!


「魔道具も馬も部下達も失った!!!クソッ……このままオメオメと引き下がれるかよ!!!」


俺様は生き残った部下を全て連れて夜の襲撃に備える。奴らは次の町の宿に泊まるはずだ。なら、先回りして泊まる宿を見つけ出して全員皆殺しだ!!!


「野郎共!!!奴らを1人も生かして行くな!!!」


「「「「「おおおおっっ!!!」」」」」


連中に俺達を敵に回した事を後悔させてやる!


side out


……


俺達は小さな町に入った。そこで1番上等な宿にはルピノ・ウィリスのグループで、残りのメンバーは適当な宿に泊まる。

因みに俺は1番上等な宿に泊まる事にした。理由はその宿にしか風呂が無いんだとか。血塗れでヤバイ状態だからな。


部屋の鍵を貰い早速風呂に入る。個室に簡単ながら風呂があるのは嬉しい。

この風呂の蛇口の上に赤い魔石と青い魔石があり、それを押すとお湯が出たりする。


「なーんか、こういう所の文明は似てるよな……馬車とか使ってるのにな」


後は洗濯は自分でやる事にした。まぁ、風呂に入った後のお湯に血塗れの服を入れて暫く放置だがな。


「やっぱりお風呂は人類が作り出した叡智の結晶だねぇ〜」


「プニャ〜」


気分も大分良くなり、適当に鼻歌を歌う。かつての何ちゃってロック的な歌を。歌に合わせクロが揺れるのは面白かったな。


暫くして食事が来た。味は別に文句は無いし、ボリュームもある為良かった。

食後は銃の整備をしている。クロもそんな様子を見ている。


「さて、お前の武器も見せな。結構戦ってたもんな」


「プキュ!」


クロはニューナンブM60を渡す。見た感じ軽く油を挿せば良いかな?

クロも自分の武器を整備されるのを見守る。少しソワソワしてる感じだ。


「ほら、これで終わりだぞ」


「プッキャ!プッキャ!」


如何やら御満悦の様だ。俺はクロを残し新しいヘルメット(マジックミラー仕様)を被り外に出る。

そこまで大きく無い町だが、地方軍の見回りもある為概ね治安は良い様だ。


「此処なら安心だろうな」


そう呟き暗くなった町を歩く。酒場とか客引きは活気があり見てるだけでも楽しめる。


「…………はぁ」


でもイマイチ気分は上がらない。


「あの盗賊……俺と年が近かったのにな」


あのままだと、俺は死んでたのかも知れん。だが、結果的に生き残ったのは俺だ。


「スピアさんにお礼……言わないとな」


言った気がせんでも無いが忘れた。


暫くボーと酒場や大道芸を見てると声を掛けられた。


「お店に寄らないのですか?」


スピアさんが居た……えっと、何で?


「丁度コートニー様が出て行くのを見まして。ウィリス様からは許可を得ております」


「あれ?俺喋りましたっけ?」


するとスピアさんは何となくですと言う。


「…………」「…………」


何となく沈黙する。


「スピアさん。あの時はありがとう」


「私は何もしておりません」


「いや、あの時にスピアさんが言ってくれたから俺は撃てたんだ」


ヘルメットを外し思い出す。




『貴方の罪は私も背負います。ですから……どうかお救い下さい……シュウ様』




「あの言葉が無かったら……きっと後悔してた。だから改めて言うよ……ありがとう」


そう言ってヘルメットを被り立ち上がる。


「さて、俺は宿に戻るよ。気分転換も出来たしね」


そう言って宿に帰ろうとする。


「コートニー様。1つ宜しいですか?」


不意にスピアさんが聞いてきた。


「サイレントラビットは人間の裏切りと言われています。それ自体私は否定しません。ですが……貴方は……」


俯き目元が見えなくなる。


「俺さ……噂とか自分で確かめないと信じないタイプだから。だからサイレントラビット……いや、スピアさんに対しては好感しか持ってないよ」


そう言って戻る。てか……聞いた話だと如何考えても人間側に問題が有ったとしか思えんのだがな。情報操作とかされてそう。

そう思いながら後ろを振り返る……スピアさんは居なかった。


「どうかされましたか?」


「うお!吃驚した!」


いつの間に真横に居るんだよ!サイレントラビット半端ねえな!


若干驚愕しながらスピアさんと一緒に宿に戻ったのだった。




小話


スピアさんが気配も無く真横に居た!俺もそんな事やってみたい!


「俺にも今の動き出来ますかね?」


「?……今の動きとは?」


あ、無意識なのね。


サイレントラビット半端ねえな!



……


宿に戻り就寝する。見張りはウィリスさんの部下達がやってくれるそうだ。


(今夜は暖かなベッドで安眠出来そうだ)


俺はクロを枕にして寝る。

最近気づいたんだが、クロを枕や座布団代わりにすると最高なんだよね。


俺が深い眠りに就いた頃……奴らが動き出した。


……


side 盗賊 ブルックス


「ボス、準備が出来ました。あの1番上等な宿に居るのがルピノ・ウィリスと護衛に奴隷が居ます。後、サイレントラビットも」


「良くやった。よし……テメェら、宿に突入して暴れまくれ。そして奴らを殺しまくれ!暫くしたら宿に火を付ければ更に混乱するだろう。その時にサイレントラビットを奪う。そしてルピノ・ウィリスを人質にして金を分捕る!行くぞ!」


俺の号令に頷く部下達。30人……もうコレだけになった。だが、最後に勝つのはこの俺様だ!!!



side out


……


物が壊れる音、そして悲鳴で目が覚めた。


「何だ!クロ、起きろ!」


「プニャ?」


俺はPDAを操作して服を着る。服もヘルメットも新品同様だし、武器も完璧だ。


SR-25を装備してM92とニューナンブM60にサバイバルナイフを装備してドアを開ける。

俺が居るのは1階だ。だからだろうか、直ぐに敵と鉢合わせた。


「お前ら!盗賊か!」


「ッ!居たぞ!古代兵器持ち「ダアァン!」ガハッ!!」


SR-25で撃つ。しかし、スコープが邪魔だ……それに盗賊がどんどん来てる。


「チッ!勘弁してくれ!」


俺はSR-25を仕舞い、シールドを装備してM92を構え撃つ。そしてクロも俺の頭に乗りニューナンブM60を撃つ。


「クロ!2階に上がるぞ!落ちるなよ!」


「プギュ!」


俺とクロは盗賊を撃ち続ける。護衛の人達はウィリスさんと商品の奴隷を守ってて当てに出来そうに無い。


「古代兵器使い待てや!」「仲間の仇だ!逃すな!」「貴様だけは逃さねえぞ!」


あらやだ!人気者じゃない?


「クッ!今日は厄日だな!……いや、スピアさんと若干仲良くなれた気がするから良いのか?」


人を撃つのに抵抗は然程無くなっていた。本当にスピアさんには感謝だね!


残り少ない手榴弾のピンを抜き投げる。


ドオオォォン!!!


「あ、足があああ!!」「あがああっ!!!目が!!!」


盗賊の悲鳴が聞こえるが無視して2階に上がる。

2階にも盗賊が居た。但し此方に気付いてない。そのまま後ろから撃ちまくる。


ダンッ ダンッ ダダンッ ダンッ

パンッ パンッ パンッ


俺とクロは一斉に撃ち盗賊を倒す。だがM92が弾切れになり、1人だけ仕留め損ね此方に魔道具を向ける。


「死ねや!!!」


そのまま炎の塊が俺に向かってくる。咄嗟に避けニューナンブM60を抜く。そして……


パンッ ドサ


何とか倒す事が出来た。


「コートニーさん無事でしたか?」


「ええ、何とか。そっちはどうなってますか?」


護衛の1人が駆け付けてくる。


「ウィリス様に奴隷達も他の護衛が守ってる。敵は1階と2階にしか来れてないみたいだしね」


よく俺は2階まで来れたな。ちょっと凄くない?

銃をリロードしながら思ってると。


「きやああああ!!パパ!ママ!」


「オラ!こっち来いや!!!」


その時だった。1階から子供の悲鳴が聞こえた。


「マジかよ……クソ!」


「あ、コートニーさん!待って!」


俺は護衛の制止を振り切り、M92を構えながら1階に行く。其処には体格の良いが小汚い野郎が子供を人質にしていた。

その近くでは男性が血を流して倒れていた。


「ッ!……テメェは古代兵器使いか」


「だったら何だ……子供を離せ」


互いに睨み合う。


「俺の可愛い部下達がテメェの世話になってな」


「可愛い部下?はっ!あんな小汚い野郎共が可愛いだ?美的感覚可笑しいんじゃねえか?」


「俺を挑発するつもりか?無駄だぜ」


「え?……いや、挑発して無いよ」


その瞬間奴の眉毛がピクピクしだした。


「ううう……パパ……ママぁ」


「フッ……おい、子供を離して欲しけりゃあ武器を捨てな」


こ、この野郎。


俺は倒れてる男性を見る。まだ、息はある。そして奥さんだろうな。コッチを見てる。


「早くしねえか!!!ガキが殺されてえのか!!!」


「…………分かった」


こんな時、M92にライトを取り付けておくべきだったな。そうすれば一瞬隙を作れただろうし。次から付けっ放しにしよう。


「おっと、その頭に乗せてるスライムもだぜ?妙な動きしてみろよ!ガキの命は保証しねえからな!!!」


俺はM92を顔の横まで上げる。


(そう言えば、映画でもこんなシーンがあったな……良し!ダメ元でやってやる!日本のエンターテイメントを舐めんなよ!!!)


俺はM92を離す。


M92は重力に従い落ちる。


奴が此方に魔道具を向け始める。


俺は身体を倒しM92を再度掴み取る。


奴の目が見開くが知ったことじゃ無い。

俺はそのままM92を向け……


「隙だらけです」「へ?「ザンッ」……あれ?」


銃口向けたら決着ついてました。そして奴の首が転がり落ちて身体も倒れる。

更に子供の上に大量の血が降り注ぐ。あー、ありゃトラウマ確定だな。

奴が倒れた先にはサバイバルナイフを持ったスピアさんがいた。

て、そのナイフ俺のじゃん!いつの間に!?


「2階に居た時に拝借させて頂きました。私の方が上手く扱えますので」


俺喋って無いよね?無いよね?


取り敢えず盗賊の襲撃は何とかなった訳だ。

子供と母親は無事だったが、父親が重症だ。早く止血しないとマズい状況だろう。


「何方か!ポーション等はありますか!?このままでは、旦那が…!」


「パパぁ……」


しかし、あの傷はかなり深い。直ぐに治すポーションは高い筈。


「奥さん…お金は有るのかい?」


援護に来てくれた冒険者が聞くが首を横に振るうだけだった。

諦めの空気が流れ出す。仮に金が有ったとしても、都合良く高価なポーションは無い。今から魔法で治療しても間に合わない。

きっと助からないし、誰も助けてくれない……そんな空気だった。


そんな中俺は旦那さんに近づきヘルスチャージを取り出し傷口付近に刺す。


「えい」プシュ


すると傷口が塞がっていく。


「うわー、ヘルスチャージ使うとこんな風に傷が治るんだ……気持ち悪!」


暫く全員が沈黙する。


「う……うう、こ…子供は?」


「お?お目覚めかな?子供は無事だよ。後はアンタだね。取り敢えず貧血状態だから暫く安静と腹一杯飯を食べる事だね。さてと……寝るか」


あー、なんか疲れがドッと来た感じだな。


「ちょ、ちょっと待て。お前今何使った?」


ガルムさんが聞いてくる。


「何って……ヘルスチャージだよ」


「おいおい!ヘルスチャージなんて幾らするか知ってんのか!?」


「金貨10枚だっけ?高いよねぇ。あ、そうだ」


俺は親子に伝える。


「これ、貸しだからな。いつか返せよ?」


そう言ってクロを頭に乗せ部屋に戻る。


「あ、ありがとう!ヘルメットさん!」


「………おう」


子供からの感謝の言葉に片腕あげて返事した。

しかし、ヘルメットさんか……ダセェな。


殆どの奴が唖然とした中、俺は部屋に戻ったのだった。


「あ、サバイバルナイフ……戻ってるし」


スピアさん……あんた凄すぎだよ。


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