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親玉は動かなくなっていた。俺はなんと無く囮に使ったライトの方を見るとまだ明るかった。ライトを回収したが何処も壊れてなかったのは単純に運が良かったのだろう。
暫く待っても親玉は動かず。血の流れも収まり完全に死んだのだと思う。新しいシールドを出しM92を構えゆっくりと近付く。そしてゴブリンの親玉は完全に死んでいた。俺は肩の力が抜けた。そして、この死体を回収する事にした。名前が出た。ゴブリン・キング(亜種)らしい。
「亜種?アレか、魔法使ってたからか?」
兎に角ゴブリン・キングの死体を回収して出口に向かった。そして出口を出てヘルメットを外し空気を思いっきり吸う。
「うん!焦げ臭い」
締まらなかったよ。
……
冒険者ギルドに戻るとサラさんは居なかった。だからそのままカミラさんの所に行き報酬を貰う。
「はい。サラ様から預かってます。金貨5枚ですね。おめでとうございます」
金貨5枚をあっさりくれるとは豪胆だね。俺はそのまま換金場に行きゴブリン・キング(亜種)の死体を出す。
「…これを何処で?」
取り敢えず説明した。ゴブリンの巣を殲滅してから巣の中に侵入したら此奴が居たと。で、倒したと。
「取り敢えずこの水晶に触れて貰っても?」
言われた通り水晶に触れる。
「本当に倒したんだ…魔力無いのに」
喧しいわ!良いからはよ換金せいや!
「実質貴方1人で倒しましたが報酬は如何します?」
「勿論半分に分けて下さい」
意外そうな顔をするギルド役員。
「案内だけで金貨5枚貰った上に、他のゴブリンや罠とかは一掃して貰ってたんだ」
そう言うと頷きながら金貨20枚くれた。
「此奴はゴブリン・キングでも有りながら魔法を使えてたみたいだったからな。しかもサラ様の攻撃に耐えた。そして魔石も大きく傷が無かった。だから少し色を付けさせて貰うよ。後はアンタの誠実さが気に入ったからな」
そう言うと奥に引っ込んでいった。
金貨20枚。よし!色街に行くぜ!
俺は軽い足取りで色街に向かって行ったのだった。
……
俺は爽やかな気分で朝の市場ラッシュを眺めていた。いやー、昨日は気持ち良かったなぁ。猫タイプの獣人の美少女に相手をしてくれたが初めてだと言うと、それはもう優しく激しくやってくれたよ。次第に慣れてきてコッチからも攻めてみたら可愛い反応するの何の。尻尾や耳をハムハムするのは最高だったわ。最後別れ際には「ま、また指名してくれたら…サービスしてやらん事も、な、無いんだからね!」なんてちょっと照れながら言われたから、また指名するわ。
ルンルン気分で適当な場所で朝食を食べギルドに向かう前に、喫茶店に寄り時間を潰す。あのラッシュに突っ込む勇気は俺には無い。え?獣人の美少女には突っ込んでたろって?喧しい!
暫く喫茶店で紅茶飲んでると相席に誰か座った。
「昨日振りだなシュウ君」
そこにはサラさんが座っていた。
「あ、おはようございますセラさん」
相変わらず美人だよなこの人。スタイル良し!顔良し!なのに何で冒険者やってるんだろう?
「昨日アレからもう一度ギルドに戻ってね。君が報酬貰ったか聞いたんだ。そうしたら逆に報酬を貰う立場になっていて少し笑ってしまったよ」
ニコリと笑うサラさん。その笑顔にドキドキする俺!
俺は紅茶の香りを吸う振りして目を瞑る。
(落ち着け俺!美人との交流なんて無かったから耐性が無いだけだ!…そうだ!あの猫獣人の美少女を思い出すんだ!)
昨日の事を思い出したら更に顔がにやけてしまった。ダメだコリャ。
「さて、昨日は済まなかったね。まさか私の魔法に耐えれるゴブリンが居たとは思わなくてね。ただ、君に怪我が無くて良かったよ」
「まぁ、偶々勝てたんですよね」
俺はゴブリン・キングとの戦いの流れを教える。
「それでも君は生き残った。それはとても立派な事だ。誇ると良い」
そう言うとサラさんはジッと俺の顔を見る。
「えっと何か?」
「いや、君の顔を初めて見た気がしてね。昨日はずっとそのヘルメットを被っていただろう?」
言われてみればそうだったな。
「何故だろうな。君を見ていると、まるで別の……何かと話してる気分だ。あ、悪く思わないでくれ。別に悪口とかでは無い。ただ、珍しいと言ったら良いのかな?」
別の何かねえ。
「気にしてませんよ。それよりサラさんは朝食は?」
「もう済ませたよ。さて、私はそろそろ行くよ。君の様な人だったら機会があればパーティを組んでみたいね。それでは」
流れる様に立ち上がるセラさん。セラさんの動きで銀髪が広がり太陽の光でとても綺麗だった。
……
暫く喫茶店でゆっくりしてからギルドに向かう。するとギルドの前に数人の男性冒険者が居た。特に関わりは無いだろうと思ってたら声を掛けられた。
「待てえい!貴様がシュウ・コートニーか!」
1番体格が良く髭もじゃの奴にデカイ声で呼び止められる。
「いえ、人違いです」
俺はそう言ってギルドに入って行く。今日は街の中の依頼をしようかな?
「待て待て待てえええい!嘘を吐くでない!貴様がシュウ・コートニーなのは知っているのだ!」
そう言ってギルドに入って来る男達。
「貴様!サラ・ブロードハット様と随分と!随分と!親しげにしていたな!サラ・ブロードハット様に迷惑が掛かってると分からんのか?ん?」
「そうだぞ!迷惑だ!」「少しは遠慮しろよ!」「少し優しくされただけで調子にのるなよ!」
一緒にいる男達も頷き同調しながら俺を凶弾する。
「大体!貴様のランクはEじゃないか!尚更迷惑だぞ!」
更に同調する連中。しかし、此奴はアレだサラさんのファンの人達だろうな。
「お前らサラさんの事好きなの?」
だから、ドストレートに聞いた。
「ば、ば、ば!馬鹿者!そ、その様な不埒な事は考えてないわ!この俺様!ヴィニー様はサラ様親衛隊!会員ナンバー832位だぞ!」
周りの人達もめちゃくちゃ動揺していた。
「親衛隊?それは旅団みたいな物なのか?」
そう聞いたら違うと言われた。因みに親衛隊について親切に説明してくれた。冒険者ギルドのBランク位から人気投票が有る。そして上位の人達には公式、非公式合わせて親衛隊が出来るらしい。因みにサラさんは親衛隊は要らないと言われた為非公式になってる。
「そうか。あんた達も結構苦労してるんだな」
「気にするな。コレは、俺達が選んだ道だ」
何故かしんみりしてしまった。
「と、兎に角!我々は貴様が言う不埒な感情など持ってはおらんわ!」
髭モジャの男の台詞に他の親衛隊メンバーも同調する。
「でも、本当にそれで良いのか?見守るだけで満足なのか?」
「何?どういう事だ?」
「考えてみろ。サラさんは美人だよな?しかもAランクだろ?しかも聞けばフリーだそうじゃないか?そんな人を他の男達が放っておくか?いや無いだろう」
俺の言葉に更に動揺が走る親衛隊メンバーと他の男性冒険者。
「白馬の王子様が突然やって来て彼女を攫っていく。お前らはそれを指を咥えて見てるだけ!あーあー情けない。それでも男か!」
「だがな、彼女は高嶺の花なんだよ!」
そう吠える髭モジャ。
「そうやって自分に言い訳するのか。情けないな!だったらそんな軽い想いならな、サッサと色街に行って捨てて来い!」
「軽くなど無いわ!!」
「だったら…告っちゃいなYOU!アタックして冒険者を寿退職しちまいなYOU!それともあれか?お前達の想いはそんなモンかYOU!」
取り敢えずYOUの時に大袈裟にして思いっきり指差した。
「…良いのだろうか」
「良いに決まってるじゃ無いか!さあ!行くのだ戦士達よ!己とサラさんの幸せの為に!ドヤ顔して寿退職する為に!ジーク!サラ!!!」
俺は拳を思いっきり空に突き上げ吠えた!
「俺…行くよ」
1人の男性冒険者が呟き走り出す。それに続き親衛隊メンバーと他の男性冒険者が駆け出した。そして…ギルドには男は俺1人になった。
「総員!傾注!」
俺は大きな声を出し冒険者が出て行った扉を見る。
「無謀な戦いに挑みに行った勇敢な戦士達に対し!敬礼!」
俺はPDAの中にあった陸軍式の敬礼をした。
「さて、依頼でも受けるか」
俺はそのまま依頼掲示板に向かったのだった。後日、玉砕した男達が色街に行き色々ハッスルしていたらしい。更にこの話を聞いたサラさんが鬼の形相で俺を捜していたとか。怖っ




